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ブロックで子どもの居場所づくりを さいたま市

  • 2023年06月15日

さまざまなパーツを組み合わせて遊ぶブロック。みなさんも子どもの頃、夢中になったことがあるのではないでしょうか。
さいたま市の北浦和にある「おもちゃカフェ ブロックはかせ.LABO(ドットラボ)」。店内には、ブロックや積み木、パズルや知恵の輪など約50種類のおもちゃがところ狭しと並んでいます。ドリンクや食事を注文すれば、誰でも自由に遊ぶことができます。

(さいたま放送局 今村明子キャスター)

「おもちゃカフェ」を運営しているのは、前原浩さん(57歳)です。大学を卒業した後、20年以上にわたっておもちゃのデザインや商品開発に携わってきました。ブロックの楽しさを大人から子どもまで幅広い人たちに知ってほしいと6年前にカフェをオープンしました。

前原さんはブロック作りの醍醐味は、自分で考える力を養うことにあると考えています。

「ブロックは、トライ&エラーがしやすいんです。(紙や木で工作すると)失敗したときに巻き返しが厳しかったりするんですが、“工夫次第ではなんとかなるんだよ”という、諦めない心を育むのに(ブロックは)いいんじゃないかなと思っています。」
(前原浩さん)

前原 浩さん

不登校の子どもたちの居場所に

前原さんのカフェには平日の午前中、子どもたちが遊びにやってきます。なかには、学校に通うことができない不登校の子どもたちの姿もあります。前原さんは子どもたちから「ブロック博士」と呼ばれています。ブロック作りのアドバイスをしたり、ときにはあっと驚くような作品を作ってあげたり、子どもたちを優しく見守ります。

「博士、やさしいよ。」

「楽しいよ。ゲームやボードゲームもみんなでできる。だって一人でゲームするのはさみしいし。」

カフェに通う子どものお母さんは、前原さんと一緒に過ごす時間が貴重なものだと感じています。

「日常と居場所がつながっていっている。(前原さんは)親でもないし先生でもない、でも専門知識を持っているし、たくさんの子どもの面倒も見ているので、いい距離感でいてくれるんです。誰にでもできることではないと思います。」 
(不登校の子どもの母親)

カフェには地域のお年寄りもやってきます。子どもたちと一緒にブロックで遊んだり、ゲームをしたりするなかで、自然とコミュニケーションの輪が広がっていきます。

「いろいろな人が自分の知っていることをほかの人に伝えていくと、新しい関わりができて、その人自身の可能性や行動が広がっていくので、(おもちゃカフェを通じて)人と人をつなげる立場になりたいなと思っています。」
(前原浩さん)

ブロックパーティーで子どもの居場所を広げる

ことし4月、前原さんと一緒にブロック作りを学ぶ子どもたちの作品を展示する「ブロックパーティー」が開かれました。会場にはカフェに通う不登校の子どもたちの作品も展示されていました。

前原さんは、たとえパーティーに参加できなくても、自分たちの作品を大勢の人に見てもらうことで、家や学校以外の場所に出かけるきっかけをつくることができると考えています。当日、会場には不登校の女の子が姿を見せてくれました。

「(パーティーが)達成感や自己肯定感につながればいいなと考えています。枠にとらわれない、学校だけではできない学びの場所がもっとたくさんできれば、、子どもたちが生きやすい社会になるんじゃないかと思っています。」
(前原浩さん)

ブロックパーティー

キャスターからひと言

ブロック遊びについて前原さんは「ある程度ヒントは出すけれども答えはすぐに伝えない、過保護にしないようにしています」と話していました。自分の力で考えてブロックを組み立てる子どもたちの真剣な表情がとても印象的でした。次回のブロックパーティーは8月に開かれる予定です。

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