竹細工工房発・自然へのメッセージ(茂木町)
- 2023年10月04日
栃木県内をめぐって、その地域の魅力をお伝えする「あっちこっちとちぎ」は、ことし、県内25の市と町をすべて訪れます。
17回目の今回は茂木町。自然の大切さを発信する竹細工工房を訪ねました。
(宇都宮放送局アナウンサー 武田涼介)
茂木町の中心部から車でおよそ20分。山あいの地区に来ています。竹細工づくりの工房にお邪魔しました。作業場の中央で竹細工づくりをしているのが、工房のあるじ、 五月女大介さんです。
宇都宮から7年前にこちらに移住してきました。五月女さんが編んでいるのは、「そばざる」。おそばを盛るためのざるです。放射状に組んだ竹ひごに円を描くように細い竹を通していきます。場所によって竹ひごの厚みを変えないと切れてしまうため、 材料の削り方にも熟練の技が必要です。だいたい1日で2つのそばざるを完成させるということです。
こちらが、五月女さんの作品です。どれも日常の中で使ってもらうための実用品です。しょいかご、梅を干すためのかご、そして買い物などに使うかごですが、色が違うのがお分かりでしょうか?
こちらは2年間使いこんだもので、あめ色に色が変わっています。このように色の変化を楽しめるのも竹細工の魅力なんです。
実は五月女さん、竹細工職人になる前は東京で音楽関係の仕事をしていました。東日本大震災を機にふるさとの宇都宮に帰り、出会ったのが「自然に負担の少ない」竹細工でした。竹細工の材料も隣接する竹林の竹を使っています。
そしてこの作業場ですが、もとは、たばこを保存する築60年から70年の納屋でした。
朽ち果てていた納屋の壁をはがし、新たに土壁を塗りました。
また、新たに柱を渡すとともに、もとからある「はり」を再利用しました。 この一連の作業ですが、環境保護や自然に関心を持つ人たちを集めてワークショップ形式で行いました。 のべ30人ほどの人が参加したということです。
五月女大介さん 「ワークショップを通じて体験を持ち帰って欲しいと思いました。自然を生かすということを感じてほしいです。」
今後は、またワークショップで参加者を募って、この作業場に、かまどを設置したり、地区の水源から水をろ過して引き込む仕組みを作る予定だということです。