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青山学院大学 原晋監督 育成は“フィードフォワード”で 職場でも役立つ声かけは

  • 2024年1月3日

箱根駅伝で総合優勝した青山学院大学陸上競技部監督の原晋さん。取り組んでいるのは、育成に“フィードフォワード”を取り入れることです。
過去起きたことを振り返り改善点を見つける“フィードバック”とは異なり、未来志向で解決策を見つけていくのが“フィードフォワード”だそうですが、どのように選手たちに働きかけを行っているのでしょうか。

若手育成に悩む中堅・ベテラン世代や、キャリアに不安を抱える若手の皆さんも必見のインタビューです。
(2023年12月15日放送「首都圏情報ネタドリ!」より)

変化が求められる若手育成

働き方改革が進む中で「成長できているか」と不安を感じ、ホワイト企業であっても転職していく若者たちの本音を前回の記事でお伝えしました。

陸上部の監督として大学生を20年指導している原さんも、若者の変化を感じているといいます。

原晋監督
「社会環境の変化は大きいと思います。特にインターネットの普及によって、世の中の時間軸がものすごく短くなっているように感じます。それによって、早く結果を求めたいという若者が多くなっています」

かつてのような厳しさで若者を育てるのは難しい時代。原さんは、育成術をどのようにアップデートしているのでしょうか。

「より、とがった選手を出すために、ここ数年は個を大切にした指導に力を入れて活動しています。例えばペース設定、走る距離をその選手の能力、体力にあわせて状況によって変えていく。チーム全体を見るだけではなく、自分の状態を自分で把握させるという視点で、指導をさせてもらっています。

今の若者の文化に寄り添うことも必要ですよね。

例えば選手たちが暮らす寮の運営に関しては、『よりよい環境にするためには、君たち自身で問題点を探って、よいルールを作っていこう』という方向性で指導をしているんですね。フラットな目線で、学生に寄り添った言い方をするように心がけています」

企業で、若手に対して指導を行う中堅・ベテラン世代も、ルールに対する意識を変える必要があると原さんは語ります。

「管理職、経営者などルールを決める側が、自分だけの目線でルールを決めないことが重要です。今の若者が20年後、30年後の日本社会で本当に輝けるルールになっているのか意識することが必要ではないかなと思いますね」

“フィードフォワード”のすすめ

個人が目指すことと、チームの方針がすれ違ったときに、どのように対処しているのでしょうか。

「個人の集合体が組織なわけですが、個人がそれぞれの目標に向かって取り組んでいく中で、何か失敗をすることもありますよね。そのときに、従来の日本の教育ではフィードバックを行ってきました。その個人がやったことに対してダメだしをしていたわけです。

一方で私は“フィードフォワード”を推奨しています。個人がやった失敗を個人の問題ではなく、組織の問題としてとらえる。そしてどうしたらよりよくなるのか、みんなで解決策を話し合っていく。一人を責めないという方策を、チーム内で共有しています。

『こういう失敗をした。もう少しこういうやり方でやれば個人も組織もよくなるんじゃないかな』といった声かけをしています。

学生は損得感情で動くところがありますので、『こんなささいな失敗で君が信用を失ったら、損だよね?もっと君にはこんなにいいところがあるんだから、いいところをどんどん伸ばしていこうよ。そうしたら信頼を得て、得するよ』。こんな言い方をしていますね」

若者たちへのエールもいただきました。

「若者はいろいろと悩みなさい。石の上にも3年です。この悩みは自分の財産に必ずなります。そして最後はチャレンジ!未来志向で頑張りましょう!」

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