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不登校支援 今「親」に伝えたいこと

  • 2023年10月10日

不登校の状態にある小中学生は昨年度およそ29万9000人になり、10年連続で増加して過去最多となったことが文部科学省の調査でわかりました。

「学校に行きたくない」
そう子どもに言われたとき保護者としてどう対応したらいいのか。

宇都宮市とさくら市でフリースクールを運営し通信アプリLINEなどを使って県内外の不登校の子どもの保護者の相談にも乗っている土橋優平さんに聞きました。
 

(宇都宮放送局 アナウンサー 橋本奈穂子)

ポイント:まずは休ませる

「学校に行きたくない」と言われたときどう対応したらいいのか。

まずは「休んでいいんじゃない」という声かけでいいと思っています。

例えば子どもが1日学校休んだからといって将来に何か響くかというとたいしたわけないですよね。これでもし2~3日とか1週間学校を休んで家で過ごしている間に本人の様子も変わって安心して過ごしている。楽しそうにしている。もし、元気を取り戻したのが見えたときには、学校に何か行きづらいこと、課題を抱えているといことがわかってきます。

子どもたちが「学校に行きたくない」と言うのはSOSの一つなんです。

これまで我慢して頑張ってきていた。そんな中、夏休みなど長期の休み明けの前に学校に行くことを想像したときに、恐怖や不安が強くなることがあります。そうした時に学校に行きたくないっていうSOSの発信になるのです。

 

ポイント:専門家に相談する

保護者の方からすると、実際に学校を休むとなるとこのまま不登校になるのではと、心配や不安になるのは当然のことです。

ただ、一歩ひいて見てみてください。
実は学校を休むことが問題の本質ではなく、学校に行きたくないその背景が何なのか。
そこに子ども本人の苦しさやしんどさがあるので、そこを見るためには一歩ひいて見ることが大切になります。

ただ、これを一人でするのはとても難しいことなので誰かに相談することはすごく大事なことだと思っています。

 

ポイント:無理に聞きださない

 

学校に行きたくないという背景を探るにあたりどう声をかけたらよいのか・・・

これはすごく難しく繊細なことであります。子どもに対して、なぜ学校に行きたくないのか、どんなことがつらいのか聞きだしたいですよね。1回聞くのはいいと思うんです。そこで本人から実は友達と・・・とか、勉強が・・・とか、いろいろ理由が出てくればどう解決したらいいか親子で話し合いながら考えていけると思うんです。

一方で、聞いても理由を言えない子どもたちもいるんですよね。

なぜ言えないかというと、弱い自分を見せたくない、情けない自分を見せたくない、親に迷惑をかけたくない。子どもなりにいろいろ考えて言えないことがあるのです。

また、小学校低学年の子どもだと、つらいことや苦しい状況が景色としては頭の中に浮かんでいるのですが、それをうまく言語化して伝えられないということもあります。また、苦しい出来事を思い出したくない、今はそこから逃げたいんだ、目を背けたいんだという状態の時もあるのです。

もし理由を尋ねたときに何も帰ってこなかったら、いったんそっとしておくことが大事です。

扉閉めてるのにバンバンバンってたたいて鍵ガチャガチャガチャってこじあけられるの怖いじゃないですか。そうならないように、いったんそっとしておくことも時には必要かなと思いますね。

いったん距離を置いてちょっと第三者に相談してみる。
その中で状況や保護者の方の頭の中を整理して、どうしていけばいいか専門家の声を聞きながら慎重に一緒に動いていくことが大事だと思っています。

 

今、保護者に伝えたいこと

 

学校行かなくなったのは私のせいだ。私の子育てが悪かったんだって感じることもあると思うんです。そのように相談いただくことも実はかなり多いです。

ただ絶対そうじゃないです。

子どもがこれまで生きてきた中で出会った大人って親だけじゃないんですよ。確実にいろんな人と出会っていろんな影響受けて現状があるのです。

ポイント:保護者自身が自分を認める

ですので、子どもが今学校にいけないことは私のせいなんだって責めないでほしいです。

責めないでほしいのと同時に自分自身を認めてほしいです。

私、これまで子育て頑張ってきてるよねって。
あの時こうすればよかったと思うこともあると思います。でも、その時はその時で一生懸命頑張っているはずなんですよ。だからその時の自分自身を認めてほしいです。

よくがんばったね、今も私よく頑張ってるよねって、自分で自分をハグしてあげるようなことをまずはしていただきたいなと思っています。

そうすると自分も頑張ってきたし、子どもも実は頑張っているだろうなと子どもの気持ちにも目が行きやすくなることがあります。

まずは、自分を責めずに自分も頑張ってきたよねって認めて褒めてほしいです。
 

遠慮なく頼ってください

悩んでいる時、どうやって相談したらだろうか、こんなこと相談していいのかなどと考えてしまい、なかなか相談できない方もいるんですね。でも悩んでる時ってそんなこと考えなくていいんです。つらいです、わかんないですの一言でいいんです。

そこから私たちが質問していって、そこでいろんな解決の糸口が見えたりとか、場合によってはちょっと休みましょうかとかいろんな選択肢が見えてくると思っています。

悩んでいる時、苦しい時一人にならずに誰かに打ち明けて、まず気持ちを聞いてもらう味方を作るようにしてください。

ぜひ私たちの相談窓口を頼ってください。本当に、遠慮なく。友達にLINEする感覚でおかあさんの保健室(保護者の相談窓口)にたどり着いてください。

 

保護者の悩み相談窓口については
土橋さんが代表理事を務める
NPO法人キーデザインの
ホームページをご覧ください。

https://www.npo-keydesign.org/




 

  • 橋本奈穂子

    宇都宮放送局 アナウンサー

    橋本奈穂子

    とちぎ630キャスター
    金曜カフェとちのき堂MC

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