放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米グーグルの広告収入,新聞・雑誌の広告総収入を上回る

ドイツのインターネット統計会社Statistaの11月12日の発表によると,2012年上半期にグローバル企業のグーグルが得た広告収入は208億ドル(約1兆6,640億円)だったのに対し,米国内の全ての新聞と雑誌の紙上での広告総収入は192億ドル(約1兆5,360億円)にとどまり,初めてグーグルが上回った。新聞・雑誌のオンラインでの広告収入は含まれていない。Statistaでは,グーグルは世界規模で得た広告収入のため,両者は単純には比較できないが,創設14年の企業が100年以上の歴史を持つ業界を上回った意味は大きいとしている。

米,ハリケーンで見直されたラジオの効力

10月末にアメリカ東海岸を襲ったハリケーン「サンディ」で被害を受けた人々が,停電などでテレビやインターネットへのアクセスができないなか,ラジオから多くの情報を得たことが明らかになった。ニューヨークタイムズ紙の11月18日の報道によると,ハリケーンがニュージャージー州に上陸した10月29日の夜7時から深夜にかけて,隣接するニューヨーク市およびその周辺地域では,ラジオの聴取者が100万人を超えていた。これは1週間前の同じ時間帯と比べて70%多かった。沿岸部では聴取率はさらに高く,コネチカット州のスタンフォードやノーウォークでは前週比で367%も増加した。

米「セサミ・ストリート」のエルモ役の役者が降板

公共放送PBSの「セサミ・ストリート」で人気のキャラクター“エルモ”の声と人形操作を担当するケビン・クラッシュ氏は11月20日,未成年の少年と性的関係を持ったという2度目の告発を受け,今後の番組出演を辞退すると明らかにした。24歳の男性が,15歳の時に同氏と関係を持ち精神的にダメージを受けたとして,500万ドル(約4億円)の賠償を請求している。同氏に対しては前週に最初の訴えがあったが,この時は“双方の合意”があったとして取り下げられた。クラッシュ氏は20年以上にわたりエルモを演じ,2011年には特集ドキュメンタリーも作られた。番組は代役が担当するが,子どもなどに高い人気があることから影響が懸念される。

米・子どもがクリスマスに欲しいもの,iPadが依然トップ

ニールセンの11月20日の発表によると,6歳から12歳までの子どもに年末に欲しいものを尋ねたところ,48%がアップルのタブレット端末iPadをあげた。iPadのトップは3年連続で,前年の44%から4ポイント上昇した。またiPadミニとiPod Touchがともに36%で3位,携帯電話のiPhoneが33%で4位とアップルの製品が上位をほぼ独占した。2012年後半にはアマゾンやサムスン,マイクロソフトなど各社が多様なタブレットやスマートフォンを発表し販売競争が激しくなっているが,子どもたちにとってはアップルの人気と知名度が群を抜いている。

米NBCユニバーサル,海外向けチャンネル縮小へ

イギリスの放送業界誌TBIは11月20日,アメリカのメディア企業NBCユニバーサルが海外の放送チャンネルを縮小する計画であると報じた。日本,ギリシャ,トルコでドラマなどを中心とした娯楽チャンネル「ユニバーサル・チャンネル」の放送を終了するという。ただし,日本ではニュースチャンネルCNBCやゴルフ専門チャンネルは継続する。また,ロシアではユニバーサル・チャンネルの放送は継続するが,SF番組などの娯楽チャンネルSyfyを終了する。これにより同社が以前から進めてきた人員削減もさらに進む見込みである。

ウルグアイ,74のコミュニティーラジオ局に閉鎖命令

南米・ウルグアイでは,政府が11月1日,国内の74のコミュニティーラジオ局に対し法令違反を理由に閉鎖を命じた。規制機関のURSECによると,閉鎖された放送局のうち20局は宗教の勧誘を行っていた。中には,局名を「イエス・キリストがウルグアイの唯一の答え」などと自称しているところがあった。コミュニティーラジオ法は,政治や宗教の勧誘を禁じ,人種や民族,宗教などによる差別を助長してはならないと規定している。