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【徳島・佐那河内村】子どもたちに“新たな居場所を”

  • 2024年02月20日

徳島県内で昨年度、過去最多を記録した不登校。そんな中、佐那河内村で子どもたちの新たな“居場所”としてフリースクールを作ろうとしている人たちを取材しました。

佐那河内村で自由な学びの場を作りたい!

徳島県内唯一の村、佐那河内村(さなごうちそん)の古民家。
その一角の倉庫をリフォームして、フリースクールを始めようとする人たちがいます。

2024年4月の開校を目指す2人

フリースクールの準備をしている中で、古民家の蔵から珍しいものが見つかりました。
昭和10年に発行された教科書です。

戦前の教科書

この教科書、少し変わった特徴があるんですが、
なにかわかります?

イラストばっかり…?

絵だけで文字がないんです。この教科書を使って、ただ答えを教えるのではない『自由な』学びを体験してほしいといいます。
 

野上さん

どうにでも問題が作れるんですよ。
いろんな答えがあるんだよっていうふうに、子どもたちの想像力を広げていってあげたいなって思ってます

自由な学びの原点は自身の不登校の経験

答えを決めず、子供たちの可能性を広げるフリースクールを作りたいという野上さん。
その原点になったのが自身の経験でした。

野上さん

勝手に決められるのが、嫌で。
何で私の起きる時間とか、学校に行く時間、学ぶ内容を決められているんだろうっていうのがあって。

めっちゃみんなに言われてたんですよ。
先生とかにも、「何でできんのんな」とか、「当たり前だろう」とか。
友達も、「普通じょ、これが」って。
自分でモヤモヤを抱えて、学校に行きたくないというような選択につながったんだと思います。

現在、2人の子の親となった野上さん。
子どもたちに、いろんな選択肢を作りたいと考え、フリースクール設立を思いたちました。
 

野上さん

私がこの学校で決めているのは、正解を押しつけないということ。
子どもたちが、モヤモヤを持っているものを私は認めてあげて、
今やりたいことをできることを伸ばしてあげたい。

地域の人を巻き込み 子どもたちに様々な体験を

野上さんは、地元の人にもこのフリースクールに関わってほしいと考えています。
この日は、佐那河内村に嫁いで60年の安部さんを訪ねました。

秘伝のレシピノートを持つ安部さん

安部さんが、村の仲間と一緒に作った様々なレシピを長年書き溜めてた、秘伝のレシピノートを見せてもらい、村のたくあん作りを教わりました。

安倍さんをはじめとした村の人たちに、先生として暮らしの知恵を子供たちに教えてほしいと考えています。
 

安倍さん

できることがあったら、協力させてもらう。
行かせてもらって楽しませてもらいたいと思っています。

体験会には多くの参加者

体験会には多くの人が参加

2月半ば、休耕地となっていた畑を利用して、フリースクールの体験会が行われました。
学校に行けずにいる、不登校の子供も参加しました。
事情は様々ですが、自然の中で遊び、「また来たい」という声も聞かれました。
開校まであと2か月。
子どもがやりたいと言ったことに、柔軟に対応できる体制を整えていきたいと話していました。
今後も体験会を開催していく予定です。

取材後記

不登校の増加に伴い、県内の都市部以外でもこうしたフリースクールは年々増加しています。
中には、通うことで学校の出席としてカウントされることもあります。                     いわゆるフリースクールやフリースペースは、認可外で補助金なども限られているため、
どうしても経済的な負担が保護者の方にかかってしまうのも課題だと感じました。
徳島県の教育委員会は、不登校支援の一環として、
こうした学校以外の居場所をとりまとめ、3月中にもHPで公開する予定とのことでした。
不登校の問題を、当事者だけの問題と思わず、社会全体で考えていく必要があるなと感じました。
(担当ディレクター)

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