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インタビュー・地域づくりへの提言

日本をリードする知の巨人たち。社会が大きく転換しつつあるいま、時代を拓くカギは地域にあると指摘します。持続可能な未来へのビジョンを語っていただきます。

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2017年09月22日 (金)

地域づくりを考えるうえで大切なこと 上 【民俗研究家・結城登美雄さん】

地域に生き、暮らす人々の声に耳を傾け、地域を知り、学ぶことで地域の活性化につなげていく。そうした動きを「地元学」と呼び、提唱している民俗研究家の結城登美雄さん。多くの農漁村を訪ね歩き、自らも宮城県で農業に携わっています。結城さんに「地域づくり」を考えるうえで大切なことを聞きました。

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ーー今、地域づくりが注目されています。

私は、「地域づくりって、何だろう?」ということを考えるために、まずは「地域って何だろう?」ということから考えてみたいと思います。

地域には、個人がいて、家族がいます。日本、東北、九州、なんとか町、なんとか市、どんな大きさのどんな地域においても、まず基本は家族です。その家族が集まって、集落、集落が集まって村、町、市、都と呼ばれ、地域を作っているわけです。そして、その地域が集まって国になり、国が世界を構成しています。

 

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地域とは「家族の集まり」だと思っています。その「家族の集まり」が大きければ良いとか、小さいからダメだということはありません。

我々が家族と呼んでいるのは、ラテン語の「ファミリア」が語源だそうです。ファミリアから、ファミリー(家族)だけではなく、ファーマー(農家)も生まれているといわれます。これを僕なりに解釈すると、「家族とは、一緒に耕し、一緒に食べる者たち」という定義になるのでは、と思っています。

青森県では、2000年前の弥生時代までには水田ができて、定住ができるようになっているんです。食べ物を一緒に耕すことができ、一緒に食べることができる。つまり、移動せずに家族がその村で生きられるようになったわけです。すると、そこに集まることができる。群がり集まり暮らせる範囲を、村、集落と言ったのです。

近代が始まった明治の頃、合わせて7万1314の村の集まりが日本という国だったそうです。人々の9割は小さな村に住んでいました。村の平均戸数は60~70戸、370人ぐらい。それが今で言う大字です。大字が村の原型だったんですね。その村が大きくなったり小さくなったりということはあっても、家族はそこで生き続けてきました。家族は違っても「あそこのお嫁さんも大変だな」「そこのおばあちゃんも苦労しているな」「なにか俺がやれることないかな」と、我が家族のことのように相手の家族を思う、それが協働の心を育んできました。

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ーー地域とは何かを考え、地域づくりとは何かを考えていくわけですね。

地域ってなんだろうかと考えると、2つのテーマが見えてきます。1つは、家族の集まりである地域をどのように良くしてくか。もう1つは、みんなが悩んでいることをどのようにして解決してくか。

地域づくりとは、我が家族のことを考え、近隣の家族のことを考え、良くするために支えあったり協力しあったりしていくこと。それが原点です。外の地域づくりのプロフェッショナル、と言われている人たちの意見が主体ではなく、そこに暮らす人たちが主体です。

地域の、人口構成は大きく変わりました。1950年頃は65歳以上が4.9%でしたが、2016年は24.1%と5倍近くとなり、35.4%だった14歳までの子どもが13.0%と3分の1近くになるなど構成が変わってきています。そうなると、昔の考え方の延長ではなく、現代の家族の変化に応じて考える必要があります。現代の家族は今どんな状況だろうかと考え、我が村を見てみると、「あそこにもここにも一人暮らしがいるよね」「本当は一緒に暮らしたいけど、村に仕事がないからなかなか同居できないって娘さん言っていたよね」などと、地域の悩みごとや課題に気づくようになります。

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地域づくりとは、家族が抱えている悩みや課題をどう解決して、願いや期待をどう実現するか。その方法は、1つは「個人の力」。そして、もう1つは「家族の力」。ただ、この2つがあれば、全部解決するかというと、そうではありません。家族の応援だけでも個人の努力だけでもできません。必要なのは、「みんなの力」です。たとえば、昔は「橋流されちゃったからみんなで頑張って橋架けようか」とか、「みんなで道路少し広げようか」とか、「みんなで草刈りしようか」とか、そういう「みんなの領域」が多かったんです。地域づくりとは、「みんなが集まる場所を作ろうか」「みんなが気楽に楽しくワイワイやる場所を作ろうか」というふうに、家族だけではない、その地域に暮らすみんなの力を持ち寄る3番目の領域づくりなのです。

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「地域づくりを考える上で大切なこと 下」はこちらから

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インタビュー・地域づくりへの提言

結城登美雄さん

1945年生まれ。民俗研究家。東北各地を10年以上歩き、地元をもっと知り、資源を活用する智恵や術を地元の人々から学ぼうという「地元学」を提唱。自らも農業を営み、村人と言葉を交わしながら住民主体の地域づくりに取組む。「食の文化祭」などの地域づくり活動で、1998年「NHK東北ふるさと賞」、2005年「芸術選奨芸術振興部門文部科学大臣賞」受賞。雑誌や新聞で農と地域づくりについて多数執筆中。現在、宮城教育大学・東北大学大学院非常勤講師。

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