埼玉県内では6月下旬から7月初旬にかけて記録的な暑さが続きました。この猛暑と熱中症対策について、熊谷支局の澤田浩二記者に保坂友美子キャスターが聞きました。
澤田さん、つい先日まで県内は連日危険な暑さに見舞われましたね。
私もその暑さを体感した1人です。熊谷市では6月24日から7月2日まで9日連続で日中の最高気温が35度以上の猛暑日になりました。連日、市内を取材しましたが、こまめに水分を補給し長時間にならないよう気をつけながら行いました。街なかでは日傘を差す人や冷たい飲み物を手にした人が多く見られたほか、駅前に設置されたミストシャワーには行き交う人たちが足をとめ暑さをしのいでいました。
この暑さで、熊谷市の「道の駅めぬま」では、雪のようにふんわりとした食感が特徴の「雪くま」と名付けられた地元オリジナルのかき氷を、訪れた人たちが次々に味わっていました。連日の猛暑で1週間前に比べて注文がおよそ8倍に増えているということです。
熊谷市は4年前の2018年に観測史上国内で最も高い41.1度を観測し、厳しい暑さで知られます。今回のこの暑さは県内のほかの地域も同様で、8つある観測点のうち熊谷市をのぞく7つの地点で、6月の最も暑かった記録を更新しました。
暑さのピークは7月1日で、熊谷市では40度ちょうどとなったほか、鳩山町では40.1度を観測し、7月としては最も暑くなりました。久喜市ではこの日、39.2度を観測し、これまでで最も暑くなりました。
なぜこんなに暑くなったのでしょか。
太平洋高気圧が北に強く張り出したためです。この影響で梅雨前線も北に押し上げられ、晴れの日が続きました。こうした中、気象庁は6月27日、「関東甲信が梅雨明けしたとみられる」と発表し、確定すれば過去最も早い梅雨明けとなります。
記録ずくめの中、連日、熱中症への警戒も呼びかけられました。
熱中症の危険性が極めて高いと予想された場合に気象庁と環境省が「熱中症警戒アラート」を出します。県内では、6月25日と、28日から7月2日にかけて発表されました。
こうした中、熱中症の被害も相次ぎました。埼玉県によりますと6月は1371人が救急搬送され、3人が亡くなりました。いずれも2010年に統計をとりはじめてから6月としては最も多くなりました。
6月29日には狭山市に住む55歳の男性が自宅で体が思うように動かせない状態となり、熱中症の疑いで病院に運ばれ、その後、死亡しました。救急隊が男性の部屋に着いた当時、扇風機はついていましたが、エアコンは使われていなかったということです。
7月に入っても熱中症はあとを絶たず、3日の時点で543人が搬送され、3人が亡くなっています。
この暑さ、今後はどうなるんでしょうか。
気象庁によりますと7月も全国的に平年よりも気温が高い状態が続くと予想されています。こうした中、私の取材拠点の熊谷市は、水を含ませて首などに巻くスカーフを小学生や高齢者に無料で配っています。
また、毎月定額を支払えばエアコンを利用できる取り組みを進めています。月額最大1900円でエアコンの設置費用はかからないほか、5年間使うとその後は無料になるということです。また、1人で暮らす高齢の家族が熱中症にならないよう、離れた場所にいるほかの家族がスマホで遠隔操作することもできるということです。
さらに、熱中症の危険が高いとされた日には、ごみ収集車が作業をしながらスピーカーで熱中症への警戒を呼びかけることにしています。
行政もあの手この手で対策を行っていますが、私たちもひとりひとりが意識的に取り組む必要がありますね。
例年、7月と8月は、6月よりも熱中症で運ばれる人が増える傾向にあります。これからが夏本番です。熱中症警戒アラートが出された場合は、ふだん以上に対策をしてください。
・不要不急の外出を避けて適切にエアコンを使用する
・のどがかわく前にこまめに水分補給する
・運動を原則、中止する