NHKスペシャル

日本の群像 再起への20年 第8回 トップを奪い返せ
~技術者たちの20年戦争~

「産業のコメ」と呼ばれ、エレクトロニクス分野の技術革新をリードしてきた半導体。80年代後半、日本メーカーは記憶用半導体DRAMでアメリカを追い抜き、世界一の生産量を実現。中でも東芝は、長期戦略に基づいて技術者と投資を集中させ、DRAM市場の50%を握るトップ企業になった。
しかし、バブル崩壊が半導体の勢力地図を一変させる。資金繰りの悪化から日本の各メーカーはやむなく投資を削減、その間にアジア勢が急激な成長を果たしたのである。その筆頭となったのが、現在、世界の電機業界に君臨する韓国のサムスン電子だった。サムスンは、日本からの技術移転を進めるとともに、ばく大な投資をDRAMに注ぎ込み、世界一の座に上り詰めていく。一方、失速した日本の半導体メーカーは大規模な再編を迫られ、東芝もDRAM生産からの撤退を余儀なくされていった。
どうしたら再び半導体王国に返り咲くことができるのか。東芝は今、携帯電話やデジタルカメラなど、デジタル情報機器に欠かせない半導体・フラッシュメモリーで巻き返しを図っている。全社を挙げて今後3年間で半導体に5000億円を超える投資を行うことを決定、先行するサムスンに対抗する計画を打ち出した。
世界のトップを再び目指す技術者たちの努力を追いながら、ハイテク日本を復活させるために必要な戦略を探っていく。

  • 激しい国際競争が行われている半導体・フラッシュメモリー
  • 巻き返しを目指す東芝の半導体技術者たち
  • 日本を追い抜いた韓国の半導体メーカー・サムスン電子