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第1266回
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平成28年9月16日(金)公表

日本放送協会第1266回経営委員会議事録
(平成28年8月30日開催分)

第1266回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1266回経営委員会

 

<会 議 日 時>

平成28年8月30日(火)午後1時00分から午後5時15分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  石 原  進 本 田 勝 彦 井 伊 雅 子
    上 田 良 一   小 林 いずみ 堰 八 義 博
    中 島 尚 正   長谷川 三千子 森 下 俊 三
    渡 邊 博 美      
  ◎は委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔役  員〕

  籾 井 会 長 堂 元 副会長 木 田 専務理事
  今 井 専務理事 坂 本 理 事 安 齋 理 事
  根 本 理 事 松 原 理 事 荒 木 理 事
  黄 木 理 事 大 橋 理 事  

 

 

<場   所>
放送センター  22階経営委員会室  21階役員会議室

 

<議   題>

 

付議事項

 

○ 経営委員会事務局職員の同意人事について

 

○ 視聴者のみなさまと語る会(秋田)の開催について

 

○ 会長任命に関する指名部会

 

○ 視聴者のみなさまと語る会(函館・長野)開催報告(資料1)(資料2)

 

1 会長報告(資料)

 

2 報告事項

 (1) 契約・収納活動の状況(平成28年7月末)(資料)

 (2) 予算の執行状況(平成28年7月末)(資料)

 (3) 地方放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 

3 審議事項

 (1) 「放送センター建替基本計画」について(資料1)(資料2)(資料3)(資料4)

 

○ 平成28年度役員目標ヒアリング

 

 

議事経過

 

 石原委員長が開会を宣言し、経営委員会を開催。

 

 

○ 経営委員会事務局職員の同意人事について

 経営委員会事務局員の人事について同意した。

 

○ 視聴者のみなさまと語る会(秋田)の開催について

 平成28年度の「視聴者のみなさまと語る会」の第5回目は、平成28年10月29日(土)に秋田放送局で開催することを決定した。

 

○ 会長任命に関する指名部会

 会長任命に関する指名部会を開催した。

 

<会長、副会長、専務理事、技師長、理事入室>

 

 本日の付議事項および日程について説明。第1265回(平成28年7月26日開催)の議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成28年9月2日に公表することを決定した。

 

○ 視聴者のみなさまと語る会(函館)開催報告(資料1)

 (歌川経営委員会事務局長)
 平成28年度、2回目の開催となる「語る会」を、5月14日(土)、函館放送局で開催しました。時間は午後1時30分から3時30分までの2時間です。登壇は、経営委員会から、上田委員、佐藤委員、美馬委員の3名。執行部から堂元副会長、森永専務理事・技師長、今井専務理事、函館放送局の山田局長の4名を加えた合計7名で、司会は、札幌放送局の福井慎二アナウンサーでした。公募の結果、はがき、ホームページを通じて37名から参加の申込みがあり、当日は、26名が「語る会」に参加されました。「語る会」終了後には、「ブラタモリの歩き方」と題して、制作局の中村貴志 チーフ・プロデューサーによる講演会を開催しました。概要や反響等については、報告書の1〜2ページに記載しています。冒頭、協会の基本方針や重要事項の説明として、美馬委員から経営委員会の役割、平成27年〜29年度NHK経営計画、28年度の収支予算、事業計画について説明しました。その内容は3〜5ページに記載しています。意見聴取は、参加者を3つのグループに分けたグループディスカッションを中心に行い、「『受信料』『公共放送の役割』などNHKの経営全般に関すること」「『NHKの全国放送や地域放送のあり方』など放送に関すること」をテーマに実施しました。参加者からは、「視聴者からの意見や要望への対応」「正確な報道」「若い世代に向けた取り組み」「公平負担の徹底」「営業活動におけるトラブル防止」「地域放送の拡充」「会長の発言」など多岐にわたる意見や提言が寄せられました。これらは6ページ以降に掲載しています。終了後の参加者当日アンケートの結果とアンケートに記された具体的内容は44ページ以降に記載しています。
 報告書案については、ご指摘がなければ、これを確定して公表させていただきたいと思います。

 

○ 視聴者のみなさまと語る会(長野)開催報告(資料2)

 (歌川経営委員会事務局長)
 平成28年度、3回目の開催となる「語る会」を、5月21日(土)、長野放送局で開催しました。時間は午後2時から4時までの2時間です。登壇は、経営委員会から、本田代行、中島委員、長谷川委員の3名。執行部から坂本理事、安齋理事、長野放送局の荻原局長の3名を加えた合計6名で、司会は、山本哲也アナウンサーでした。公募の結果、はがき、ホームページを通じて50名から参加の申込みがあり、当日は、25名が「語る会」に参加されました。「語る会」終了後には、「大河ドラマ『真田丸』制作の舞台裏」と題して、制作局の屋敷陽太郎チーフ・プロデューサーによる講演会を開催しました。概要や反響等については、報告書の1〜2ページに記載しています。冒頭、協会の基本方針や重要事項の説明として、中島委員から経営委員会の役割、平成27年〜29年度NHK経営計画、28年度の収支予算、事業計画について説明しました。その内容は3〜5ページに記載しています。意見聴取は「経営全般」と「放送」の2つのテーマで実施し、「経営委員や会長選任のあり方」「公平公正な報道」「災害報道」「地方での公開番組やイベントの実施」「視聴者の意見を聴取する機会の拡充」など、多岐にわたる意見や提言が寄せられました。これらは6ページ以降に掲載しています。終了後の参加者当日アンケートの結果とアンケートに記された具体的内容は20ページ以降に記載しています。
 報告書案については、ご指摘がなければ、これを確定して公表させていただきたいと思います。

 

 

1 会長報告

 (籾井会長)

 リオデジャネイロ・オリンピックの放送についてご報告します。NHKは、総合テレビとEテレで272時間、BS1で354時間、ラジオ第一で109時間お伝えしました。このうち生中継は、全体のおよそ3分の2にあたる、474時間にのぼります。現地との時差が12時間と昼夜逆転であったにも関わらず、放送は大変よく見られました。オリンピック期間中の総合テレビの平均視聴率は、すべての時間帯で10%を超え、民放各局を上回ってトップに立ちました。
 今回の特徴のひとつに、インターネットを活用した動画配信を行ったことがあります。NHKの特設サイトや携帯アプリ、YouTubeを合わせた動画の再生回数は、8月23日時点で7566万回に達しました。中でも競技をまとめて朝と昼に配信した「パック動画」は、短時間で結果をチェックできるサービスとして大変好評でした。動画でチェックしながらテレビを楽しむという視聴習慣もできたのではないかとみています。
 8Kスーパーハイビジョンの試験放送は、現地に8K中継車を2台送り、開会式や閉会式のほか、柔道や競泳などの競技を中継しました。その模様は、全国の放送局に配備した8Kモニターや、東京と大阪の6つの会場のパブリックビューイングの会場で上映されました。全国の放送局にはあわせて16万1千人、パブリックビューイングの会場には7万5千人が訪れ、「選手の筋肉の動きや鳥肌の立っている様子まで見える」といった感想が寄せられました。
 私も開会式の前日から4日間現地を訪れ、現地の放送体制や安全管理の状況を確認しました。滞在中にはIOCのバッハ会長やオリンピック放送サービスのヤニスCEOとも個別に会談し、先方からはそれぞれ東京オリンピックに向けたNHKの取り組みに期待感が示されました。
 今回のオリンピックでNHKは「公共メディア」としての総合力を十分に発揮できたと考えています。今回の経験をしっかりと生かし、4年後の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、最高水準の放送サービスを実現できるよう準備を進めてまいります。
 まだパラリンピックがございますので、それにつきましても安全に十分注意しながらやっていただくように、皆さんにお願いしております。
 総務省「放送を巡る諸課題に関する検討会」の「第一次取りまとめ(案)」については、先月26日の経営委員会で概要をご紹介いたしましたが、31日締め切りの意見募集に対し、NHKとして意見を提出することにしました。概要を今井専務理事よりご報告します。
 (今井専務理事)(資料)
 お手元の資料に提出意見の概要を記載しております。資料に沿ってご説明します。左が「取りまとめ(案)」の記載内容、右に対応するNHK意見の概要を記載しています。
 はじめに「取りまとめ(案)」の全体構成ですが、3つの章に分かれており、第1章では放送を巡る環境の変化を分析し、それに基づいて第2章では放送の諸課題を抽出しています。第3章では第2章で抽出した課題に対し、新サービスの展開、地域情報の確保、新たな時代の公共放送の3つに分けて具体的な対応の方向性を述べています。NHKとしては、新たな時代の公共放送を中心に意見を述べます。
 まず「(1)新サービスの展開」の、4K・8K放送についての項目では、4K・8K放送はBS衛星放送の左旋の電波で実施することが基本とされていますので、今後市販される低廉な簡易チューナーやテレビに内蔵されるチューナーについては、左旋の電波が受信できることが望ましいとの考えを述べています。また、周知啓発活動と受信環境整備に国と関係団体が連携して取り組む必要があり、このような取り組みに対して、国において適切な支援を実施することが適当との意見を述べます。
 次の項目は、地上の4K・8K放送に関する研究開発について国が推進することが適当であることなどを述べます。
 2ページに移ります。番組配信と放送の関係についての項目では、「取りまとめ(案)」では、主に著作権処理の取り扱いについての検討が必要であることが指摘され、NHKとしても同じ考えであることを意見として述べます。
 次の地域情報の確保については、AM放送をFM波で補完するFM補完放送における同期放送について、有効な手段である一方、干渉問題等十分な検討を行うことが必要との意見を述べます。
 次からは「(3)新たな時代の公共放送」についてです。NHKのあり方について、「取りまとめ(案)」では、総論に続いて「業務の在り方」「受信料の在り方」「経営の在り方」の3つに分けて記述されています。
 総論部分では、情報提供の在り方が多様化する中で、公共的見地から、国民・視聴者にあまねく必要な情報が提供されることを確保することが必要であり、公共放送は国民・視聴者のニーズや視聴環境の変化に的確に対応して、その先導的役割を果たすことが求められている、との指摘に対し、NHKも同様に認識していることを「NHKビジョン2015→2020」より抜粋して述べます。「①今後の業務の在り方」の「インターネットの本格的活用」では、テレビの常時同時配信について述べられています。NHKは、検討会のヒアリングで、テレビの常時同時配信を可能とする制度整備を要望しており、そのことを改めて記述しています。
 3ページです。「業務の合理化、効率化」の項目について、「取りまとめ(案)」では、PDCAサイクルをさらに進め、体系だった説明を行うことが求められること、管理会計を活用するなどしてコストを把握するなど、合理化・効率化に向けた取り組みについて検討していくことが求められています。これに対して、NHKの現在の取り組みを説明するとともに、今後も研究を進めつつ効率的な事業運営に取り組む考えを述べます。
 次に、「②受信料の在り方」では、公平負担の徹底と効率的な営業活動が求められています。これに対して、NHKは公平負担の徹底に向けて全力で取り組んでいること、ただ、今後、支払率の大幅な向上のためには、活動を取り巻く環境等の大きな変化が必要な段階にあり、海外の公共放送にあるように、外部情報の活用等について制度が整備されれば、支払率の更なる向上と活動の効率化を図ることが可能、との見解を述べます。加えて、地上契約と衛星契約の区分の見直しに関し、受信料負担の視聴者間のバランスを動かすことについては、視聴者・国民の十分な理解が前提であり、少なくとも現状においては、慎重な検討が必要である旨を述べます。
 3ページから4ページにかけてですが、受信料水準等の評価・レビューが十分でないとの指摘があり、その仕組みの構築が必要と指摘する項目に対しては、現行の仕組みで適切性の評価が行われていると考えることを説明したうえで、仮に検討会で制度について検討される際には、番組編集等に関する自主性・自律性の確保のためには事業運営の自主性・独立性が不可欠であることについて十分配慮し、慎重に取り扱われるよう要望します。
 「③今後の経営の在り方について」の経営体制の確保の項目について、NHKの経営体制について検討される場合には、放送の二元体制の下での公共放送機関として、番組編集等に関する自主性・自律性を確保しつつ、豊かでかつ良い放送番組を放送するというNHKの使命達成を確保できるようにするという視点を踏まえた議論が行われることを要望します。
 また、「透明性の確保等」の項目では、NHKは事業活動や財務内容などについて、放送法等で公表を義務付けられているものに加え、放送番組編集等に関する自主性・自律性を確保しつつ、自主的な取り組みとして積極的に公開していること、また、NHKのガバナンス体制について検討される場合には、現行の体制においては、会長は独任機関で、理事がその補佐人という位置づけになっており、そのことを踏まえた制度が整備されていることを十分考慮するよう要望します。
 ご説明は以上です。

 (森下委員)

 4K・8K受信機の「右旋・左旋の電波が受信できる」といったところで、「視聴できることが望ましい」と記載がありますが、この点はあまり強く言い切れないところなのでしょうか。

 (今井専務理事)

 基本的には電気製品で、メーカーが作る商品でありますので、望ましいという表現にしています。

 (森下委員)

 いずれにしても、左旋もやらないといけないということであれば、しっかりと行政で指導してほしいということは、強く言っていいと思うのですが、いかがでしょうか。

 (今井専務理事)

 そこは、関係団体や国と連携をして取り組む必要があるところです。具体的な折衝では、ご趣旨に沿った要望をきちっと伝えていきたいと思います。

 (石原委員長)

 「②受信料のあり方」のところで、外部情報の活用と書いてありますが、これはどういう意味ですか。

 (今井専務理事)

 いろいろな情報がありますが、行政の情報とか、民間の情報でもNHKで活用できるようなものについて書いています。NHKが収集している情報以外に、社会にある情報を合わせ、活用ができれば、NHKとしても支払率の向上につながります、といった趣旨です。

 (松原理事)

 少し補足します。海外の公共放送は、NHKより支払率が非常に高く、一方で経費率が低くなっています。そのほとんどの公共放送では、例えば行政の情報が法律に基づいて自動的に通知されており、一軒一軒訪問しなくても住所氏名が把握できるという大きなメリットがあります。また、テレビの設置確認では、例えばテレビを持っていない人は届けを出さないといけない、という法律が整備されており、それ以外の人は基本的にテレビを持っていることになりますので、把握する労力が低減でき、支払率の向上につながっています。特に、住所変更がそういう形で把握できるようになると、そのパワーを未契約対策にシフトすることができ、そのことによってコストが落ちていくということにつながります。私もこの検討会に出て、制度整備されれば契約・収納業務の効率化につながるという趣旨を申し上げています。

 (石原委員長)

 郵便局の引っ越し情報はすでに活用していますね。

 (松原理事)

 今は自主的に申し出ていただくという形等です。

 

 

2 報告事項

 (1) 契約・収納活動の状況(平成28年7月末)(資料)

 (松原理事)

 平成28年度第2期(7月末)の契約・収納活動の状況について、ご報告いたします。全体状況はすべての目標に対して引き続き堅調に推移しています。
 資料の1ページをご覧ください。当年度分受信料収納額の状況です。2期の収納額は1,109億2千万円で、前年同期を22億4千万円上回りました。累計でも2,186億円となり前年同時期を46億1千万円上回りました。28年度の収入予算を確保するためには、1か月あたり11億円程度の増収が必要となります。熊本地震の影響で熊本局が昨年よりも1億8千万円減収になっていますが、それを踏まえた上で46億1千万円と、昨年を上回る堅調な推移になっています。次に、2期の前年度分受信料回収額は9億2千万円となり、前年同期を4千万円下回りましたが、前々年度以前分の回収額は5億7千万円となり、前年同期を3千万円上回りました。
 2ページをご覧ください。契約総数の増加状況です。2期の取次数は50万件となり、前年同期を7千件上回ることができました。減少数は42万3千件となり、前年同期を3千件下回り、差し引きの増加数は、1万件上回る7万7千件となりました。累計の増加数は前年同時期を4万7千件上回る24万件となり、7月末で、当初の目標通り受信契約件数が4千2万件となり、4千万件を超えることができました。次に衛星契約増加です。2期の取次数は31万5千件となり、前年同期を6千件上回ることができました。減少数は19万4千件となり、前年同期を5千件上回り、差し引きの増加数は、1千件上回る12万1千件になりました。累計の増加数は前年同時期を2万7千件下回る27万5千件となっていますが、前年度の実績には地上契約者に対する衛星勧奨DM対策による返送数が3.4万件含まれていることなどを考慮すれば、実質的には、前年の水準を上回る活動ができています。また衛星契約割合は年度内で0.4ポイント向上して49.4%になりました。
 3ページをご覧ください。2期の口座・クレジット払等増加は、11万2千件となり、前年同期を1万5千件上回りました。契約総数増加と同様に堅調に推移しています。また、口座・クレジット払等の利用率は初めて90%に到達しました。次に、未収削減状況です。2期は支払再開数の増加などにより、2万7千件の削減となり、前年同期から8千件上回る削減となりました。累計でも4万2千件の削減となり、前年同時期からは1万4千件上回る削減となりました。また、未収現在数は105万8千件となり、前年同時期より14万5千件少なくなっています。一番下段にあります、契約総数増加と未収数削減を合わせた支払数増加も前年同時期に比較して6万1千件上回ることができました。
 引き続き、前倒しの営業活動により業績確保に取り組んでまいります。
 業績の報告は以上ですが、最後にワンセグ機能付きの携帯電話の受信契約に関わる、さいたま地裁の判決についてご説明をさせていただきます。
 8月26日(金)にさいたま地裁において、ワンセグ機能付きの携帯電話を携帯することは放送法64条1項における設置に当たらず、受信契約の締結義務はないとする判決が出ました。NHKとしては、この判決は放送法の解釈を誤ったものとして、直ちに控訴します。ワンセグ機能付きの携帯電話の契約が要るかどうかについては、過去にほかの地裁等の判決では、契約は必要であることが認められています。また、総務省も契約は必要であるということを過去に国会で答弁しています。控訴審では正しい法解釈がなされるよう、改めてワンセグ機能付きの携帯電話の契約の必要性について主張をしていきたいと思っています。今回の判決は翌日の新聞で大きく取り上げられました。コールセンター等において、お客さまからの問い合わせが来ていますが、現時点で営業の契約・収納活動に大きな混乱は生じていません。今回の判決は第1審の判決であり、確定したものではありませんので、今後もNHKは従来どおりワンセグ機能付きの携帯電話のみを持っている方に対して、受信契約の締結と放送受信料の支払いをお願いしていきます。
 報告は以上です。

 (上田委員)

 若い世代の方々はテレビを設置しないで、ワンセグ機能付きの携帯電話を持っている方が結構多いのではないかと思いますが、実際にテレビを設置していなくて、ワンセグ機能付きの携帯電話で受信契約を結んでいる人が、どのくらいいらっしゃるのでしょうか。

 (松原理事)

 少ないと思いますが、契約書の中にも、テレビあるいはパソコン、カーナビ、ワンセグ機能付きの携帯電話など、何で見ているかの種別を記入するところはありません。そのため、実際にデータとして、ワンセグ機能付きの携帯電話のみで契約をしている方がどのぐらいいるかは、把握できません。われわれが営業活動を訪問要員に指導するときに、テレビの設置を確認して、特に若い人はテレビを持っていませんという答えが多いですが、テレビを持っていなければ、チューナー内蔵パソコンはありますか、ワンセグ機能付きの携帯電話を持っていませんか、という話を必ずするように指導をしています。4月、5月、特に新入生が入ってきた時期には、ワンセグ機能付きの携帯電話しか持ってない方から契約をいただく等、数は少ないと思いますが、一定数はいると思います。

 (小林委員)

 今回の件に対する対応に意見はありませんが、これからテレビを持たない世代がどんどん増えてくると思いますので、法解釈に頼るのではなく、NHKとしても今の放送法のあり方について積極的に考えていく必要があるのではないか、という点が1つです。それから、受信料の回収・収納を向上させるということ、これは必要なことだと考えるのですが、いろいろなところから、実際に回収に行く方たちの態度が極めて紋切り型であったり、必ずしも受信者から好意的に受け止められていないという話もよく聞きます。その点も含めて、やはり戸別訪問される方に対して、どういった会話をして受信料を納めていただくように同意していただけるのかというあたりも、しっかり教育する必要があるのではないかと思います。

 (松原理事)

 まず1点目について、テレビを持たない若者が増えていることは事実です。先ほど今井専務理事から、「放送を巡る諸課題に関する検討会」の「第一次取りまとめ(案)」に対する意見の中で報告したとおり、ネット同時再送信も含めて、全体として受信料体系をどうしていくかということは、NHKとしても今研究をしているところです。もう1点の訪問要員の対応の仕方やマナーの問題は、これまでも何回もご指摘を受けています。そのことは私自身も相当重要なことだと思っており、厳しく対応をしています。1つは、研修をしっかりやるということを徹底しないといけないと思っています。クレーム対応も含め、個別案件については一件一件中身を確認し、迅速に対応を行っています。今までは法人委託の若い社員のクレームが多かったので、法人の管理者を通して指導していましたが、それでは不十分ということで、今は管理者とそのクレームのじゃっ起者を一緒に呼んで、その2人の前できちんと指導するということも徹底をしています。この問題については、私も力を入れてやっていきたいと思っています。もう一方で、クレームを出すなということだけではクレーム抑止にはつながらないので、放送現場を見せたり、アナウンサーの話し方の教育を受けさせたりするなど、NHKの仕事をする意義、NHKで働くという帰属意識も含めて、意識の醸成を図っていきたいと思っています。

 (渡邊委員)

 今の受信料というのは、まさにNHKを支える一番大切な部分だと思います。NHKとして、法人や個人の方々に対する訪問は、法人委託や委託契約という形で行っていることはいろいろな資料を見て分かったのですが、NHKの職員が入局したときに、基本になるNHKの精神を伝えることも含めて、現場の営業体験は行われているのでしょうか。

 (松原理事)

 受信料はNHKの財源の根本ですから、当然、入局をすれば営業以外の職員についても全員が営業現場研修をして、公金意識の醸成を図ることを行っています。特に平成16年に不祥事が起こって以降、公金意識の徹底を図るという意味で、例えば10年目になったとき、管理職になったとき、あるいは昇格したときに、営業現場で公金意識研修を相当実施しています。

 (渡邊委員)

 そのことを一般視聴者に対して、NHKが全体で公平な受信料負担を図るために、こういう期間にこういうことを行っているというメッセージを出していただきたい。放送では受信料のことについて軟らかく表現をしていますが、現場ではいろいろ大変なこともあると思いますので、そういうメッセージを出していただきたいと思います。

 (松原理事)

 今、ターゲット80の活動をずっと行っています。その中の1つの大きな柱に受信料制度の理解促進ということがありまして、以前から比べるとスポット番組も含めて受信料制度のPR等には力を入れています。おっしゃるとおり、訪問要員が訪問した時点で一から受信料制度を説明するのではなく、ある程度理解を得られていると全然話が違ってくるので、そのことも引き続きターゲット80活動の柱として努めていきたいと思います。

 

 (2) 予算の執行状況(平成28年7月末)(資料)

 (3) 地方放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 (石原委員長)
 報告事項(2)(3)については、特段の質問等がなければ、資料配付のみで報告に代えさせていただきたいと思います。

 

 

3 審議事項

 (1) 「放送センター建替基本計画」について(資料1)(資料2)(資料3)(資料4)

 (大橋理事)
 前回7月26日に続きまして、「放送センター建替基本計画」のご審議をお願いします。
 本日は、まず、前回の経営委員会のご指摘を踏まえて修正をいたしました放送センター建替基本計画本編についてご審議をいただくとともに、この基本計画とあわせて対外公表を予定しています基本計画の概要、これについてもご確認をいただきたいと思います。それから、前回の経営委員会以降、さまざまなご指摘をいただきまして、幾つかの点につきましては、別にお配りした基本計画に関する説明資料に基づいて、補足の説明もさせていただきたいと思っています。本日、経営委員会のご了承が得られれば、経営委員会終了後に、基本計画本編と概要版につきましては記者発表し、対外公表したいと思っています。なお、前回も申し上げましたが、放送センターの建て替えにつきましては、放送法にある重要な不動産の取得に関する基本事項として、今後、建て替え業者の選定が行われまして、工事の請負契約を締結する時点で、経営委員会の議決が必要となっておりますので、よろしくお願いします。
 まず、放送センター建替基本計画の本編についてご説明いたします。この概要につきましては前回おおよそご説明していますので、本日は前回から修正をした点に絞ってご説明をさせていただきます。まず、表紙にあるタイトルですが、最終的に「放送センター建替基本計画」としました。
 1ページです。ここには、建て替えを決めた理由や経緯、それに、建て替えにあたっての基本方針などを記した会長名での文章を新たに入れています。
 次に、3ページの基本計画策定までの経緯です。このページの中央の少し下のほうに、2020年の着工、2025年の一部運用開始というスケジュールを、前回から新たに付け加えています。それから、パラグラフの冒頭に「現在地建替を決めた理由は」から始まるパラグラフがありますが、この最後の▼を1つ加えました。現在地に決めた理由の一つに「新たな用地取得費用が発生しないこと」、これを新たに付け加えました。さらに、ページの下から3・4行目に、基本計画の策定にあたって、専門家のアドバイスを受けたことを明記しました。これがこのページの修正点です。
 続いて、6ページに「1基本コンセプト」とありますが、この最後の「4街作りとの調和」の文章の最後に、「環境にも配慮」ということばを追加しました。
 7ページの「2建替にあたっての方針」の最後に、8番として「情報セキュリティ強化とスペース有効活用」の項目を新たに追加しました。前回の経営委員会でのご審議の中で、クラウドの活用などについてのご指摘を受けたことで、この項目を新たに設けたものです。
 24ページ「6地域との調和」というタイトルのページです。最初の「①街とのつながり 環境と調和」の文章の最初のパラグラフの最後のところに、「こうした地域の動きとも連携して」という表現を新たに加えて、NHKの建て替えが地元自治体と連携していくという姿勢を明確に記しました。
 続いて、26ページ「7着工までのスケジュール」ですが、このページの表の左の下に「募集要綱の作成や業者の選定にあたっては、外部の専門家の委員会を作るなどして、透明性・客観性の確保に努めてまいります。」の文章を入れました。これは当初から予定していたものではありますが、このスケジュール表にもあわせて記すことで、NHKの姿勢をより明確にしたという位置づけでございます。
 続いて、28ページから29ページの「8設計・施工業者の発注・契約方式」についてです。まず冒頭の4行の文言を前回から新たに追加しております。この4行では、今回の契約発注方式の採用にあたっては、去年12月から外部の専門家、有識者からなる委員会を設置し、検討を重ねてもらった結果として採用を決めたということを、冒頭に明記しました。また、29ページの「2契約方式について」では、設計・施工一括発注方式を採用するのは第Ⅰ期について、ということを冒頭に記してございます。この方式を採用する理由を記した文章は大きく変わっていません。この項目の最後に、第Ⅱ期以降は発注範囲が決まっていないので、今後、どういう方式にするか検討するという趣旨を、新たに盛り込んでいます。
 続いて、30ページ「9コスト」についてです。ここは前回からより大きく変わっています。まず、最初の表に金額を入れました。そして、その表の下の注記、※の2番目に、ここに記載した金額には放送設備費が含まれていないことを新たに明記いたしました。「2想定建設費の算出にあたって」の項目では、文章の最後に、「今後、業者の選定にあたっては、外部の専門家の意見も参考にしながら、予定価格を決定します。」という一文を入れました。つまり、今回示した金額はあくまでも事業規模を把握するための想定の金額でありまして、今後、業者選定の際に必要となる予定価格については、外部の専門家や専門業者の目で詳細な積み上げを行っていただき、建物コストを算出して決めるということをここに示しています。続いて、「3放送設備費について」です。冒頭に、今回は放送設備の算定を行っていないことをまず明記いたしました。それ以下で、その理由と設備整備の考え方を記すようにしました。今の設備の延命を図り、新しい設備はその老朽化更新で行うことを原則とすること、それによって、旧設備の減価償却費などを原資とする通常の設備投資の中で整備が可能なことなどを記してあります。「4コスト抑制と財政負担軽減」について、これは新たに加えた項目です。ここでは、分割発注することで、その時々の最も効率的な技術や設備の導入を可能としてコスト抑制に努めること、それから、工期が16年に及ぶため、支出の平準化が図られ、建設積立資産や減価償却費を活用した整備が可能となり、単年度の財政負担を最小限に抑えていくという方針を明記いたしました。
 33ページです。このページは今後の課題を記してありますが、その最後に、「5地方のさらなる活用検討」の項目を追加しています。工事期間中の業務の代替措置に加えまして、新しい放送センターのスペースにゆとりを生み出すためにも、地域の活用を検討し、機能の最適配置を図る方針を記してございます。以上が、基本計画本編の前回からの修正点です。
 続いて「放送センター建替 基本計画の概要」をご覧ください。この資料は、ただいまご説明した基本計画本編のポイントを要約したものです。冒頭でも申し上げましたが、基本計画の対外公表の際に本編とあわせての公表を考えております。内容は本編と全く同じですので、説明を省略させていただきます。基本計画の説明は以上です。
 次に、「放送センター建替基本計画に関する説明資料」と記した資料に基づいて、これまで経営委員の皆さまより質問のあったいくつかのポイントについて、少し詳しく説明します。この資料で説明する点は、建て替えにかかる経費、規制緩和、契約・発注方式、工程、この4点です。
 最初に「Ⅰ.放送センター建替関連の想定経費について」です。この表の、大きな項目でいうと、①建設費、②関連事業費、③放送設備費が放送センター建て替えに伴って必要となる経費ですので、全体像について説明します。まず、建設費については、第Ⅰ期と第Ⅱ期以降の内訳を記しています。それぞれ、建物費、設計・監理料、電源設備費で構成されています。合計のところは、先ほど申し上げました第Ⅰ期の600億円、第Ⅱ期以降の1,100億円で、上にその内訳を記しています。では、この経費の算出をどのように行ったかということを2ページのところでご説明します。
 まず、(1)建物費については、直近の地方放送会館の実績を元にしまして、例えばスタジオ、事務室、倉庫などの、9つの機能別にそれぞれ平米当たりの建設単価を求めまして、東京で建てることや、構造物が地域に比べて大きくなることなどの要素の補正を加えた上で、新しい放送センターに当てはめて積算をした結果、この数字になりました。次に、(2)設計・監理料ですが、これは国土交通省の基準による技術者単価などをもとに算出しています。(3)電源設備費はこれまでの契約実績などをもとに算出いたしました。これらの積み上げが想定建設費となっているということでございます。
 次に、②関連事業費についてです。これは、解体にかかる費用や、工事期間中のオフィスの代替にかかる費用、移転費用、それから什器などにかかる費用ですが、これらの費用も16年かけて建て替えが行われることから費用負担の発生が平準化されるため、通常の事業費の中で対応が可能だと見ております。
 最後に③放送設備費ですが、これまでご説明したとおり、現在の放送センターの設備の延命を図り、新しい建物が完成したところで、その老朽化更新として、これまでの設備の減価償却費などを使った通常の建設投資の範囲で収めていくという原則で対応したいと考えております。以上が、放送センターにかかる経費の全体像です。
 次に、「Ⅲ.風致地区規制と緩和の方向性」についてです。NHKが現在ある土地は風致地区規制によって高さ15メートル、建ぺい率40%という規制になっています。建て替えを進める上では、この緩和がどうしても欠かせないということです。では、この規制緩和の権限はどこにあるかといえば、現在、東京都から渋谷区に権限が移っています。渋谷区は、現在、「まちづくり指針の策定」を進めておりまして、NHKを含む地域全体の開発を考えています。この「まちづくり指針」に基づいて地区計画を変更し、NHKがあるこの地区も含めた高さ規制や建ぺい率などを盛り込むという見通しでございます。それを決めることによって、結果として風致規制も見直されるという、そうした手順になるのではないかと見ております。NHKは渋谷の地にあることから、当然こうした渋谷区のまちづくりにも協力し、連携をとっていく方針で、先般、この基本計画の公表を前提として改めて両者で協力していくということを、確認をしています。ただ、規制緩和は今申し上げましたとおり、地域のまちづくりの中で実現を図ることになるため、直ちにNHKのためだけに緩和するということにはなりません。渋谷区の指針が策定される2019年または2020年という段階での規制緩和ということになりますので、そこに向けて引き続き協議を行っていきたいと考えています。
 次のページの「現在の地区計画」は、今申し上げたこのNHKの建っている地区の現在の地区計画の、渋谷区からいただいた資料を付けています。
 次に、契約・発注方式についてです。これについてもご質問をいただいておりましたので、ここに、設計・施工一括方式の場合と、それから右側の設計・施工を分離した場合、それぞれの特徴を整理しています。今回採用するのは一括方式のほうです。まず、一番上の設計についてですが、一括方式では設計段階からどのような工事が行われるのか、施工をにらんだ設計ができるという点が特徴です。難しい工事を伴う場合は、こうした方式が採用されると認識しております。NHKの場合も、放送を途絶えさせずに大規模工事を行うことから、この方式が必要だと考えています。以下、工期につきましては、一括方式の場合は設計と施工の2段階で入札を行う必要がなくなりますので、一括のほうが工期短縮につながると言われています。その下の欄にある工事に伴う影響についても、設計の段階から早期に工事中の影響が把握できるということで、対応が事前にとれるというメリットがあると言われています。さらに、工事金額も最初に決まりますので、例えば、設計が決まった後に非常に工事が難しくなって施工にかかる費用が想定を大きく上回ってコストがはね上がるような事態が避けられるなどの特徴があります。その一方で、設計・施工を一括で請け負うとなりますと、ジョイントベンチャーなどを組む必要がございます。分離方式では設計事務所や施工業者が単独で入札に参加できるため、分離方式のほうが参加の機会は広がります。最後に、工事の品質確保に関してですが、分離方式ですと、設計事務所が施工業者の品質確保についてチェックができるという、チェック機能が両者の間に働くというところは特徴です。一方で、一括方式ではそうしたチェック機能が働く体制にならないため、第三者による工事監理を行ってチェック機能を確保する必要が出てきます。今回、NHKの建て替えにあたっては、上から4番目までの理由で一括方式を採用したということです。特に、難しい工事を伴うということは、理由として基本計画本編にも記しています。これは、先ほども紹介しましたが、平成27年末に外部の専門家委員会を設け、検討を繰り返していただいた結果としても妥当だというご意見をいただいています。
 最後に、工程についてです。この表は、2025年までにどういう作業が行われるかという工程を書いてあります。一番上のNHKと書いた横列が主な工程です。ご覧のように、基本計画、ご審議いただいてる基本計画が了承されましたら、直ちに募集要綱の作成に入ります。具体的な仕様や業者選定の審査基準を作ったり、予定価格を算出したりするため、一定の期間が必要です。この作業を来年春まで行い、業者募集に入ります。2017年末から2018年冒頭に業者を決定します。その後、基本設計に12か月程度、実施設計に12か月程度かけ、2020年の着工の年に入って建築審査等の行政手続が進み、東京オリンピック・パラリンピック終了後に着工というスケジュールです。このスケジュールは、NHKの地域放送会館の建設事例や、自治体の新庁舎の建て替えの例なども参考にしましたが、およそこの程度の建物だと、こうしたスケジュールは妥当なものではないかと考えております。以下、今ご説明した工程の下に第三者機関、それからCMコンストラクション・マネージャーによる支援など、想定される項目で入れました。この第三者機関やCMは、ご説明した上記の工程を第三者の目から見ていただき、客観性・公平性・妥当性を確認したり、業者を選定したりしてもらうために設けることにしています。それから一番下に、渋谷区、東京都とありますが、これにつきましては規制緩和に対する行政当局との協議が続くことをお示ししています。

 冒頭に申し上げましたとおり、ご了承を得られれば、本日対外公表を考えておりますので、よろしくご審議をお願い申し上げます。

 (中島委員)

 基本計画の7ページで、建て替えにあたっての方針の最後の項目に、「クラウドサービスなど最新のICTを取り入れ、建替後の放送センターの情報セキュリティ強化とスペースの有効利用を図ります」とあります。クラウドサービスによってスペースの有効活用を図れるものと大いに期待できると思うのですが、現状のクラウドサービスが情報セキュリティ強化に直接つながるのでしょうか。

 (大橋理事)

 それはいろいろな考え方はあると思いますが、自分のところで設備を保有して管理が行き届かなかったりする場合は、むしろ外の専門業者に置いたほうが、セキュリティが高くなるという考え方もあるかとは思います。それから、ここで書いてあることはクラウドサービスだけに限っているものではなくて、その時々の最新のICT技術を活用して、セキュリティとスペースの生み出しを両立させていく、という趣旨も含めて書いています。

 (中島委員)

 セキュリティの確保に、最新の適したICT技術を活用するということであれば結構です。

 (籾井会長)

 クラウドサービスの活用は、NHKに置いてあるサーバーをクラウドにしてしまうことによって、スペースを確保するということ。それと、セキュリティの問題。必ずしもこの2つが同じではありません。今どき、自社ビルの中にサーバーを抱え込んでいる企業は少ないと思います。そういう意味で、これをデータセンターに出すことで、相当スペースが確保できるのではないかということで、スペースの有効活用と記載しています。2つの内容が一緒に書いてあるので、少し分かりにくいかもしれませんが、そういう意味です。
 ご参考までに、これはまだ今着手したばかりですけど、放送センターには書類がいっぱい入ったキャビネットが大量にあります。おそらく、通常ほとんど見ない書類です。このキャビネットを無くし、必要な書類は倉庫に入れることによって、スペースの有効活用ができると考えています。新放送センターは、実際の面積では10%増となっていますが、キャビネットの廃棄や、サーバーのクラウド化で、どれぐらいスペースが増えるかも同時に検証しています。おそらく2割ぐらいになるのではないかと考えています。

 (森下委員)

 規制緩和については、渋谷区との間でまちづくり計画そのものがどうしても遅くなるということですが、着工やいろいろな協議に時間がかかるので、先に進んでしまおうというわけですね。ただ、2019年、2020年になって、実際にまちづくり計画の指針をつくるとき、NHKが勝手に先走ったということになると、また社会的批判を受ける可能性はあります。まちづくりそのものというのは時間かかるのでしょうが、この規制緩和については渋谷区とはきちんと協議を整えておかないといけないのではと思いますが、いかがでしょうか。

 (大橋理事)

 このNHKの建替計画につきましては、事務レベルでは、こういう建物を建てたいとか、こういう配置にしたいということもすべて情報を共有しています。

 (森下委員)

 この点について聞かれたらどう答えるのでしょうか。

 (大橋理事)

 われわれとしては、渋谷区とは連携を取っており、今後もまちづくりに協力する中で建て替えを順調に進めていくように、協議を引き続き行っていきます、とお答えします。

 (籾井会長)

 着工は2020年を予定していますので、その着工前には許可は得なければいけないと思います。

 (堰八委員)

 コストの件について、30ページの想定建設費は600億円、1,100億円、合計1,700億円、と聞きましたが、これだけ大規模な施設ですと、このほかに解体費も相当かかると思いますが、どのように見積もっているのですか。

 (大橋理事)

 現在地で建築と解体を繰り返すということで、事業に影響が出ないように解体をすることは、相当難しいと思います。業者を入れてみないと分からないところがあるので、今の段階ではお答えしにくい。ただ、解体は1年間で行われるわけではなく分散して行われますので、毎年度の事業予算の中で消化できる規模ではないかと考えています。

 (上田委員)

 33ページの今後の検討課題のところで、先ほど大橋理事のほうから、「5地方のさらなる活用検討」というのを付け加えたというご説明がありましたけども、すでに機能強化で、例えば大阪の機能を強化したり、災害時の対応でもいろいろやられてはきていますが、地方のさらなる活用の課題は、ぜひもう一歩進んで前向きに検討をお願いしたい。いろいろ政府の方針等もあって、日本を、地方を含めて元気にしていこうとする中で、NHKとしても役割を果たしていただきたい。付け加えていただいたことは、非常に結構だと思いますので、実のあるものにしていただきたいと思っています。

 (大橋理事)

 この新しい放送センターの運営については、まだ、基本計画が固まったばかりですので、これから、先ほど申し上げたような工程をたどって、設計に入ります。この建物の中がどういうレイアウトになって、どういう機能を置くのかという詳細な検討もこれからなので、その検討の中で本当に本部に置いたほうがより効率的・効果的なのか、それとも分散したほうが効果的・効率的なのかという検討も進めていかなければならないと思います。今の段階で、どこにどうかということは申し上げられませんが、ご指摘のあった視点も、検討の前提になるようにしています。

 (籾井会長)

 今、NHKは大体年間800億円ぐらいの建設費を使っていますが、そのうち6割くらいは地方です。放送センターで使っているのは、350億円ぐらいしかありません。ご承知のとおり、地方には53局の放送局がすでにあり、お金もそういう使い方をしており、人数についても地方のほうが多い。そういう意味で、われわれとしては、実は先行して地方分散を行っているということはご認識いただきたいと思います。番組についても、ご存じのとおり、地域発信の番組をたくさん作ろうと考えています。ただ、われわれとしては、さらに出したほうがいいということであれば、それはどんどんやっていくつもりです。決してやらないと言っているわけではなく、現状として、われわれは地方に53の放送局を持ち、設備投資の800億円超のうち6割くらいはそこに投資しているというご認識はぜひ持っていただきたい。その上での地方分散であるということだろうと思っております。

 (上田委員)

 会長がおっしゃっていることは、現状として私も理解していますが、1つの考え方として、例えばBBCはスタジオをそれぞれの地域で建て、これを別会社にしています。例えば4K・8Kのスタジオとかが地方に建てられることになれば、付随するクリエイティブ産業を地方に持っていくことができます。少し話は先に進み過ぎるかもしれませんが、そういうことも考えて、地方のさらなる活性化を考えていただきたい。ここに加えていただいたのは非常に結構であると思いますし、今までやってこられたことも分かっていますが、さらに、新しい放送センター建て替えの目玉となるようなものがあれば、視聴者・国民の皆さまに向かってのメッセージ性はあるのではないかと感じています。

 (籾井会長)

 申し上げているとおり、われわれとして、地方に出していけるものがあれば出すということについては、真剣に考えております。

 (上田委員)

 ぜひよろしくお願いします。

 (籾井会長)

 ご安心いただきたいと思います。

 (石原委員長)

 本編の13ページについて教えていただきたいのですがⅠ期は情報棟で、Ⅱ期以降に業務エリアの制作事務棟がありますが、これはⅡ期と考えているのですか。

 (大橋理事)

 工事の手順は業者と相談しないと分かりませんが、順番でいえば、情報棟の次は制作事務棟のオレンジ色ではない黄緑色と緑色の部分になります。

 (石原委員長)

 工期をⅠ期、Ⅱ期と言っていながら、その制作事務棟の中にⅠ期棟とⅡ期棟という表記があります。これがとてもわかりにくいです。それから、制作事務棟のⅠ期棟とⅡ期棟は、両方とも高層ですか。

 (大橋理事)

 違います。17ページに、制作事務棟のⅠ期棟、Ⅱ期棟の断面図があります。この図の右側の部分、13ページでいうとオレンジ色の部分が低い建物です。黄緑色のところが90mで高層となります。

 (石原委員長)

 人工地盤と書いてありますが、これは何でしょうか。

 (放送センター建替本部)

 

 現在、渋谷区役所の前から正面玄関につながる通路があります。これが人工地盤です。その下は南口の玄関や駐車場となります。

 (大橋理事)

 4階を地面として作るものです。

 (石原委員長)

 13ページのグリーンの建物の公開棟は、スタジオパークとかそういったものでしょうか。

 (大橋理事)

 そのとおりで、スタジオパーク、アトリウムなどと考えています。

 (石原委員長)

 アトリウムとは、どういったものでしょうか。

 (大橋理事)

 19ページの一番下に公開棟の断面図が書いてありますが、今おっしゃられたスタジオパークや、公開スタジオ、特大映像スタジオ等が入る予定です。その上のアトリウムというのは、その上に写真がありますように、NHK大阪放送局と大阪市歴史博物館の間がガラス張りで外からの光が入ってみんなが集えるような広場になっていますが、こういうものをアトリウムと言います。外の人に来ていただいて広場として使っていただくなど、そういう施設にしたいと考えています。

 (石原委員長)

 屋上緑化というのはこの上を全部緑化するのですか。

 (大橋理事)

 19ページの公開棟の断面図に、屋上広場とあります。ここを緑化して、イベントができるようなところを設けたということです。ただ、設計はこれからになりますので、今回の基本計画では、そういった役割をこの棟で果たさせたいとか、この棟にそういった機能を盛り込みたいということなので、必ずしもこのとおりに最終的に完成できるわけではなく、設計業者によってもう一度詳細に設計していただくことになります。

 (石原委員長)
 ほかにご意見ありますか。それでは本案件については、了承とします。
 了承にあたって、私から一言申し上げたいと思います。新放送センターの建設は、NHKが今後も視聴者・国民のみなさまの支持をいただきながら、将来にわたって公共放送の役割を果たしつづけていくための、大変重要な計画であると考えています。その基本計画の了承に際して、経営委員会から特に以下の点について、お願いをいたします。
 (1)災害対策、セキュリティ対策を万全とし、いかなる事態にあっても継続して放送を行うことのできる施設とすること。
 (2)最新の技術動向も取り入れ、豊かでよい番組を、効率よく制作し、放送することのできる施設とすること。
 (3)計画の立案、実施にあたっては、地域との調和、環境への配慮を行うこと。
 (4)コスト抑制に努め、受信料ひいては視聴者の負担を最小限とすること。
 (5)放送センターと地域放送局との機能分担について、適切なあり方を検討すること。
 この計画を実施するにあたっては、まだ解決していかなくてはならない具体的な課題が沢山あると思います。なかでも、受信料のご負担をいただく視聴者・国民のみなさまの十分なご理解を得ることが重要です。計画を進めるにあたっては可能な限り公正性・透明性を確保し、機会を適切にとらえて、説明を重ねるようお願いします。また、経営委員会に対しても、ひきつづき、適時報告を行うようお願いします。なお、経営委員会としては、計画が成案を得た時点で、これをもとに収支を見直し、直近の予算・事業計画から直ちにそれを反映した執行部案を示すことを求めています。きょう、基本計画が示されましたので、この件についても、今後の予算編成の過程の中で議論を行って行きたいと考えています。こちらについてもよろしくお願いします。

 

 

 以上で付議事項を終了した。

 

 

<会長、副会長、専務理事、技師長、理事退室>

 

○ 平成28年度役員目標ヒアリング

 黄木理事、松原理事、根本理事に対して、平成28年度役員目標ヒアリングを実施した。

 

 

 上記のとおり確認する。

 

 平成28年9月13日    

石 原  進

 

上 田 良 一