実施報告 |
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4月19日(木)・20日(金) 千代田放送会館(千代田区紀尾井町) 参加者数合計のべ1,073人(4/19…594人、4/20…479人) |
研究発表日本語の用法変化をつかまえる ~調査に見る“配慮表現”の現在~
報 告
塩田 雄大 (NHK放送文化研究所 専任研究員)
なにかを手渡すときに「つまらないものですが…」と言うことがありますか。その日はじめて会ったときや、メールの冒頭での「お疲れさまです」は、気になるで しょうか。日本語の「配慮表現」(対人関係を円滑に進めるためのことばづかい)に、さまざまな変化が出てきています。全国調査の結果をもとにして、現代日本社会と日本語の「いま」を考えてみました。
*調査結果の報告は、NHK放送文化研究所「放送研究と調査」2012年7月号に掲載しています。
シンポジウム私たちが本当に見たい“テレビ”とは ~多様化する女性40代とコンテンツニーズ~
パネリスト
たむらようこ (放送作家)
大平 洋子 (宝島社 編集4局長 兼 『GLOW(グロー)』編集長)
大加 章雅 (NHK編成局編成センター 専任部長)
報 告
西 久美子 (NHK放送文化研究所 専任研究員)
司 会
執行 文子 (NHK放送文化研究所 専任研究員)
様々なライフステージの人たちが混在し、「テレビの見方」や「価値観や生活意識」が多様化している女性40代は、ニーズを捉えるのが難しい世代です。共通のコンテンツニー ズをどのようにつかむのか、パネリストの具体的な経験談をもとに議論しました。「リアリティ(現実感)がないと自分と無関係と思われてしまうが、提示の仕方はあくまで“素敵に”“明るく楽しく”」「コンテンツを見ることによって自分の生き方を肯定してもらいたいというニーズがある」など、女性40代の心をつかむために役立つヒントを共有することができました。
シンポジウムVOD・SNS時代の“テレビ”と“テレビ視聴”
~番組レビューSNSサイト“teleda”の実証実験結果をもとに~
パネリスト
佐藤 尚之 (コミュニケーション・ディレクター 株式会社ツナグ代表)
塚本 幹夫 (フジテレビジョン クリエイティブ事業局 IT戦略担当局長)
水島 久光 (東海大学 文学部 教授)
報 告
藤沢 寛 (NHK放送技術研究所 次世代プラットフォーム研究部 主任研究員)
渡辺 洋子 (NHK放送文化研究所 研究員)
司 会
小川 浩司 (NHK放送文化研究所 専任研究員)
研究発表多様化するアメリカの非営利メディアの現状と展望 ~現地調査より~
報 告
柴田 厚 (NHK放送文化研究所 主任研究員)
商業メディアが大きな力を持つアメリカで、最近存在感を増しているnon-profit mediaの活動を、3つの組織の実例をもとに紹介しました。新聞社や放送局が従来のビジネスモデルの見直しを迫られる中、インターネットを使った“営利を目的としない”彼らの多様な活動は一定の成果をあげ、利用者の支持と期待が高まっています。
発表後にはNPO活動に従事する方から多くの質問を受け、改めて「公共性」への関心の高まりを感じまし た。
*この報告の主な内容は、NHK放送文化研究所「放送メディア研究」9号に掲載しています。
研究発表日中アニメ産業の市場争奪 ~国産アニメ振興を図る中国とどう向き合うのか~
報 告
山田 賢一 (NHK放送文化研究所 主任研究員)
対談者
森 祐治 (電通コンサルティング 常務)
中国では1990年代、海賊版の横行もあって日本製アニメが急速に普及しましたが、若い世代への日本文化の浸透に危機感を持った中国共産党政権は、2004年から本格的な国産アニメ振興政策を打ち出しました。「保護主義」による海外アニメの放送制限や、各地方でのアニメ産業振興政策を現地調査に基づいて報告した後、電通コンサルティングの森祐治常務をゲストに招き、国内市場の停滞に悩む日本のアニメ業界が、今後中国市場開拓のため中国のアニメ企業とどういう関係を持つべきなのか議論しました。
*この報告の主な内容は、NHK放送文化研究所「放送研究と調査」2012年4月号に掲載しています。
研究発表ローカルとグローバルの接合点としてのドラマ ~「地域発ドラマ」の可能性と課題~
報 告
吉川 邦夫 (NHK放送文化研究所 主任研究員)
近年全国各地で活発に制作されている「地域発ドラマ」には、国際的な評価を受ける作品もあり、キー局で量産されるレギュラーのドラマとは一線を画す個性が感じら れます。その背景には、地域放送局に勤め、地域で暮らす制作者たちが、その地域で 発想した物語をドラマに紡ぎ出していく「生活者」の視点がありました。深い思いと 客観性を兼ね備えた作り手のまなざしが、限定されたエリアのドラマにグローバルな 共感をもたらしているのです。NHK・民放の地域発ドラマ制作者と研究者を招いて昨 年11月に行ったパネルディスカッションとドラマ制作に取り組む全国の地域放送局 へのヒアリングから浮かび上がってきた、地域発ドラマの可能性と課題について報告 しました。
*この研究発表に関連する報告は、NHK放送文化研究所「放送研究と調査」2012年4月号に掲載しています。
シンポジウムメディアは福島にどう向き合うのか ~対立と分断を生まないために~
パネリスト
【第1部~】
武田 徹 (評論家・ジャーナリスト)
村上 雅信 (福島中央テレビ 報道記者)
木村 功二 (NHK福島放送局 放送部 副部長)
嘉悦 登 (NHK制作局 青少年・教育番組部 チーフプロデューサー)
【第2部~】
天野 和彦 (福島大学 うつくしまふくしま未来支援センター 特任准教授)
開沼 博 (社会学者)
宍戸 慈 (フリーパーソナリティ)
司 会
村上 圭子 (NHK放送文化研究所 専任研究員)
第1部は、メディアの当事者同士が、福島と向き合う難しさについて議論しました。「低線量放射線被ばく」のリスクを巡り人々の認識が大きく分かれるなかで、行政は政策を決定し、市民は行動や態度を選択せざるをえない福島。議論では、分断されたそれぞれの立場を伝える際の葛藤や、対立する議論を両論併記で伝える限界などの本音が率直に語られました。
第2部では、福島出身で自らも情報発信を続ける3人に議論に加わっていただき、 「マスメディアは合意形成の議論の場たれ」、「人を否定しない価値観を広げてほしい」 など、数々の提言が出されました。