放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米国民のテレビ視聴時間は増加傾向

米国勢調査局は5月29日,『アナログからデジタルテレビへの転換』と題する報告書を発表,インターネットの普及を背景にテレビ離れが進んでいるとされるアメリカ人のテレビ視聴時間は,実際には増加傾向にあると指摘した。報告書は08年のアメリカ人(12歳以上)のテレビ視聴時間は8年前より238時間増加して年間1,740時間(1日平均4.7時間)と予測しており,1世帯当たりのテレビ保有台数(1980年の1.7台→05年の2.6台),テレビ視聴世帯(1980年の7,600万世帯→06年の1億1,000万世帯)などのデータを見てもテレビ離れが進んでいるとは言えないと指摘している。

NBCキャスター,T・ラサート氏,急死

米NBCの看板キャスターでワシントン支局長のティム・ラサート氏が6月13日,番組収録中に心臓発作で急死した。58歳だった。ラサート氏は,日曜朝の政治討論番組『ミート・ザ・プレス』の司会を1991年からつとめ,政界事情に詳しく,歯切れの良いインタビューで知られていた。同氏は,ケーブルチャンネルのMSNBCなどにも出演していたため,11月の大統領選対応を含め,NBC経営陣は,多才だったラサート氏に代わる人材の確保に苦慮している。『ミート・ザ・プレス』の司会は,夕方のニュース番組を長年担当したベテランのトム・ブロコウ氏が引き継ぐ。

08年第1四半期の広告費,前年同期並み

米視聴率調査大手のニールセン社は6月16日,アメリカの2008年第1四半期の広告費統計を発表,全米広告費は前年同期とほぼ同水準にとどまっている一方で,メディアの種別によってその増減に大きな差が出ていることが明らかになった。インターネットは14.7%増,ケーブルテレビも12.9%増,ネットワークラジオは10%増だったが,ネットワークテレビは3.4%減,ローカル新聞5.4%減,全国紙6.2%減だった。ニールセン社ではネット広告の急進を受けて,モバイルウェブサイト利用者の行動調査を行う計画を進めている。

フロリダで10秒間アナログ停波テスト

フロリダ州オーランドの12のテレビ局は,来年2月17日のデジタル完全移行周知のため,6月25日夜7時59分から1分間スポットを流し,そのなかで 10秒間アナログ波を止めるテストを行った。デジタル対応が済んでいる家庭では「テストをパスしました」と表示が出たが,デジタルチューナーを持たず,ケーブルTVや衛星放送にも契約していない世帯では黒の画面のみが表れた。この地域では,対象となった36万世帯のうち地上波のみの受信家庭は7%だけだったため,テストは大きな混乱もなく終了した。

NBC,北京五輪をネットで2,200時間配信

AP通信などによると,北京五輪の放送権を持つ米NBCはオンライン上で2,200時間余りの競技中継を配信する計画である。NBCはこのほか,3,000時間のハイライトシーンのオンデマンドサービス,解説や名場面集,選手情報など,インターネットサイトのNBCOlympics.comをフル活用する予定である。テレビ放送は合計1,400時間で,ネットと重複する競技については,放送終了後にネットで配信される。NBCの担当者は,オンラインで映像や情報を提供することが,テレビ視聴の増加にもつながると期待している。

PCよりもテレビ受像機による視聴が依然人気

米ケーブル・通信事業マーケティング協会(CTAM)は6月30日,ニールセン社と共同で実施したオンライン視聴に関する調査結果を発表した。同調査によるとテレビコンテンツをオンライン視聴する傾向が進む一方,ケーブルテレビ,衛星放送の加入者の94%がテレビ受像機での視聴を好むことが明らかになった。ブロードバンドユーザーの35%が週に1本以上の番組をオンラインで視聴しているが,その一方で有料放送のオンデマンドサービスの利用率も05年の 49%から07年の71%へと大幅に上昇している。