NHKスペシャル

激流中国 訴えられたカリスマ経営者
~追跡・ブランド騒動~

“中国財界のスーパースター”と謳われたカリスマ経営者が、未曾有の国際紛争に直面した。中国一の飲料メーカー・ワハハの宗慶後会長が、合弁パートナーである外国企業から訴えられたのだ。「ワハハ」という商標の権利は合弁会社に限るという合意を破り、ワハハ側が商標を勝手に使っているというのだ。宗会長が一代で築き上げ、現在2万人の従業員を抱えるまでに成長を遂げた巨大企業ワハハ-そのブランドの価値が急騰し、ブランドの帰属が大問題となった。訴えに対しワハハの宗会長は「当時、国家の同意が得られなかったので、商標に関する合意は無効だ」として真っ向から反論している。紛争の背景には、外資が合弁を組んだ中国の老舗企業が次々と経営権を奪われ、中国のブランドが消えているという深刻な事態もあるという。
一方で、おなじみのニセブランド問題は、海外の有名ブランドに留まらず、中国ブランドにまで拡大、ワハハはその取り締まりにもてんてこ舞い、まさに内憂外患にさらされている。
商品の「品質」「安全」の確保は、中国でも喫緊の課題となっており、品質に定評のあるワハハのようなブランドは中国でビジネスを進める上で貴重な存在だ。ブランドをめぐる攻防に密着し、急旋回する中国経済の最前線を描く。