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栃木の音に育まれ ~音楽家・落合崇史さん~

  • 2024年05月01日

栃木県さくら市出身の音楽家・落合崇史さん。
東京藝術大学音楽学部作曲科卒業後、
20年近くにわたり舞台やミュージカルの音楽監督として活躍しています。
ふるさと栃木で暮らしていたころに聞いた音が創作の原点と語る落合さんに
音楽への思い、ふるさとへの思いを伺いました。
                   (宇都宮放送局 アナウンサー 橋本奈穂子)

 

橋本)
音楽監督、具体的にどういうお仕事のことを言うんでしょうか?

落合さん)
海外から輸入したミュージカルであれば、楽曲は最初から最後までもう決まってますので、
それをどうやって日本人が演じるのか変更していくことが音楽監督の仕事です。
言語に関してもそうですし、歌の節をちょっと変えることなどがミュージカルにおける音楽監督です。一般的な舞台の音楽の場合は、ゼロから音楽を作っていったりですとか、この作品に合いそうだったら既存のある楽曲を使ってみようということを決定したりとか、あとは舞台中に役者さんが歌うシーンがあったら、その曲をどう歌うかを決めたり・・・
舞台上で起こる音楽、音に関することをありとあらゆることを作業する立場にあります。

橋本)
音楽監督をしていて楽しいな、やりがいがあるなというのはどんな瞬間ですか?

落合さん)
演劇というのはその劇場でお客さんがいるときに初めて成り立つといいますか、
稽古を重ねていって世界観を構築していますけれども
お客さんが入ってその日のキャストやスタッフ照明さんとかも含めた皆のコンディションとか、ちょっとしたスイッチ・明るさや気温とか蒸し暑いとか外は雨だとか、そういったことに影響されてその舞台って上演されるんですよね。
それがあるときピターッと合うような瞬間があり、しかもそれが特に自分が発する音からその世界観を構築してるな、今自分はこの世界を作り上げている大きな柱になってるなって思える瞬間は、もう何事にもかえがたい瞬間ですね。

 

さくら市の中学校で演奏する落合さん(落合さんから提供)

そんな演劇の世界感をふるさとの子どもたちにも体感してほしい。
そんな思いから、落合さんはふるさとでの活動にも力を入れています。
去年は、さくら市にあった「勝山城」にある伝説をもとに朗読劇を作り市内の中学校で上演しました。
 

落合さん)
勝山城というのは歴史をひもといていくと、
実は敵から攻められて落ちてしまったということはないらしいんですね。
落ちたことのない城というところでビビッときまして
落ちない城。縁起がいいなこれは!
受験に絡めて中学3年生が落ちない城を救った。過去の勝山城を救ったから落ちない城になって
そして私たちの受験もきっと大丈夫というお話にしたんです。
今大落ちを言ってしまったわけですけれども(笑)
でもそれを踏まえた上でまたもし上演することがあったら聞いていただけたらなと思います。


落合さんのふるさとへ思いは楽曲にもなっています。
さくら市立喜連川小学校の校歌。
5つの学校が統廃合してできたこの学校の校歌も落合さんの作品です。

落合さん)
校歌の中にもなるべくその5つの小学校の記憶っていうものを散りばめられるように
元々あった学校のエッセンスを言葉の中にちょっとずつ入れて、
そして5つの光に包まれてというような形で5つというものをテーマに書きました。

 


落合さん)
音楽の創作のインスピレーションという意味で言うと
9割ぐらいは栃木県とか栃木県にいた頃に吸収したものというものを
いまだに活用しているというか
それを皆さんにお聞かせしているというか表現している形ですね。
地域で学んだことというのは大きいですし、
また地域で学んだというのは本当の意味で勉強したという意味以上に
空気感であるとか、あとは自分の記憶に残る耳の奥に残る記憶というものが大きいですね。
それは例えば自然現象なんかも含めてなんですけれども
栃木県というのはとても自然の豊かな土地ですので
雨が降ったり雷がなったり、田んぼの時期になるとカエルが鳴いていたり
セミが結構近いところで鳴いていたり、秋はコオロギが鳴いていたりとか・・・
そういったものが耳の奥にあって
それが音楽のインスピレーションにいまだにつながっていますね。


橋本)
耳の奥に、映像というよりも音として残っているんですか?

落合さん)
そうです。音として残っています。
例えばコオロギの鳴く声だったらコオロギが鳴いている音がもちろんそのまま残っています。
それを音楽にするってどういうことって思うかもしれないですけれども、
それが本当に直接的に秋の風景になることもあれば
別に全く関係ない都会の昼間の夏かもしれないですし、
でも何かコオロギを聴いていたあの夜の雰囲気から、また別のものが生まれてくることもあるんですよね。ですのでやっぱり過去に得られた音っていうのは一生残りますね。
それが今の音楽家としての自分の人生を作り上げましたね。

 

来年、市制20周年を迎えるふるさとさくら市の為に
作品の構想を練っているという落合さん。
どのような作品になるのかとても楽しみだゴロ!(By らいちゃま)
  • 橋本 奈穂子

    宇都宮放送局 アナウンサー

    橋本 奈穂子

    とちぎ630キャスター
    金曜カフェとちのき堂 MC
    音楽・舞台大好き

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