過去の主な放送

国際共同制作
言葉の誕生 ~私たちはいかにして人間になったのか~

初回放送
BShi 2009年1月15日(木) 午後8時~
再放送
BShi 2009年1月23日(月) 午後2時~

私たち人類のもっとも古い化石は、トゥーマイ猿人と名付けられた、幼児ほどの大きさの頭蓋骨の化石である。2001年にフランス古人類学者ミシェル・ブルネによって発見された。その化石が生きていたのは、いまから700万年前。まさにチンパンジーとの共通祖先と分かれた直後である。誕生直後、私たちの祖先はどんな生活をしていたのか。

番組データ

  • 原題:The origins of language
  • 制作年:2008年
  • 国際共同制作:NHK/Crescendo Films(フランス)

言葉の誕生 ~私たちはいかにして人間になったのか~

© Crescendo Films

人間の定義は「裸のサル」や「道具を使う動物」など、さまざま唱えられてきた。最新の定義は「言葉を使う動物」。多くの動物が道具を使っていることがわかった現在、言葉の使用こそが「人間と動物を分ける唯一の能力」とされているのだ。
そこで多様なジャンルの研究者が「私たちがいかにして言葉を持つに至ったのか?」という謎を追っている。その答えこそ、私たちが人間になった過程を追うことにほかならないからだ。この番組では、そうした言葉の誕生に迫る研究者を紹介していく。

古人類学者アンヌ=マリー・ティリエとバルク・アレンスブルクは、イスラエルで発掘されたネアンデルタール人の化石から、精緻な言語の可能性を探っている。もともと精緻な言語はホモ・サピエンスになって獲得したとされてきたが、彼らは「舌骨」の存在からネアンデルタール人も精緻な言葉を使った可能性が高いと考えている。

動物学者ジャック・ヴォークレアは言葉のルーツを追っている。彼は、ある種類のサルが右手を使って交わすジャスチャーに言語の芽生えがあると考えているのである。

遺伝学者アンソニー・モナコはDNAのなかに言語能力を飛躍させた突然変異を追い求めている。彼らのグループが発見したFOXP2という遺伝子はその有力な一つである。

日本の研究者も登場する。理化学研究所の岡ノ谷一夫さんは鳥の鳴き声の解析をベースにし、言葉の起源を歌だとする研究を行っている。東京大学の酒井邦嘉さんはfMRIという機器を使って脳の文法中枢の解析を行っている。京都大学霊長類研究所の正高信男さんは、幼児のコミュニケーションにおける言葉の役割を、北陸先端科学技術大学院大学の橋本敬さんはマルチエージェントシミュレーションと呼ばれる手法による言葉の進化研究をしている。神戸学院大学の三浦麻子さんは、ネット上のコミュニケーションを研究中だ。

こうした多様な研究を紹介する一方、古代人類の暮らしぶりを再現した暖かみのあるアニメを随所に挿入して、言葉誕生の謎に迫る最前線をめぐっていく。

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言葉の誕生 ~私たちはいかにして人間になったのか~ 写真

© Crescendo Films

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© Crescendo Films

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