NHKスペシャル

新シルクロード 激動の大地をゆく
第1集 炎と十字架

標高5000メートルの山々に抱かれた南コーカサスは、シルクロードの東西南北を結ぶ要衝。50の民族が混在し、独特の民族音楽や教会建築、ワインなど、豊穣な文化の宝庫である。一方で、ローマ帝国、モンゴル帝国、オスマン帝国など、東西の巨大帝国による侵略にさらされ続けてきた。戦火は今もやまず、100万をこす人々がふるさとを追われ、難民となっている。シルクロードのもたらした恵みと災いの歴史を象徴する地域である。
コーカサス山脈の麓に広がるスヴァネティ地方には、不思議な空中要塞がある。高さ20メートル、訪れる者をにらみつけるかのように奇妙な石積みの塔が立ち並ぶ。山をこえて侵入する敵を監視し、攻撃から身を守るための要塞だという。
カスピ海に面したアゼルバイジャン。石油景気にわく首都バクーをあとに、シルクロードをゆくと、難民キャンプが点在する。ソビエトからの独立前夜に始まった隣国アルメニアとの紛争で難民となった人々である。この紛争の奥には、ノアの箱舟漂着の大地に起きた民族の悲劇の歴史があった。
有史以来、戦火の中で独特の文化を育んできた南コーカサスの三つの国、アゼルバイジャン、アルメニア、グルジアをゆく。