NHKスペシャル

日本の群像 再起への20年 第7回 モノづくり 職人たちの攻防 ―日本VS中国―

1990年代、円高は加速し1ドル百円を突破。世界を凌駕したニッポン製造業は、大手メーカーを中心に急ピッチで中国への工場移転を推し進めた。空洞化が進む中、戦後、中小の部品メーカーまで一丸となって築きあげてきた「モノづくり大国」は揺らぎ始める。
特にモノづくりの基盤を支えてきた金型産業は、受注減少、単価引き下げで一気に苦況に陥る。東京大田区など全国の町工場街で3分の1が廃業に追い込まれる中、中国のローカルメーカーが、工場のハイテク化と、日本からの技術指導を糧に、ライバルとして台頭してきたのである。
しかし世界でも最高水準の日本の「職人技」は今も大きな武器である。東京大田区の老舗メーカーは、中国に工場を進出させ闘う一方で、国内工場では職人社長が若い匠を育成、日本でしかできない難しい金型づくりに全力をあげている。
モノづくりにかける職人の熱意と誇りは生き残るのか。そしてグローバル競争に勝ち抜ける枠組みをどうつくっていくのか。大きな分岐点を迎えたニッポン製造業の現場で必死に生きる金型職人のドラマを見つめる。

  • 東京・大田区の老舗の金型メーカー
  • 中国の金型メーカーに並ぶハイテク機械
  • 中国で指導にあたる日本の金型職人