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2024年5月22日(水)

ラファ“大規模侵攻”の行方 ガザ最後の砦はいま

ラファ“大規模侵攻”の行方 ガザ最後の砦はいま

そこには爆撃や飢餓で追い詰められた人々の姿が―。ガザ地区最後の砦ともいわれるラファから、私たちのもとに映像が届き続けています。戦闘休止に向けた交渉は進展せずイスラエル軍による“大規模侵攻”の懸念が高まります。市民の支援にあたる現地NGOスタッフもやせ細り、極限状態に。ガザの家族と離ればなれになり安否を探り続けるヨルダン川西岸のパレスチナ人たち。彼らの身にも命の危機が迫っていました…。内部映像から実態に迫りました。

出演者

  • 鈴木 啓之さん (東京大学中東地域研究センター特任准教授)
  • 手島 正之さん (NPO「パレスチナ子どものキャンペーン」 エルサレム事務所代表)
  • 桑子 真帆 (キャスター)

※放送から1週間はNHKプラスで「見逃し配信」がご覧になれます。

イスラエル地上作戦拡大

桑子 真帆キャスター:
イスラエルが、ハマス最後の拠点としてきたガザ南部の都市、ラファへの地上作戦を開始しました。国際人道法上、許されるのか。イスラエルが最後の一線を踏み越えようとしています。
このラファには、もともと20万人が暮らしていました。2023年10月以降、イスラエル軍が北部から、激しい空爆に加え、地上作戦を推し進め、住む場所を奪われた人々が、このラファへ逃れていました。避難民の数は一時140万人に上りました。

国際社会は、ラファへの攻撃をやめるよう働きかけを強めていましたが、ネタニヤフ首相は「ラファに進む以外、選択肢はない」と強調。5月6日、退避を通告したんです。
かろうじて命をつないできた場所からも避難を強いられる人々。今、ラファで何が。

ガザ最南部ラファは今

ラファで行われている、日本のNPOの食料支援の現場です。支援を取りまとめる、現地スタッフのハリール・タタリさん。退避が通告された直後の5月7日、私たちの取材に応じました。

パレスチナ子どものキャンペーン ハリール・タタリさん(36)
「外の通りは、大きな荷物を持って、歩いて避難しようとしている人であふれています」

イスラエル軍による大規模な地上作戦から逃れるため、ラファから避難する人たち。ハリールさんが怒りを込めて語ったのは、人々がこれまで強いられてきた避難生活の過酷な実態です。

ハリール・タタリさん
「ラファにいる全ての人が、飢えや水不足、病気など、あらゆることに苦しめられてきました。テントでの生活は過酷です。冬はとても寒く、雨が降れば雨水が入ってきます。今、夏になり、猛烈な暑さに襲われています。テントの中は高温で入っていられません。トイレはなく、テントのそばの砂の上で用を足すしかありません。衛生面は最悪で、病気のまん延は危機的な状況です」

特に深刻なのが、子どもたちの衰弱だといいます。現地スタッフが撮影した3歳の男の子。この半年で体重は8キロにまで減り、歩くこともままならない状態になっていました。

ハリール・タタリさん
「子どもの栄養失調は深刻です。支援物資は一部入っていると言われていますが、まったく足りていません。鶏肉や卵1個ですら非常に高価で、そんなお金、誰も持っていません。これは戦争ではありません。戦争は軍隊同士の殺し合いのはずだからです。いまここで起きているのは、軍による殺人です。たとえ軍隊が直接来なくとも、飢えと病気で死んでしまいます。ここ数日の話ではありません。この状況が200日以上続いてきたのです」

イスラエル軍の警告を受け、2023年10月、ガザ市から妻と3人の子どもと共に、南へ南へと逃れたハリールさん。ラファにたどり着いたのは年末のことでした。避難生活を始める前、90キロだったハリールさんの体重。7か月の間に40キロ以上痩せました。さらに、今、ラファで流行しているA型肝炎に。不衛生な水が原因とみられています。

ハリールさんをはじめ、極限の暮らしを余儀なくされているラファの人たちに対し、イスラエルが出した今回の退避通告。

新たに指定された退避先には、人道エリアを設けるとしています。しかし、「それは国際社会へのアピールにすぎず信用できない」とハリールさんは訴えます。

ハリール・タタリさん
「『避難』とは、私たちにとって『大惨事』を意味します。空爆で、ラファでは多くの死者が出ています。避難しろと言われても、どこへ?安全な場所などないんです。ハンユニスに行っても、全てが破壊されていて、テントすら立てられません。いまだにがれきの下には遺体があり、死臭もします。問題なのは、多くの人が押し寄せたら、生活スペースも確保できないことです」

ラファにとどまり、支援活動の継続を模索してきたハリールさんでしたが、先週、ラファを離れる苦渋の決断を下しました。

ハリール・タタリさん
「私はより強く、より良くあろうとしてきました。たくさんの人が私を必要とし、家族もまた、そうだからです。でも、体がいつまでもつか分かりません。1分でいい、あなたや家族の身に起きたらと考えてください」

ラファからおよそ140キロ。ヨルダン川西岸地区ナブルスです。ここに、ラファに残された家族を悲痛な思いで見つめる人たちがいます。

「昨日の退避通告のニュースを聞いてどう?ラファは危険だ」
ガザ市出身 マフムード・アイユービさん(33)
「異常事態だ。こうして話しているあいだも、家族は避難しているんだ」
「行き先は分かっているのか?」
マフムード・アイユービさん
「(首を振る)今回の避難は、これまでで一番危険だ。昨日も避難の方法を探ろうと電話したら、ロケット弾の音が聞こえたんだ」

マフムード・アイユービさん、33歳です。2023年10月、ハマスが奇襲攻撃を行ったとき、イスラエルの建設現場に出稼ぎに来ていたマフムードさん。その後、ガザに戻れなくなり、妻と2人の子どもたちとは7か月間、会えないままです。

この日、かろうじてつながった電話の相手は8歳の長男。話し出したのは、避難の道中で見た光景についてでした。

長男 マーリクくん(8)
「きょうのことのように覚えているんだ」
マフムード・アイユービさん
「どうしてだい?」
マーリクくん
「怖かったから」
マフムード・アイユービさん
「何が怖かったの?」
マーリクくん
「死んだ人をいっぱい踏んだから」
マフムード・アイユービさん
「いっぱい?」
マーリクくん
「足の踏み場がなかったんだ。周りを見ちゃいけなかったの」
マフムード・アイユービさん
「もし周りを見たらどうなるの?」
マーリクくん
「周りを見たら撃たれちゃう」
マフムード・アイユービさん
「パパに何をしてほしい?」
マーリクくん
「僕たちのところに来て、家に帰ろう」
マフムード・アイユービさん
「家に帰りたいの」
マフムード・アイユービさん
「(電話中に)自分の子の叫び声を聞いても、何もしてやれないのです。子どもたちに会えなくなるかもしれない。そう思うと本当に不安です。この考えが頭から離れないのです」

家族を助けたくても、封鎖されたガザに戻ることすらできない現実。状況は刻々と悪化していました。
がんの治療のため、ガザを離れていたウィサーム・カラーさんです。

マフムード・アイユービさん
「僕らは帰ることすらできない」
ハンユニス出身 ウィサーム・カラーさん(52)
「自分が病気で死んだとしても、子どもには、生きるために必要な家だけでも残そうと思っていたんだ。でも、その家すらなくなった」

もともと家族で暮らしていたガザの家は、跡形もなく破壊されました。

ウィサーム・カラーさん
「(妻は)自宅がどこかも分からなかったそうです。音もなく、町の光景も様変わりしてしまったからです。破壊です。完全な破壊です。空襲だけでなく、ブルドーザーや戦車まで使われた」

さらに、この日、人道エリアに逃れた家族からメッセージが届きました。

「何があった?」
ウィサーム・カラーさん
「妻の弟が亡くなった」
マフムード・アイユービさん
「さっき?」

毎日、連絡を取るほどの仲だった義理の弟の訃報でした。

ウィサームさんの妻
「今日、弟を埋葬したの」
ウィサーム・カラーさん
「えっ?なんてことだ。いつ?」
ウィサームさんの妻
「神様の御慈悲を、今日の午前中にね」
ウィサーム・カラーさん
「すでに埋葬したそうだ。私が知らなかっただけだったんだ」

さらに、その数時間後のことでした。

マフムード・アイユービさん
「なんてことだ」
「どうしたの?」
マフムード・アイユービさん
「いとこと、その娘が同時に亡くなった」

戦車による攻撃で、いとことその7歳の娘が亡くなったのです。

マフムードさんたちが身を寄せる施設の一角には、この7か月の間にガザで命を落とした家族の名前が記されていました。

自動音声
「おかけになった電話は、現在つながりません」
マフムード・アイユービさん
「自分の子どもが亡くなる夢をみてしまいます。私も彼らに別れを告げる、そんな夢を何度も見ています。(空爆の話を聞くと)気がおかしくなったようになり、携帯をつかんで家族に連絡を繰り返しています」
マフムード・アイユービさん
「このビデオを撮った頃には、戦争の影なんてなかったのに」
マフムード・アイユービさん
「とにかく怒りを感じています。ガザで何人の子どもが命を落とし、何千人が住む場所を追われたでしょう。がれきの下敷きになった人々が何をしたというのでしょう。家も仕事も人生も失いました。死ぬなら家族と一緒に死にたい。生きるなら一緒に生きたいのです」

退避通告から2週間がたったラファ。身を寄せていた140万人のうち、80万人以上が他の町へ移ったとみられます。
一方、留まらざるを得ない人もいます。その窮状を知ってほしいと、ディア・アルディンマディさんが先週、話を聞かせてくれました。

ディア・アルディンマディさん(21)
「僕には年老いた家族もいて、長い距離を歩き続けることは到底できません。車を借りるにも、以前の倍の600ドルもかかります。そんな額は払えません」

支援団体が撤退し、5月22日、国連機関も食料の配布を停止したラファ。生きるうえで最低限必要な食料の入手すら困難になっています。

ディアさんが、この日、手に入れられたのは、わずかばかりのチーズのみ。250グラムを家族8人で分けなければなりません。さらに、飲み水を確保するために、空爆の危険がある中、1時間の道のりを往復しています。

ディア・アルディンマディさん
「皆さんに伝えたいことがあります。どうか、この境遇から私たちを助け出してください。ただ生き残りたいだけなのです」

なぜ地上作戦拡大?

<スタジオトーク>

桑子 真帆キャスター:
ここからは、長年、ガザへの支援活動を行ってこられた手島正之さんと、パレスチナ問題を研究する鈴木啓之さんとお伝えしていきます。よろしくお願いいたします。

まず、現状を見ていきたいと思います。

イスラエルが5月、ラファに出した退避通告ですけれども、その避難先として、イスラエル軍が定めた人道エリアが黄色く塗られた地域です。すでに多くの人がラファを離れたと見られていますけれども、VTRで出てきたディアさんも含めまして、まだ、30~40万人がラファに残っているとされています。

イスラエル軍はといいますと、北部に1か所、南部に1か所設けられた検問所、それから、アメリカが設置した浮き桟橋などからの食料や水などの支援物資の搬入を認めていて、人道危機は起きていないと主張しています。
ただ、手島さん、今、見たのが実態なわけですよね。ラファでは、もう国際機関も食料の配布を停止せざるをえない状態になっていると。手島さんの同僚でいらっしゃる現地スタッフのハリールさん、避難されてるということですけれども、どういう情報が入ってきているんでしょうか。

スタジオゲスト
手島 正之さん(NPO「パレスチナ子どものキャンペーン」)
エルサレム事務所代表 ガザで支援活動を行う

手島さん:
実は、ハリールとは先ほども話したんですけれども、2日に1回ぐらいは南部のラファに、国連の備蓄基地があるので、燃料の供給を受けに行っているんですね。

桑子:
往復されているんですね。

手島さん:
5月22日、たまたまラファにいて、国連の臨時の事務所が開いているので、そこから通信があるので、私と話をすることができたんですけれども。ラファは、まず、人道支援の担い手がいなくなったという大きな問題があります。今、わずかに稼働してる所もあるんですけれども、特に野戦病院が2軒のみなんですね。

あとは、この赤い部分、こちらに、退避区域になっていますけれども、爆撃がひっきりなしに続いていて、その赤いゾーン以外にも続いています。

桑子:
この現状にも続いて、それ以外の場所にも爆撃が続いていると。

手島さん:
このゾーンの中にラファ検問所がありますけれども、このラファ検問所の近くにあるのはクウェート病院です。ここが5月21日、22日と爆撃を受けて、まだ職員等、患者等は退避できていないと聞いています。その中でも一部機能はしていると聞きますが、具体的にどのような状況かは分かっていません。非常に懸念がされるところです。

桑子:
そして、人々が避難している人道エリアとされる場所ですけれども、ここがどういう状況なのか。

先週、NHKのガザ事務所のスタッフが撮影した映像が、通信状況が厳しい中で5月20日に届きました。もうこの状況です。街は破壊され尽くして、水もないということでしたけれども。こうした環境に、ハリールさんも、まさにいらっしゃるということですよね。どういう状況というふうにおっしゃっていますか。

手島さん:
この映像にあるとおりなんですけれども、こういう状況の中に、ものすごく過密に人がひしめき合うように身を寄せているというふうに聞いています。

桑子:
どんどん人が避難してきているわけですからね。

手島さん:
あとは、南部とラファと、ハリールがいるところをつなぐ海岸沿いの道路ですよね。ここにも車が行き来できるんですけれども、テントが張り出してきたり、道の上を歩く人であふれているので、車がまともに通れない状況。なおかつ、やはり支援物資が、先ほどのVTRにもありましたけれども、入ってこない状態ですね。ですから、例えば、2歳以下の子どもたちの90%以上が食糧難に陥っているという報告もありますので、子どもたちの栄養状態と健康状態は、かなりひっ迫していると思います。

桑子:
避難場所としては、決していい状況ではないですね。

手島さん:
はい。こちらはハリールの報告にもあったんですけれども、市街地は、ほぼ爆破でがれきの山になっています。そして、建物も、残っていたとしても、とてもじゃないけど足を踏み入れることもできない状態ですね。なおかつ、海岸沿いの地域は砂漠地帯なんですね。なので、テントが建てられない状態なので、建てようとしても、支柱と布、それがたっている状態で、ものすごく弱い状態でテントを建てて、その中に皆さんが住まなければいけないと。そして、その中は過酷ですね。日中は40度ぐらい。

桑子:
今回、番組で取材した実態について、イスラエル軍の人道支援を担当する機関に、私たちは取材を申し込みましたけれども、5月22日までに回答はありませんでした。
こうした人道状況の中、攻撃の拡大を止めていないわけですよね。なぜ、拡大を止めないんでしょうか、鈴木さん。

スタジオゲスト
鈴木 啓之さん(東京大学中東地域研究センター 特任准教授)
パレスチナ問題を研究

鈴木さん:
イスラエルのネタニヤフ首相としては、ラファへの侵攻ということを、非常にシンボル化してきてしまったというのがあります。この200日近く続いているガザ地区での戦闘の中で、ラファが拠点であると。ここを攻め落とす、そうしたような姿勢を続けてきたんですね。前回、こちらの番組に、私、お邪魔した時に、11月の初めだったと思います。その段階で、ガザ地区では過去最悪の事態が起きていますというふうにお話をしました。ところが、その死者数、負傷者数、避難している方、病気の方、被害を受けている建物など、すべての数字がひたすら悪化し続けている。これを指す言葉を私は持っていないんですね。ひたすら人道危機が深まっている、これがガザの200日を超える状態です。ラファへの攻撃、本格的な軍事侵攻は確かに止めなければいけません。しかし、一方で、では、ラファが攻撃されなければ、ガザの状況はよいのかというと、そうではないということを改めて認識をするべきだと思います。ガザ地区の北部にあるジャバリアなどの地域では、非常に激しい戦闘が行われたということもあります。ラファが侵攻されなければよいのか。そうではない。現在の状況の維持では、人の命が危機にさらされ続ける、この日常が続くことになります。状況を改善する必要がある。即時停戦をする。これが求められていると思います。

桑子:
人道危機を食い止めるために、一刻も早い攻撃の停止が必要なわけですが、そうした中で、今週、動きがありました。

“戦争犯罪の疑い”ICC・逮捕状請求へ

ICC=国際刑事裁判所の主任検察官が、“戦争犯罪の疑いがある”として、イスラエルのネタニヤフ首相やハマスの指導者ら合わせて5人に対し、逮捕状を請求すると明らかにしました。

ICC(国際刑事裁判所) カーン主任検察官
「歩兵も司令官も政治家も処罰を免れることはできない」

“極限”まで状況悪化 ガザ人道危機 どう止める

<スタジオトーク>

桑子 真帆キャスター:
国際社会も厳しい目を向けているわけですが、振り返ると5月、ハマスとイスラエルの間で模索が続いていた戦闘休止などの交渉は行き詰まっています。また、これまでイスラエルを支援してきたアメリカも、ラファへの大規模地上作戦に対しては反対していますけれども、今回のこの逮捕状請求の動きに対しては、言語道断だとして、イスラエルのネタニヤフ首相を擁護するような動きも見せています。こうした中で、どうしたら、この攻撃というのを止められるというふうに考えていらっしゃいますか。

鈴木さん:
今の状況では、止めるのは難しいのだと思います。アメリカがイスラエルへの支持の姿勢を基本的に崩していないんですね。国連安保理での拒否権の行使、また、武器なども含めた形でのイスラエル支援を崩していない。だからこそ、国際的に孤立化を深めたとしても、イスラエルは、みずからの掲げた目標、人質の奪還とハマスのせん滅、これに向かって大胆に軍事作戦を続けてしまっている、続ける環境がある。そのように考えるべきだと思います。

桑子:
ただ、アメリカの中で学生が大学を占拠して、ガザへの攻撃を止めるべきだというデモを行うなど、動きは出てきていますよね。そうした動きが、何か事態を変えることにつながり得るんでしょうか。

鈴木さん:
変化の兆しは見えていると思います。そうした若者による抗議活動、これは日本でも起きてきていることではあります。この先、イスラエルに対してのアメリカの外交姿勢というのは変わっていく可能性がある。ただ、私、直近の動きで注目してるのは、国際刑事裁判所、ICCによるイスラエルのネタニヤフ首相、また、ハマスの幹部に対しての逮捕状請求です。逮捕状請求がなされたということは、現在起きていることが戦争犯罪の可能性がある、そういった判断になるわけですね。そうなりますと、このイスラエルという存在、ここと、各国であるとか、また、世界中の企業、個人、どのように関わっていくのか、そこの参照点が生まれてきているように私は感じるんですね。さまざまな方法で、イスラエルに対してメッセージを発信していく必要が私たちにはあるのだと思います。国際法を順守してほしい。または、世界はこうした不正義を、どのような主体でなされようと、また、どのような相手になされようと許せない。そうしたメッセージを発信することが必要です。これは、すなわち、私たちはどういった世界に生きていきたいのか。これが問われている。そのように言いかえることもできると思います。

桑子:
手島さんは、今、最も訴えたいこと、どういうことでしょうか。

手島さん:
こちら、現場から毎日、ハリールの声、ガザにいる皆さんの声が届いています。「なぜ、私たちを人間として見てくれないのか」と。「皆さん、忘れているんですか」と。彼らが思うには、やはり5月の初めに停戦の機運が高まって、それで、また交渉が振り出しに戻ったような報道がされましたけれども、その度に心が壊れているんですね。その度に、「私たちが人間であるということを忘れてるのではないか」と彼は申しております。なおかつ、私たちにできることということで言えば、都道府県、市区町村でガザの停戦決議が行われていますので、それを皆さんでサポートしていくということも大事かと思われます。

桑子:
声を上げることは、彼らに届いているということですね。ありがとうございました。

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