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第1249回
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平成27年12月11日(金)公表
  ※3 審議事項(1)平成28年度予算編成方針 は平成28年1月29日公表

日本放送協会第1249回経営委員会議事録
(平成27年11月24日開催分)

第1249回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1249回経営委員会

 

<会 議 日 時>

平成27年11月24日(火)午後1時50分から午後4時35分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  浜 田 健一郎 本 田 勝 彦 井 伊 雅 子
    石 原  進   上 田 良 一 佐 藤 友美子
    中 島 尚 正   長谷川 三千子 美 馬 のゆり
    宮 田 亮 平   室 伏 きみ子 森 下 俊 三
  ◎は委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔役  員〕

  籾 井 会 長 堂 元 副会長 塚 田 専務理事
  吉 国 専務理事 板 野 専務理事 福 井 専務理事
  森 永 理 事 井 上 理 事 浜 田 技師長
  今 井 理 事 坂 本 理 事 安 齋 理 事

 

 

<場   所>
放送センター  22階経営委員会室  21階役員会議室

 

<議   題>

 

○ 「視聴者のみなさまと語る会(お茶の水女子大学)」の開催について

 

○ 今後の議事運営について

 (1) 経営委員会事務局員の同意人事

 (2) 平成28年度経営委員会日程(案)について

 (3) 「視聴者のみなさまと語る会(埼玉大学)」報告

 

付議事項

 

1 議決事項

 (1) 超高精細度テレビジョンの試験放送業務の認定申請について

 

2 報告事項

 (1) 「放送センター建替工事に関する専門家委員会」の設置について(資料)

 (2) 関連団体の目標管理の見直しについて

 (3) 平成27年度中間財務諸表・中間連結財務諸表について

(資料1)(資料2)(資料3)(資料4)(資料5)(資料6)

 (4) 予算の執行状況(平成27年10月末)(資料)

 (5) 契約・収納活動の状況(平成27年10月末)(資料)

 (6) 地方放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 

3 審議事項

 (1) 平成28年度予算編成方針(資料1)(資料2)

 

4 その他事項

 (1) 海外の放送事業等を支援する新会社の設立に関する総務省の動向等について(資料)

 (2) 営業改革推進委員会の取り組みについて

 

 

議事経過

 

 浜田委員長が開会を宣言し、経営委員会を開催。

 

○ 視聴者のみなさまと語る会(東京)の開催について

 平成27年度の「視聴者のみなさまと語る会」の第7回目は、平成28年2 月18日(木)にお茶の水女子大学で開催することを決定した。

 

○ 今後の議事運営について

 (1) 経営委員会事務局員の同意人事

 経営委員会事務局員の評価について堂元副会長より説明を受け、同意した。

 

 (2) 平成28年度経営委員会日程(案)について

 平成28年度経営委員会の日程(案)を確定した。

 

 (3) 「視聴者のみなさまと語る会(埼玉大学)」報告

 11月17日(火)に開催された「視聴者のみなさまと語る会(NHKキャンパスミーティング@埼玉大学)」について、出席した室伏委員、長谷川委員、井伊委員から報告をうけた。

 

<会長、副会長、専務理事、技師長、理事入室>

 

 本日の付議事項および日程について説明。第1248回(平成27年11月10日開催)の議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成27年11月27日に公表することを決定した。

 

 

1 議決事項

 (1) 超高精細度テレビジョンの試験放送業務の認定申請について

 (板野専務理事)
 来年2016年に、BSで4K・8K試験放送の開始が予定されています。
 本日は、2016年に開始が予定されている超高精細度テレビジョンいわゆる4K・8Kの試験放送の開始に向けた、総務大臣への認定申請についてご説明いたします。
 試験放送を実施するにあたっては、「免許」に相当する総務大臣の「認定」が必要となります。
 そのため、総務省は必要な制度整備を行い、現在、4K・8K試験放送を実施する衛星基幹放送事業者の認定申請の受付を行っているところです。
 「基幹放送普及計画」において、NHK及びNHK以外の放送事業者の2者が、4K・8Kの試験放送を実施することが示されており、NHKとしましても、BSによる4K・8K試験放送の実施にむけて、認定申請を行いたいと考えています。

 (長谷川委員)

 1つ質問です。現在のところ、8K受信機の普及状況はどのようになっていますでしょうか。併せて、そこに課題が見えているかどうかお聞かせください。

 (メディア企画室)

 試験放送の受信機に関しては、現在、試験放送の開始段階では4Kも8Kも含めて、まだ市販される状況ではありません。試験放送を経て市販される見込みで、その際には4Kも8Kも受信できる受信機が市販されると認識しております。

 (長谷川委員)

 わかりました。そうすると、視聴者は普通のテレビで受信するのではなく、パブリックビューイングなどで宣伝的にやるのでしょうか。

 (板野専務理事)

 今のところ、NHKの放送局で整備を進めております8Kディスプレーで視聴していただくという形になっております。

 (長谷川委員)

 わかりました。ありがとうございました。

 (中島委員)

 権利処理で難しい問題などは想定されていますか。

 (メディア企画室)

 権利処理については、試験放送ということで各権利団体にその旨をご理解いただいて、特別の権利にお金を払うなどということがないようにお願いしてもらっているところです。今のところ主だった権利団体からは、了解をいただいております。

 採決の結果、原案どおり議決。

 

 

2 報告事項

 (1) 「放送センター建替工事に関する専門家委員会」の設置について(資料)

 (井上理事)

 放送センター建替工事に関する専門家委員会の設置について、ご説明します。
 放送センターは、公共放送から放送と通信の融合時代にふさわしい“公共メディア”への進化を見据えて、放送開始100周年の2025年に、ニュースセンターや情報系スタジオなどが入る新しい施設の運用を開始し、以後、ドラマスタジオや事務室の建て替えを順次予定しています。
 建て替えにあたっては、現放送センターから放送継続を確実に行ないつつ、部分解体を伴う工事を進めて参りますが、現在地での建替工事における入札・契約方式など手続きの進め方に関する諸課題を検討するにあたり、公平性と透明性の確保に向けて助言をいただくため、外部の専門家で構成する委員会を設置いたします。
 委員については、優れた識見と高い専門性を有し、放送センターの建替工事に関して、それぞれのお立場から助言をいただける方にお願いしました。公認会計士の鈴木啓之氏、一般財団法人民間都市開発推進機構理事長の原田保夫氏、弁護士の佐藤りえ子氏、東京大学大学院工学系研究科教授の松村秀一氏、一橋大学大学院商学研究科教授の荒井 耕氏の5人の方々です。
 委員長は、鈴木啓之氏にお願いします。
 委員会の設置期間は、平成27年12月から平成29年3月までの予定です。期間中に、委員会を6回程度開催し、入札・契約方式や業者募集要項の作成について助言をいただく予定となっております。

 

 (2) 関連団体の目標管理の見直しについて

 (井上理事)

 27年度からの経営計画では、「創造と効率を追求する、最適な組織に 改革」することを重点方針として掲げました。
 この背景には、経営環境が大きく変化していることがあります。
 こうした中で、NHKは、グループ全体で世界最高水準の放送・サービスを提供する、第一級のコンテンツ創造集団を目指していかなくてはなりません。そのため、グループ全体で限られた経営資源を最大限有効に活用していく必要があります。
 経営計画に明記した①NHKグループ全体での業務見直しや経営資源の再配置をしていくこと、②NHKグループ全体での管理の仕組みを導入することは、このための方針で、経営計画議決の際の「経営委員長見解」で求められていることでもあります。
 この経営計画に従って、具体的に取り組んでいる施策に、業務の一層の効率化に向けた、いわゆる「見える化」があります。
 「見える化」とは、NHKが関連団体へ委託している業務や関連団体が独自に行っている業務の棚卸しを行い、経営資源を再配分して、効率性・生産性を高めるための取り組みです。
 これを踏まえて、関連団体の経営目標についても、NHKの関連団体として、ふさわしい事業、役割を適切に果たしているかを評価するよう見直していきます。
 具体的には、各団体の事業計画の財務状況のほか、NHKが進める「見える化」やガバナンスへの取り組み、重点事業ポイント等を多面的に評価していきます。
 経営目標の見直しについては、既に関連団体の理解も得ております。
 来年度からの実施に向け、今後、詳細を詰めてまいります。

 (石原委員)

 この「見える化」とは、具体的にどういうことを考えているのでしょうか。

 (井上理事)

 「見える化」は、関連団体にNHKから委託している業務等について、従事体制や課題の実態をあらためて確認し、必要な見直しを図り、より効率的なグループ経営に結びつけようという取り組みになります。

 (石原委員)

 まだ関連団体の業務の中身がきちっと把握されていないということですか。

 (井上理事)

 関連団体に委託する側のNHKが、あらためて確認するということです。

 (石原委員)

 委託業務の内容と金額などを整理してみて、その中に無駄なもの、重複しているものがあるのではないか、金額が高過ぎるということもあるのではないかということを「見える化」するわけですね。

 (井上理事)

 例えば、ずっと継続している委託業務の中に、IT化が進んだことで効率的に作業ができるようになったようなものがあれば、きちんと把握したいということです。

 (石原委員)

 現在ITでできるものを従来からの方式で手作業でやっていたものをIT化することにより効率化できるということですね。

 (井上理事)

 そういった当然減らせるものを見直そうとしています。

 (森下委員)

 このガバナンスの取り組みと、今の「見える化」ということ両方に関係するかも知れませんが、今年度、関連団体について、かなりいろいろな見直しをしてもらっています。さまざまな管理の仕方、伝票の切り方などそろえてやっているので、それがどのくらい現場に浸透しているのか。ルール・規定をつくって指示はしていますが、実際には、日々の業務処理の中でそれがきちんと実行されているのか。放送局のほうは内部監査をしますが、どうしてもグループのほうはできないので、そういう点で現場の定着状況を、ぜひガバナンスの取り組みのところで把握できるようにしていただきたいと思います。

 (井上理事)

 非常に重要なご指摘だと考えております。実際、関連会社・団体の監査体制については、整備を進めてきたところであり、これからそういった取り組みについては、こうした評価の基準の一つにしていきたいと考えております。

 (佐藤委員)

 今、評価とおっしゃいましたが、全体としての目標が明確になっているというわけではないですよね。グループ全体がどこに向かっていくのかなど、わからないところもあります。今回のは、さっきおっしゃったとおり実情を把握するためのものだと思ったらよいのでしょうか。全体がどちらの方向に行くのかは、これからの議論になると思うので、個々のグループはそれを示せと言われても難しいと思います。ただ現状何をやっていてどこが課題かということは、多分それぞれのグループが持っていらっしゃるし、見えるようにしなくてはいけないところだと思うので、その調査と考えたらよいのでしょうか。

 (井上理事)

 こうしたことは当然、来年度のそれぞれの団体の事業計画や予算にも反映されると考えております。

 (佐藤委員)

 わかりました。ありがとうございます。

 (美馬委員)

 これは、既に存在する関連団体についての見直しのためということですが、そもそも事業自体、あるいは団体自体が必要かどうかという見直しというのはどこかでなされるのでしょうか。

 (井上理事)

 今のところはまだそこまでは考えておりませんが、将来的には、時代の状況に応じた検討も出てくるのではないかと思います。現時点では、それぞれの団体の「見える化」や改革を進めていくことを考えております。

 (美馬委員)

 ぜひ今後は、今やっている事業も含めて、全てNHKが、関連団体も含めてやる必要があるのかどうかを見直す機会をつくっていただきたいと思います。

 (井上理事)

 個々の団体の「見える化」を進める中で、そういった検討も当然出てくると思います。

 (美馬委員)

 よろしくお願いします。

 (浜田委員長)

 私は、この目標の転換は、ある意味では「関連団体ガバナンス調査委員会」の報告書に沿った形で現実的な経営目標の転換をされようとしているもので、かなりの転換になるものだと思っていますので、ぜひ関連団体との話し込みをしていただいて、着実な実現を目指していただきたいと思います。

 

 (3) 平成27年度中間財務諸表・中間連結財務諸表について

(資料1)(資料2)(資料3)(資料4)(資料5)(資料6)

 (福井専務理事)

 平成27年度中間決算の財務諸表がまとまりましたので、ご報告します。
 中間決算の概要につきましては、前回の経営委員会でご報告しましたが、今回、正式な中間財務諸表としてまとまり、財務諸表に対する会計監査人の監査報告を受領しましたので、あらためてご報告します。
 なお、金額につきましては、前回の報告からの変更はありません。
 まず、「平成27年度中間財務諸表」をご覧ください。
 こちらが、単体の正式な決算書です。表紙を開きますと「目次」がございます。中間財務諸表の構成は、「中間財産目録」、「中間貸借対照表」、「中間損益計算書」、「中間資本等変動計算書」、「中間キャッシュ・フロー計算書」及び「これらに関する説明書」となっております。
 27年度中間決算での変更点をご説明します。
 16ページをご覧ください。重要な会計方針の「1.4 引当金の計上基準」の(6)に、今年度から新たに設定された「東京オリンピック・パラリンピック関連費用引当金」について記載しております。
 この中間決算では、年間30億円の半分の15億円を計上しています。この引当金は、今年度から開催年度の平成32年度まで、毎年30億円を6年間にわたり計上していきます。以上が変更点です。
 次に、「独立監査人の中間監査報告書」をご覧ください。監査報告の下から6行目に、「中間監査意見」として、「中間会計期間の経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する有用な情報を表示しているものと認める」と、いわゆる適正との意見が表明されています。
 次に、その下の「平成27年度中間連結財務諸表」をご覧ください。こちらが、連結の正式な決算書です。
 こちらも、単体決算と同様に、中間連結財務諸表の構成は、「中間連結貸借対照表」、「中間連結損益計算書」、「中間連結資本等変動計算書」、「中間連結キャッシュ・フロー計算書」及び「これらに関する説明書」となっております。
 最後に、その下の「独立監査人の中間監査報告書」ですが、こちらは連結財務諸表に対する監査報告となっております。報告書の下から6行目の終わりからの、「中間連結会計期間の経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する有用な情報を表示しているものと認める」と、いわゆる適正との意見が表明されています。
 参考として、一番下に、前回の経営委員会で報告しました「平成27年度中間決算の概要」を添付しております。
 前回ご説明したとおり、中間決算では、単体・連結とも前年度中間期に対して増収増益の決算となっております。
 なお、視聴者への公開は、このあと、これらの財務諸表等をホームページに公表します。

 

 (4) 予算の執行状況(平成27年10月末)(資料)

 (5) 契約・収納活動の状況(平成27年10月末)(資料)

 (6) 地方放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 (浜田委員長)

 報告事項(4)(5)(6)については、特段の質問等がなければ、資料配付のみで報告に代えさせていただきたいと思います。

 

 

3 審議事項

 (1) 平成28年度予算編成方針(資料1)(資料2)

 (福井専務理事)
 「平成28年度予算編成方針」についてご説明します。
 これは、10月27日の経営委員会でご説明した「予算編成の考え方」に基づき作成したもので、28年度予算編成の具体的な考え方や収支の概要等をまとめたものです。
 2ページをご覧ください。2ページは「予算編成方針」として、28年度予算編成の基本的な考え方をまとめたものです。
 まず、第1段落では、スーパーハイビジョン試験放送開始やインターネットの活用による放送と通信の融合など、メディア環境が大きく変化していることを説明しています。また、国内外がさまざまな課題に直面する中で、事実に基づく正確で信頼できる情報を伝え、日本を正しく理解してもらうために、日本を世界に積極的に発信していくことが重要であるとしています。
 第2段落では、3か年経営計画の2年目となる28年度の事業運営にあたっては、公共放送の原点を堅持し、事実に基づく公平・公正で正確・迅速な報道に全力を挙げるとともに、豊かで質の高い多彩な番組の充実を図り、さらには国際放送を強化して日本を世界に積極的に発信していくこととしています。
 3段落目では、スーパーハイビジョンの試験放送が始まることを受けて8K・4Kによる制作・活用を一層推進するとともに、インターネットを活用した新サービスや「人にやさしい」放送・サービスの拡充などを行うこととしています。
 次の段落では、受信料の公平負担の徹底に向け、受信料制度の理解促進と営業改革を一層推進して支払率の向上を図り、また、創造と効率を追求する最適な組織に改革し、効率的な経営を推進することとしています。さらには、情報システムのセキュリティを強化するなど、情報管理・放送継続のための対策を一層徹底していきます。
 そして、最後に、28年度の予算編成にあたっては、収入の増加と業務全般にわたる経費の削減等により、経営資源を経営計画の重点事項に重点配分するなど、メリハリのある予算を編成します。後ほど事業支出の主な内訳をご説明しますが、経費削減と新規・重点事項の内容・金額を細かく具体的にお示ししていきます。
 そして、渋谷の放送センターの建替え等に備えて、建設積立資産への繰入れを行い、将来の財政基盤の安定化を図ることとしています。
 3ページは事業運営の重点事項です。3か年計画に掲げた5つの重点方針を柱としています。10月の経営委員会でも説明いたしましたが、3か年経営計画の重点事項に、28年度の固有の事項や後発事象への取り組みとして3つの項目を追加しています。
 1つは、(1)「判断のよりどころとなる正確な報道、豊かで多彩なコンテンツを充実」の4つ目に、28年度に開催されるリオデジャネイロオリンピック・パラリンピック放送と第24回参議院議員通常選挙放送の実施を追加しております。
 次に、(3)「新たな可能性を開く放送・サービスを創造」の3つ目に、「8K・4Kスーパーハイビジョンの試験放送開始への対応」を追加し、8K・4Kが一体となって実用化に向けた取り組みを推進していくこととしています。
 3つ目は、(5)「創造と効率を追求する、最適な組織に改革」の中ほどに記載しましたが、「情報流出防止・放送継続を目的としたシステムのセキュリティ強化」を重点的に実施していきます。
 続いて4ページには、28年度の収支構造をお示ししています。
 収支構造につきましては、前回の「予算編成の考え方」でご説明した内容と同じです。
 まず、事業収入は、受信料の増収や関連団体からの受取配当金の増などにより、27年度に対して185億円の増収、率にして2.7%の増となる7,016億円となり、事業収入は初めて7,000億円を超えることになりました。
 事業支出につきましては、業務全般にわたる見直しにより経費の削減を行う一方で、番組の充実や国際放送の強化に加え、8K・4Kの取り組み強化や情報システムのセキュリティ強化等により、全体では27年度に対し167億円の増、率にして2.5%の増となる6,936億円とします。以上により、事業収支差金は80億円となり、全額を建設積立資産に繰り入れることとします。
 その結果、ページの一番下の表の建設積立資産は、28年度末には1,490億円になる見込みです。また、財政安定のための繰越金は、28年度に建設費等の財源として62億円を使用し、年度末には727億円となる見込みです。
 5ページは受信料の概要についてです。28年度の受信料収入は、27年度に対して150億円の増収となる6,758億円としています。
 左の棒グラフに150億円の増収の構造をお示ししています。まず、27年度は、現時点では、予算に対して8億円増収の6,616億円を見込んでいます。28年度予算は、そこからさらに142億円の増収を図ります。
 28年度の営業目標につきましては、右側の表に赤枠でお示ししたとおり、契約総数で50万件の増加、未収数で11万件の削減、衛星契約数で63万件の増加を計画しています。
 この結果、28年度末の支払率は78%、衛星契約割合は50%の達成を見込んでおり、中でも衛星契約割合は、経営計画から1年前倒しで50%を達成する計画となっています。
 6ページの棒グラフは、受信料収入等の推移をお示ししています。
 業績確保に向けた取り組みにより、受信料収入、支払率、衛星契約割合のいずれも、毎年着実に伸ばしています。
 7ページは、28年度の事業支出予算について、27年度に対する増減の構造をお示ししています。
 下の表にありますとおり、27年度の事業支出6,769億円から、182億円の経費削減を行う一方で、新規・重点事項に358億円の財源を配分することなどで、28年度は6,936億円、前年度比167億円の増となる構造となっています。
 具体的には、経費の削減は、下の赤い囲みにありますとおり、関連団体への業務委託等について、契約内容を見直していっそう効率的に実施することなどで52億円を削減します。また、番組の廃止等による番組制作費の見直しで49億円の削減、給与制度改革や要員効率化等で19億円を削減するなど、総額で182億円の経費削減を行います。 
 この経費削減と受信料の増収等による財源を、青い囲みでお示しした、番組の充実・強化に69億円、リオデジャネイロオリンピック・パラリンピック放送に46億円、国際放送の強化に30億円など、新規・重点事項全体で358億円を重点配分します。
 次のページからは、主な事業支出の科目ごとの概要について、経費削減と重点事項による増減を中心にご説明します。
 9ページ、10ページは国内放送費の概要です。9ページの表にありますとおり、国内放送費全体では27年度に対して、番組の廃止などで108億円を削減する一方で、8K・4Kへの取り組みの強化や、オリンピック・参議院議員選挙の放送などの新規・重点事項に290億円を配分します。これらにより、28年度の国内放送費は3,210億円となり、27年度に対して162億円を増額します。
 国内放送費の内訳としては、まず、(1)の番組制作関係では、番組改定に伴う番組の廃止や関連団体への業務委託の見直しなどで、86億円の経費削減を行います。
 次に重点事項は、右の棒グラフの水色部分ですが、8K・4K番組制作の強化で23.7億円を増額します。具体的には、試験放送の開始に伴い、2Kコンテンツの制作と一体となった8K・4Kの番組制作を推進するほか、全編を4Kで制作するドラマやスポーツコンテンツなどを充実します。
 次に、リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックの放送を46.7億円で実施するほか、番組の充実や地域ラジオ放送の強化などを実施することで、28年度の番組制作関係の予算は1,757億円となります。
 続いて10ページをご覧ください。(2)の報道取材関係では、海外の通信社等からのニュース購入の契約見直しなどで、3億円を削減しますが、来年7月に任期満了を迎える参議院議員選挙の取材・放送を8.3億円で実施することにより、28年度の報道取材関係の予算は222億円となります。
 次の(3)の制作共通費等は、契約内容を見直して情報システムの機能改修項目を絞り込むことなどで8億円の経費削減を行う一方で、情報システムのセキュリティ強化・改善を26.2億円で実施するほか、スマートフォン向けに災害・防災情報などを提供する「防災・ニュースアプリ」の運用開始による増などで、28年度は577億円となります。
 最後の(4)技術関係につきましては、設備保守の仕様見直しや定期補修項目の見直しなどで9億円を削減します。一方で、スーパーハイビジョンの試験放送開始によるトラポン利用料等の増や放送継続のためのセキュリティ対策、全国に整備を進めている映像ファイル交換ネットワーク関連の設備保守費の増で28年度の技術関係の予算は653億円に増額します。
 11ページは国際放送費の概要です。国際放送費全体では7億円の経費削減を行う一方、新規・重点事項に30億円を配分します。これにより、28年度予算は248億円となり、27年度に対して22億円を増額します。
 内訳としては、(1)のテレビ国際放送では、複数の番組でニュース素材を共有するなど、効率的な番組制作により6億円の経費削減を行う一方で、番組の充実として、アジア地域の取材制作体制の強化、英語ニュースを充実させることや、平日夜間に15分のインタビュー番組を新設することなどで23.2億円を増額します。
 また、受信環境整備やプロモーションの強化で6.1億円を増額し、北米やアジア等の重点地域で影響力のあるチャンネルを確保するほか、全米の主要都市をカバーする大型キャンペーンなどを実施します。
 以上により、28年度のテレビ国際放送は210億円で実施します。
 次に(2)のラジオ国際放送は、新規の中波・FM波で中継を行ったり、ウェブニュースの多言語化サービスの拡充などに取り組み、27年度とほぼ同額の38億円で実施します。
 次に12ページをご覧ください。営業経費の概要です。右側の表に記載しましたが、28年度の営業経費は、27年度とほぼ同額の735億円としています。この数字は、契約収納費の物件費に職員の人件費と、減価償却費を合わせた総経費となっています。
 営業経費の内訳につきましては、左側の棒グラフにありますとおり、まず、一番上の地域スタッフ等の手数料・給付金は、地域スタッフ体制を2,100人から1,700人に削減するなどで29億円を削減します。その一方で、その下の法人委託手数料については、大都市圏対策の強化やその他の地域でも委託地区を拡大することで、あわせて26億円の増となります。なお、法人委託の公開競争入札の実施地域は82地区から91地区に、エリア型法人委託は286地区から309地区に拡大します。このほか、下の契約収納対策などでは、オートロックマンション対策等の大都市圏対策の強化や、電話料金との一括支払いなど訪問によらない未収回収施策の強化に取り組むこととしています。
 このように、受信料の契約収納業務につきましては、支払率の低い大都市圏対策を強化する一方で、地域スタッフから法人委託への体制見直しを行うなど、営業改革を着実に推進していきます。
 なお、受信料収入に対する営業経費の割合である営業経費率は、右側の表の下にありますが、28年度は10.8%となります。受信料が増収となる一方で経費の増を抑制することにより、27年度に対して0.3ポイント低減します。
 13ページでは営業経費と営業経費率の推移をお示ししています。下の表にもありますとおり、分母となる受信料収入が毎年100億円以上増収を続けている一方で、営業経費は抑制しているため、営業経費率は年々低下し、28年度は過去最低の10.8%となる見込みです。
 続いて、14ページをご覧ください。セキュリティ強化に関連して、情報システム関係経費の概要をまとめています。
 企業や組織を標的としたサイバー攻撃が増加している昨今の社会状況を踏まえ、NHKとしても個人情報等の流出防止や放送継続のためのセキュリティ対策の強化を図っていきます。
 下の棒グラフをご覧ください。情報システム関係経費は、28年度は202億円とし、27年度に対しては28億円を増額します。
 増額の内訳として、まず水色の棒グラフの上の、セキュリティ対策強化として20.5億円を増額します。具体的には、営業システムやマイナンバーを管理するシステムなど重要システムをインターネットから分離したり、悪意のある不正プログラム等に対して協会内ネットワークのセキュリティを強化します。
 また、既存システムの維持・改善等として10.8億円を増額します。全国のファイルサーバや部局システムのクラウド化や、サポート期間が終了するオフィスソフトの更新を進めます。
 このようにセキュリティ強化を重点的に実施する一方で、真ん中の赤い囲みでもお示ししたように、既存システムの機能改修項目の絞り込み等による運用・保守経費の削減など、経費の削減にも着実に取り組んで参ります。
 15ページは人件費の概要です。
 まずは、右側の表をご覧ください。給与と退職手当・厚生費をあわせた28年度の人件費総額は1,791億円とし、27年度に対して38億円を削減しています。
 このうち、給与は1,174億円とし、引き続き給与制度改革を行うことなどで、27年度に対して7億円の減とします。
 増減の内訳としましては、左側の棒グラフにお示ししましたとおり、給与制度改革や120人の要員効率化により16億円を削減する一方で、削減した120人を重点業務に再配置することで6億円の増、東京オリンピック・パラリンピック放送への対応で31人を増員することで3億円の増としています。
 次に、退職手当・厚生費は617億円とし、右の表にありますとおり、30億円の減としています。その内訳は、左のグラフで給与の削減に伴い社会保険費を2億円削減するほか、年金資産運用の改善等による退職給付費の25億円の減などです。
 要員体制については、要員の効率化を行う一方で、重点業務への要員配置や東京オリンピック・パラリンピック放送の対応により、27年度に対して31人増の10,273人を見込んでいます。
 16ページは、給与予算と要員数の推移です。棒グラフの給与予算は、要員の削減や給与制度の見直しなどにより、毎年、着実に減少させています。
 17ページをご覧ください。これまで説明してまいりました収支予算案について、科目別にお示ししています。
 事業支出の科目別で見ますと、番組の充実等で国内放送費が162億円、国際放送費が22億円の増となっており、事業収入の増185億円のほぼすべてをこの2つの科目に配分し、その他の科目は全体では対前年度で減となっています。経営計画の考え方に沿って、経営資源を国内放送と国際放送に重点配分しています。
 このページでは、これまで説明していない科目について、簡単にご説明します。
 事業収入では、財務収入は、関連団体からの特例配当等により37億円の増となります。また、雑収入については前々年度以前受信料の回収額の減等により5億円の減としています。
 事業支出では、調査研究費は、放送博物館リニューアルの終了などで8億円の減、減価償却費は建設費の増に伴う償却対象資産の増等で28億円の増としています。
 18ページをご覧ください。ページ上段は建設費の概要です。こちらも前回の「予算編成の考え方」でご説明した通り、28年度予算は828億円とし、27年度に対して22億円を増額します。
 28年度は、8Kスーパーハイビジョン設備の整備や地域放送会館の整備、老朽設備の更新などを着実に行い、さらに4K設備の強化と情報システムのセキュリティ強化のための整備を総額828億円で実施します。
 内訳としては、28年度は、青色で示した4K設備の強化、情報システムのセキュリティ強化を重点的に実施しますが、これまで実施してきたスーパーハイビジョン設備の整備、映像ファイル交換ネットワークの整備、地域放送会館整備などは全体として27年度と同規模で実施することとします。
 続いて、ページ下部は出資についてです。
 海外において通信・放送・郵便事業を行う者等への支援を行うこと等を目的とした法人に対する出資を2億円計上しています。
 この出資については、計画の詳細が固まった段階で、経営委員会の議決をいただいて行います。
 ページをめくって19ページは、放送番組等有料配信業務勘定です。
 28年度は、VOD事業者への番組提供収入の増を図ることで、事業収入は0.4億円増の22億円としています。一方、事業支出は、サービス拡充に向けた配信システム経費の増等により、0.4億円増の22億円とします。以上により、事業収支差金は、27年度と同規模の0.1億円の黒字を確保します。
 次に20ページをご覧ください。28年度予算を編成するにあたり、その前提となる消費者物価指数や為替レートなどの経済指標の見通しを記載しています。
 表にありますとおり、消費者物価指数につきましては上昇が見込まれていますが、経費の削減で対応することとします。また、一番下の為替レートにつきましては、民間調査機関の予測値の平均で見込んでおり、28年度米ドルの予算レートは、表の右側のとおり122円としています。27年度予算では、1ドル118円としていましたので、4円の円安による支出増を織り込んでいます。
 最後に今後の予算編成スケジュールをお示ししています。本日、この予算編成方針をご了承いただきますと、これをもとに、さらに詳細な予算編成作業を進め、次回12月8日の経営委員会には、「収支予算編成要綱」として事業計画の詳細や予算科目別の内訳などをお示ししてご審議いただく予定となっております。
 12月22日の「政府予算案に基づく収支予算の調整等」では、国際放送交付金等の予算額に変更がある場合の調整についてご説明いたします。
 その後、年明けの1月12・13日の経営委員会で、放送法施行規則の記載事項に則って作成した「収支予算、事業計画及び資金計画」、いわゆる予算書を審議・議決していただきたいと考えております。

 (上田委員)

 4ページに関しての質問です。一般勘定・事業収支の表のとおり、平成27年度の事業収支差金は62億円となっています。一方、前回の11月10日の経営委員会で「平成27年度中間決算・中間連結決算(概要)について」のご報告をいただいた際に、福井専務理事にご質問させていただき、年度の見通しとしては250億円前後ということを伺いましたが、これに基づくと予算より200億円程度は上振れする予想となっています。そうすると建設積立資産が27年度末見込みで1,410億円ではなく、収支差金を建設積立金に全部もっていけばこれが1,600億円近くになります。ところで、新しい放送センターは、現在地と同じ場所に時間をかけながら建設することとなりました。28年度予算案の事業収支差金は建設積立資産に繰り入れるということになっていますが、やはり、今回の予算を最終的にまとめるにあたっては、今回見直しで現在地に長期間にわたって建設する計画になった時に、建設積立資産がどのくらいの水準まで想定されるのか。現経営計画策定の議論の際には別の場所での建設も視野に入れていたため、6月時点でどのくらいの建設費になるのか見直すこととし、先送りした経緯がありますが、今回の見直し結果を踏まえて、今回の予算の段階で、どのくらいの建設積立資産の必要性を見込んで全額積立資産にもっていくのかの説明が外部に対しても必要になってくると思いますが、どのようにお考えでしょうか。

 (福井専務理事)

 前回の経営委員会で、平成27年度の半期決算をご報告した際に、平成27年度決算見込みの大体の方向性をご説明しました。昨年度の上半期で250億円程度の黒字が出て、ほぼ決算でそのまま残った形になっています。今年度も、特段の状況の変化が無い限りそれに近い黒字は出ると思います。ただ、決算の段階では、すべて収支改善分をこの建設積立金に組み入れるのか、財政安定のための繰越金に組み入れるのかの判断があると思います。もうひとつは、放送センターの建て替えのシミュレーションについては、今、事務的に想定の数字で試算をしていますが、少なくとも1,490億円レベルでは足りない状況で、今のところは、建て替えの建物経費や地方会館の建て替えがまだ十数局ありますので、その建物部分二つを含めると相当な額の建設費が必要になります。それは、もう少し内容が詰まった段階でご説明したいと思っています。

 (上田委員)

 予算が最終的に確定するまでにご説明をいただければ十分です。今おっしゃっていた250億円程度の黒字の一部を財政安定のための繰越金に充てるとのことですが、すでに、財政安定のための繰越金も789億円となっているわけです。これを、28年度に取崩ししても727億円の見込みになっています。国会等でも、受信料の1割程度をめどに、といっています。それは十分な繰越金が積み立てられているというわけですね。それから、先ほどご説明いただいた地方放送会館の建設については、18ページの建設費の概要にあるように、828億円を見込まれていて、27年度は会館建設費が38億円だったものが、28年度は131億円を見込むという予算になっています。今のご説明では、ここももっと積み立てないといけないという風に聞こえました。やはり、予算が確定する中では、建設積立金の将来的に必要な水準を、ある程度ご説明をしていただきたいと思います。収支差金が出たら自動的に積立金に持っていくということでは、第三者に対する説明が難しいのではないかと感じました。

 (福井専務理事)

 そこは、固まり次第ご説明させていただきます。

 (上田委員)

 ぜひ、よろしくお願いいたします。

 (石原委員)

 毎年思うのですが、中間決算が出たあとの年度予想がありません。民間会社の場合には、収入の変化、経費の執行の状況などから必ず年度の予想をします。現在、約260億円の事業収支差金、いわゆる純利益があるわけですね。本来であれば、それを反映した上で来年度の予算の調整を出しているわけです。ところが、NHKの場合には、予算・予算でやっているのです。収入はそれほど変わりないかもしれませんが、特にコストのほうは実態とはかなりかい離したものになってきているのではないですか。

 (福井専務理事)

 コストの中身については、当然今年度行った取り組みをそのまま28年度に取り込んでおりますので、予算には反映されています。NHKの場合、予算制度ですので、半期決算の結果が出た段階で民間企業のように年間の見通しを出すのが非常に難しいのです。最終的には予算が目標ということです。

 (石原委員)

 例えば、収入についても受信料が上半期で50.2%の年度計画に対する達成率ですね。上期下期の割合はどのように見ているのでしょうか。

 (福井専務理事)

 下期のほうが若干多くなっています。この半期決算で去年に対して62億円の増収となっています。これが恐らく、100億円を超える増収になります。

 (石原委員)

 中間期ごとで比較してみたらどうでしょう。

 (福井専務理事)

 中間期ごとで比較したものは、資料「平成27年度 中間決算の概要(単体)」の「損益の状況」にお示ししております。黒字がほぼ昨年度と同じ位です。

 (石原委員)

 これによると、コストが予算よりも相当少なくなっていますね。その結果、257億円の純利益が出ている。コストを削減する、むだをなくすことは大事なことです。来年度の予算も、今年度のコスト削減を前提として作るわけですが、予算どうしで比較しているのでわかりにくいですね。

 (福井専務理事)

 当然、各部局で、今年度の見込みを出した上で、来年度の予算要求をしています。基本的には今年度の実施項目は織り込んだ状態です。数字には出ていませんが、中身はすべて今年度の業務改革です。

 (石原委員)

 中間決算でいただいた資料には、中間期どうしの比較の貸借対照表や損益計算書もないのでわかりにくいですね。

 (福井専務理事)

 この資料にはございませんが、当然、中間期ごとの比較をしております。

 (石原委員)

 われわれの予算は中間期を過ぎたら年度最終の利益予想を出し、それをもとに来年度の予算ができあがっていくわけです。

 (福井専務理事)

 予算制度では、収入は予定額で、支出は上限となり、それをもとに各放送局等が取り組んでいきます。年間の予算承認を前提にやっておりますので、それを途中で変えることはできません。

 (石原委員)

 私は、途中で変えるということを申しているのではなく、これをもとに来年度の予算を作ったらどうかと言っているわけです。

 (福井専務理事)

 予算編成にあたっては、見込みを織り込んでいます。

 (石原委員)

 それが、されているかどうかが、今の説明ではわかりません。

 (福井専務理事)

 例えば、先ほどの経費削減等の内訳も、今年度行うもの、来年度行うものを含めています。

 (本田代行)

 中間決算では分析されているのでしょうから、それを必ず次の予算に反映されないといけません。予算制度だからできないというのはおかしいのです。先ほどの説明で、182億円の経費削減するというのは、それなりに分析したものだと思います。しかし、それが本当にしっかりと努力しているのか、もう少ししっかりやってくれよ、という風に受け取られてしまう。予算制度だからということではなく、職場の皆さんも頑張ってくださって、ここはまだ削減できるのではないかと分析しながら182億円の経費削減をやられてきたわけです。そういった努力を踏まえて、きちんと編成されていますと、経費削減の問題について、もう少し取り組んだほうがよい。確かに民間は、中間決算で次の見通しを大幅に増やす場合も、減らす場合もあります。しかし、NHKの場合には、大幅に利益を減らすということは、現在の事業環境の中ではないと思います。削減はまだかなりできるのではないかという感じがしますので、そういう意味で石原委員がおっしゃったのだと思います。

 (石原委員)

 そうです。そうしないと本当の実態と合わない予算になってしまいます。中間決算の成果を分かりやすく示せば、頑張り方が違ってくると思います。

 (福井専務理事)

 業務見直しについては、そういう取り組みがあるので予算残があるわけです。当然、業務見直しを含めて28年度の事業を組み立てたということです。

 (井伊委員)

 関連した質問です。業務委託費の見直しは、主に関連会社のものでしたが、先ほどご説明のあった「関連団体の経営目標の見直し」がうまくいくという前提なのかどうか、その関連性についてお聞かせください。

 (福井専務理事)

 先ほどの「関連団体の経営目標の見直し」とは別です。52億円は、実際に見直す額です。それを、実行する段階で「見える化」して、中身をさらに確認していきます。

 (浜田委員長)

 関連した質問ですが、収支状況がよい中で、関連団体に特例配当を要請する理由はなんでしょうか。

 (福井専務理事)

 それは、関連団体の剰余金が一定額あるということがあります。基本的に特例配当については、剰余金からの配当になりますが、グループ経営の観点から、配当を含めて現在検討しているところです。

 (井上理事)

 関連団体への業務委託等は52億円を削減することになっていますが、今、おっしゃった関連の目標の変更と、この委託費の削減とは当然リンクさせて一緒に進めていこうとしております。

 (佐藤委員)

 別の質問です。非常によい成果が出ていて、4K・8Kへの取り組みの強化や国際放送を充実するためのいろいろな放送費の支出については、よく分かります。ただ、例えば、9ページの番組制作費にある「番組の充実」に記載されている「平日夜間帯を中心としたニュース・番組の強化等」で約69億円を支出については、今でも十分に番組は充実しているではないかと思われ、それに対してプラス69億円とするには、突出した何かがないと納得性がないように感じます。オリンピック等は支出の理由がわかりますが、この69億円については分かりづらいです。ひとつひとつの放送番組のことについて言うわけではありませんが、来年、不足しているものが何で、何を補おうとしているのか、その支出の必然性についてご説明をお願いします。

 (福井専務理事)

 「番組の充実」の69億円はスクラップ・アンド・ビルドの額で、純粋に69億円増えるということではなく、番組の改編時のスクラップの額と相殺すると、テレビ番組では約20億円の改定原資となります。番組については、板野放送総局長よりご説明します。

 (板野専務理事)

 なぜ、平日夜間の充実をしなければならないかというと、例えば、NHKには放送文化研究所で調査している視聴率の動向や、接触率の状況が長期的に低落傾向を示しているという問題があります。若い人のテレビ離れの問題もあります。それから、NHKの視聴者層の高齢化が進んでいることなどにも歯止めをかけないといけません。例えば、家族視聴を増やしていきたい、あるいは、若い人向けの番組を開発するなどと番組の充実を図っていく必要があるということです。

 (佐藤委員)

 具体的にはそういうことなのですね。それであればわかりました。やはり、目的があってお金を出すという説明が必要ではないかと思いました。

 (浜田委員長)

 それでは、この場での議論における指摘を踏まえた上で、方針を了承したいと思います。予算編成要綱案の作成に向けた、検討と準備をお願いいたします。

 

 

4 その他事項

 (1) 海外の放送事業等を支援する新会社の設立に関する総務省の動向等について(資料)

 (井上理事)

 総務省に、海外の放送事業者を支援する新会社を設立する動きがありますので、それらについて説明させていただきます。
 資料の1ページ目をご覧ください。総務省は、株式会社「海外通信・放送・郵便事業支援機構」、以下、ICT機構と呼びますが、ICT機構の設立に向けた準備を進めており、先月の大臣認可等を経て、11月末に会社が設立される予定です。
 ICT機構は、いわゆる官民ファンドの一つで、海外で通信や放送、それに郵便事業を行う企業や団体等に対して支援を行い、わが国の経済成長に寄与することを目的としています。
 設立の背景には、海外での需要を日本の民間企業が他国に先駆けて取り込むことをサポートするために、ICT機構が現地の政治等によるリスクを一定程度負担して資金を供給しようという狙いがあります。
 2ページの図は、総務省が公表している事業支援のスキームです。海外で通信・放送・郵便事業を行う者に対して、民間企業と共同で出資等を行うほか、事業運営を支援するために相手国政府と交渉したり、専門家を派遣したりすることが想定されています。
 3ページは、ICT機構の資本金や役員構成です。法律で、政府は、機構の株式総数の半分以上を保有することになっています。
 役員構成は、下段に記載の通りです。非常勤の取締役会長に、NHKのOBで日本国際放送の社長を務めた高島肇久さんが就任するほか、みずほグループやNTTグループの出身者が常勤の役員に就任します。
 次に、4ページをご覧ください。NHKとしても、制度整備を前提に、海外発信等に協力する観点から、平成28年度に、機構に出資する方針です。
 「参考」に、NHKの出資の仕組みを書いております。出資を行う場合には、経営委員会でご審議・議決いただくことになります。可能になった段階で、あらためて正式に認可申請を提案いたしますので、よろしくお願いいたします。

 (美馬委員)

 このICT機構の目的が、「いわゆる官民ファンドのひとつ」ということですが、具体的に、どんなところに、どういう形での供給や支援を行おうとしているのでしょうか。

 (井上理事)

 特にこのICT機構が想定しておりますのが、アジアなど海外での通信・放送・郵便分野での需要を日本へ取り込むということ。それから、こうした分野は現地の、アジア各国の政府からの規制を受けやすくて、政治リスクは伴うという理由で、なかなか民間の金融機関からの出資が集まりにくいという背景があります。このICT機構がそうしたリスクを一定程度負担し、その上で資金を供給して、民間からの投資の呼び水にしたいという狙いがあります。これは総務省の系列の官民ファンドということになりますが、総務省系では初めてということで、こうした各国のICT市場への日本企業の積極的な進出を図りたいという狙いがあるようです。

 (長谷川委員)

 具体例を挙げてご説明いただけませんでしょうか。

 (井上理事)

 例えば総務省では、通信事業者やケーブルテレビ事業者が使用する光ファイバー網の整備・運営、これと一体となって行う放送コンテンツの提供、あるいは衛星を活用した地デジ中継網の整備・運営といったことを挙げています。官民ファンドは、例えば、経産省が進めているクールジャパン機構、主にコンテンツの輸出を後押しするようなファンドがありますが、今回は、総務省によると、これを支えるハード面の整備の業務の取り組みを主に支援したいというように聞いております。この辺もこれから、先ほど申し上げました取締役の陣容で検討していくことになろうかと思います。

 (長谷川委員)

 どうも戦略が見えてこないという感じがしますね。慎重にご検討いただければと存じます。

 (浜田委員長)

 政府は、機構の株式総数の半分以上を保有するとのことですが、資本金は総額でいくらぐらいのイメージを考えているのでしょうか。

 (井上理事)

 民間からの数字と同じ数字を政府からも出すということで、それぞれ半分ぐらいずつの割合になっています。

 (室伏委員)

 このように、海外でいろいろな事業を展開するときには、経産省がさまざまなファンドを持っていますので、経産省の持っている経験知を上手に生かしていくことが、これがうまくいくかどうかの鍵になると思います。経産省に対応してもらうことも考えられますので、総務省との連携を考えていただきたいと思っています。

 (井上理事)

 これについては、ことしの国会で、ICT機構を設立する法律が成立しておりますので、国全体としてやっていこうということになっています。

 (石原委員)

 もう少し具体的に、全体としての金額の規模はどうだとか、そういうのはまた別途あって、今回は、動向等についての報告ということですね。

 (井上理事)

 出資の認可申請の際には、あらためてご説明させていただきます。

 

 (2) 営業改革推進委員会の取り組みについて

 (堂元副会長)

 「営業改革推進委員会」の取り組みについて報告いたします。
 この営業改革推進委員会は、営業改革をより一層進めるとともに、営業指標のあり方も加えてゼロベースから検討する、全協会的なプロジェクトとして、平成23年7月に設置されました。
 これまでも、営業改革推進委員会の取り組みについては、定期的に経営委員会にご報告し、情報共有を行ってきました。
 今回の報告内容は、訪問によらない営業活動を目指す「営業活動の高度化」と営業関係データの説明性・透明性の向上を目指す「平成27年度上半期末の都道府県別の営業関係データ」となります。
 (福井専務理事)
 では、「営業活動の高度化」から報告させていただきます。
 公益企業等との連携強化の施策について、27年度上半期末の結果をまとめています。
 郵便転居届とのワンライティングは、全国13の支社や主要郵便局に職員が訪問のうえ取り組み要請を実施し、順調に伸びています。
 次に、郵便局転居情報の活用です。郵便局に出された転居届の情報と、NHKの契約情報を照合し、転居先が判明した方に、日本郵便から住所変更の案内DMを送付するスキームです。開始から1年が経過しましたが安定的に運用できています。
 続いて、NTT電話料金との一括支払いです。月間約12万件の継続振込利用者に電話勧奨を実施することで、着実に利用者を伸ばしました。
 最後に、「Yahoo!公金支払い」との連携についてです。ネット上で受信料の支払いができる仕組みで、特に若い人向けの利便性向上の意味合いがあり、着実に利用者を伸ばしています。
 続きまして、「訪問によらない営業活動」の3つの施策について報告させていただきます。
 まず、「メッセージ消去連絡との同時契約」です。これは、視聴者からコールセンターにCASメッセージの消去連絡をいただいた際に、電話口で書面省略の衛星契約を取り次ぐ施策です。12月からはさらにトークフローの見直しや、コールセンターへ取次手数料を導入し、取次数の拡大をめざしていきます。
 2つめは、住民票調査による住所変更手続きです。毎月の住民票除票の申請を着実に実施し、前年度とほぼ同数の住所変更を取り次いでいます。
 次は、訪問によらない未収回収方法の検討です。未収者に対し、封筒や挨拶文を変えたりして、払込率を高める施策です。こういった施策をやった場合、収納率が向上することが確認できましたので、これも引き続き検証を進めていきたいと考えています。
 次に、大都市圏対策の取り組みです。まず大都市圏対策の中核的な取り組みの「外部法人委託の拡大」についてですが、この上半期に、企業調査会社が保有する企業データから約3万件を対象として、DMや電話による法人委託の大規模な募集を実施しました。
 その結果、業務説明会には約500社が参加し、うち約40社と契約を締結できました。これにより大都市圏における法人委託の世帯カバー率は、53%となりました。3か年計画の最終年度には、これを70%までもっていくことを目標としており、今後も計画的に法人委託の開発を進めていきたいと考えています。
 次に、都市ガス事業者との業務連携です。ガス事業者のコールセンターに、利用者から閉・開栓の連絡があった際に、NHKの受信契約の住所変更届をあわせて取り次ぐスキームです。
 続いて、効果的なオートロックマンション対策手法の開発についてです。現在、分譲のオートロックマンションにおいては、契約が確認できない居室分を、法務局に不動産登記情報を申請し、宛名を取得して、文書対策を実施しています。この返送率を向上させることが課題です。
 返送率向上に向けた試行については、複数回発送したり、封筒や挨拶文面を変えたりするなど、様々な試行を実施しています。不動産登記情報の取得にも費用がかかりますので、費用対効果をみながら本運用につなげていきたいと思います。
 次に、賃貸のロックマンションに対する施策です。現在、訪問対策員が不在だったお宅に郵送用の契約書をポスティングしていますが、訪問要員は携帯端末などいろいろ持ち歩いており、たくさんの契約書を持ち歩けない状況にあります。また投函する契約書も簡易な仕様で、訴求力が弱いといった課題があると考えています。
 そこで、この11月から、賃貸オートロックマンション専用の契約勧奨資材を作成し、あいさつ文やリーフレットを同封するとともに、ポスティング事業者などを活用して大規模な対策を実施していきます。今後、この試行の結果を分析しながら、効果的かつ効率的なロックマンション対策につなげていきたいと考えています。
 続きまして「推計世帯支払率」です。27年度上半期末の全国の推計世帯支払率は76.1%となり、26年度末に対して0.5ポイント向上しました。法人委託の拡大で契約収納体制を一層強化したことや、全局体制による「ターゲット80」の取り組みもあり、これらの数字につながったものと考えています。
 「契約現在数と衛星契約割合」です。衛星契約数は約1,914万件となっており、契約数全体に占める衛星契約割合は48.4%となり、前年度末から0.7ポイント上昇しました。
 次に「年間支払数増加」です。27年度の増加目標64万件に対し、上半期末は34万8千件を確保し、進捗率は54.4%となりました。
 続いて「営業経費率」です。営業経費率は上半期で、11.0%となりました。27年度の予算値は11.1%ですので、01.ポイント下回りました。
 最後は、営業経費のうちの「訪問戦力等経費」です。
 全国の計画値330億円に対し、実績は166億円、進捗率50.5%となりました。昨年は50.7%でしたので、これも昨年より抑制されています。また、先ほどご説明した「年間支払数増加」の進捗率は54.4%でしたので、計画を下回る経費で、計画を上回る実績を確保したことになります。
 全体を通して見ますと、営業部門は様々な改革にチャレンジしながら、着実に支払率の向上につなげております。
 経費についても前年より抑制的に推移しております。今後も改革のPDCAをきちんと回しながら、効果的・効率的な営業活動の実現をめざして努力していきたいと考えています。

 

 

 以上で付議事項を終了した。

 

 

 上記のとおり確認する。

 

 平成28年1月26日    

浜 田 健一郎

 

上 田 良 一