ことし9月に開幕するラグビーワールドカップのフランス大会を前に、日本代表と代表候補の選手の合宿が本格的にスタートしました。代表の司令塔として活躍が期待される埼玉パナソニックワイルドナイツの松田力也選手に泉 浩司アナウンサーが伺いました。
リーグワンのプレーオフトーナメントの決勝戦では、クボタスピアーズ船橋・東京ベイに15対17で敗れて準優勝でした。試合後、松田さんの目に熱いものがあふれていましたね。
パフォーマンスも含めて、何もできなかったという腹立たしさがありましたし、チームメイトの顔を見たとき、試合に勝って恩返しができなかったということが悔しくて、涙があふれ出たんだと思います。
激しい試合でしたが、相手のスピアーズはどんなチームでしたか。
体格が大きいフォワードのフィジカルを生かしてどんどんアタックして、そこから反則をとって得点につなげるスタイルでした。予想していたことではあったんですが、終始、相手のプランどおりになってしまったのかなと思っています。
リーグワンの初年度はケガの影響もあって、プレーオフには出場できませんでした。ことしにかける思いは強かったと思います。
リーグの開幕にあわせて復帰すること、そして、プレーオフの最後でみんなで笑えるように優勝することが大きな目標だったので、その目標が達成できなかったことはすごく悔しいです。ただ、シーズンを通じてしっかり戦うことができたのは、自分自身の成長につながったと思っています。
今シーズンはベストキッカー賞を初めて受賞しました。キックについてはどんな手ごたえを感じていますか。
ケガをしたことで自分と向き合える時間が増えたので、その中で、ゴールキックの精度やフォームを高める時間は十分とれたと思います。ベストキッカー賞の受賞という結果につなげることができたのはよかったし、自信になりました。
ラグビーは6歳から始めたということですが、最初の印象はどうでしたか。
ボールを持って走って相手を抜くのがすごく新鮮で楽しかったことは今でも覚えています。
子どもの頃、ポジションはどこだったんですか。
7人制ラグビーをやることが多かったので決まったポジションはなかったんですが、バックスが多かったと思います。
現在はスタンドオフで活躍しています。どんなポジションだと考えていますか。
勝敗に直結するポジションだと思っています。試合を通じてどのようにゲームをつくって戦い抜くかということを常に考える必要があるので、たいへんですが、やりがいのあるポジションです。
理想のスタンドオフ像はありますか。
ワイルドナイツで一緒にプレーしたベリック・バーンズ選手が大好きです。同じチームでプレーしたいと思ってワイルドナイツに入ったので、理想の選手ですね。
個人で局面を打開できますし、スキルも高いので、相手にしてみれば、どんなプレーをしてくるのかわからないという恐怖を感じる選手だと思います。なによりも人柄がいいのが大好きで、バーンズ選手のようになりたいと思っています。
9月にはワールドカップが開幕します。代表に選ばれたときはどんな気持ちでしたか。
素直にうれしかったです。ただ、やっとスタートラインに立てたという思いも強かったですし、ここからしっかりやらないといけないという覚悟に変わりました。
4年前のワールドカップでは4試合に出ましたが、いずれも途中出場でした。
チーム自体はベスト8という素晴らしい結果を残したんですが、自分自身は(先発で)1試合も出ることができなかったという悔しさもあったので、負けた瞬間から次の大会に向けた思いは強くありました。
これから合宿が始まりますが、代表の司令塔への思いはありますか。
チームの勝利に貢献するということを常にイメージとして描いていますし、合宿に入って、より明確に見えてくると思うので、自分のイメージが実現できるよう努力したいと思っています。
松田さんの座右の銘はありますか。
よく言っているのは“ワン モア プッシュ”という言葉です。あと1回、あと1センチという部分にこだわってほかの人より努力するという意味で、いつも心に留めています。
試合のときはいつも髪型をビシッと決めている松田選手。シーズン中はリフレッシュの意味もこめて2週間に1度のペースでカットしているそうです。9月のワールドカップでは、4年前の悔しさを晴らして、ぜひ、代表の司令塔として活躍してほしいですよね。みんなで応援しましょう!