NHKスペシャル

マネー資本主義 第3回
年金マネーの“熱狂”はなぜ起きたのか

なぜ、世界のマネーはこれほどまでに肥大化し、バブル崩壊まで突き進んだのか。そのことを語る時はずせないのが、私たちの老後の備え「年金基金」の存在である。日本を含む世界中の年金基金がバブルに巻き込まれ、去年秋の金融危機で大きな打撃を受けた。

かつては国債など手堅い投資のみを行っていた年金基金が、リスクをとっても高い利回りを得ようと株などへの投資に乗り出したのは1980年代。先陣をきったのは世界最大の公的年金基金とされるカルパース(米カリフォルニア州職員退職年金基金)だった。先進国の経済成長が鈍化する中、常識を打ち破らなければ明日はないと、激しい議論の末、積極投資戦略への転換に踏み出した。これを後押ししたのはウォール街。年金という巨大マネーを呼び込むことは、市場に大きなインパクトを与えた。2000年のITバブル崩壊後、年金基金はヘッジファンドなどとのつながりをさらに深め、マネー資本主義の主役の一角を担っていくことになる。

アメリカや日本の年金基金やヘッジファンドへ徹底取材をもとに、私たちの年金がいかに「マネーがマネーを生み出す仕組み」に頼ってきたのかを描きながら、今後私たちはマネーとどう付き合っていくべきなのかを考えていく。