塩原温泉を取り巻く物語(那須塩原市)
- 2023年12月08日
栃木県内をまわる「あっちこっちとちぎ」は今年、県内25の市と町をすべて訪れます。
今回は那須塩原市。「塩原もの語り館」で、塩原温泉の歴史に触れました。
温泉で有名な那須塩原市ですが、塩原温泉観光協会が管理運営する施設「塩原もの語り館」では、塩原温泉にゆかりのある文学や人物についての展示が行われています。
この地を訪れた人に、古来より日本中からたくさんの人が訪れる塩原温泉で紡がれた物語に想像を巡らせてもらおうという思いが込められているんです。
現在企画展では、地元出身の遊女、塩原高尾が紹介されています。
塩原高尾は、江戸時代に吉原で名をとどろかせた位の最も高い遊女です。
才色兼備の塩原高尾は、歌舞伎などにも登場する人物で、現在も地元出身のスーパースターとして愛されています。
塩原高尾が生まれたのは今から380年ほど前のことでした。
貧しい家の出身でしたが、6歳頃、その器量を買われ、吉原遊郭の一流遊女屋三浦屋に養女としてもらわれていきます。
しかし明暦の大火で吉原遊郭が大きな被害を受けると、店を立て直すため、自らが遊女になることを決めたのです。
塩原高尾は一流の遊女で太夫という肩書を持ち、そして高尾という名前はその名にふさわしい女性が代々襲名するものでした。
当時吉原に700人ほどの遊女がいた中で、最高級の身分である太夫はたったの3人だったんです。
教養を備え、芸事にも優れていた彼女たちは高嶺の花として見られる存在でした。
今回の企画展では、塩原高尾の子孫の方から提供された初公開の展示品も多くあります。
こちらは塩原高尾直筆の書です。
17、8歳の頃書かれたものと推測されています。
詳しい内容はまだ調査中ですが、おそらく和歌を書き写したものではないかと考えられています。
筆跡を見ると、塩原高尾がとても達筆であったことがわかります。
塩原温泉観光協会 塩原もの語り館 戸村和美さん
「塩原高尾の人生は19歳で亡くなるというはかないものでした。没後360年ほどたった今も、高尾塚や高尾の名の付くものが塩原温泉にはたくさん残されています。塩原温泉に来られるときには塩原高尾にゆかりのあるものを探してみるのもいいと思いますし、12月5日は彼女の命日ですのでこれを機会に思いをはせてもらえれば嬉しいです」
塩原温泉の歴史と物語、ロマンを感じますね。
この企画展「塩原高尾~あき、故郷へ還る~」は、来年1月31日(水)まで開かれています。
入場料は大人300円、65歳以上と小中学生は200円。
那須塩原市民は入場無料です。