埼玉県嵐山町の消防団の車庫に描かれたのは町のマスコットキャラクターです。団員不足に悩む消防団のイメージアップにと、大妻嵐山高校美術部の生徒たちがシャッターに絵を描く「シャッターアート」に取り組みました。
嵐山町鎌形にある消防団の建物がことし3月に建て替えられました。町は、団員のなり手不足に悩む消防団のイメージアップを図ろうと、消防車の出動時以外は閉まっている車庫のシャッターに絵を描いてほしいと、近くの大妻嵐山高校美術部に打診しました。
きっかけは去年行われた県の防犯ポスターコンクールで美術部員の作品が最優秀賞に選ばれたことでした。申し出に応じた美術部員は3つの候補作を提出しました。
そして、消防団の人たちによって選ばれたのは町のマスコットキャラクター「むさし嵐丸」が頭の上にホースを掲げ、水で炎を退治しているデザインでした。
制作に取りかかったのは4月です。キャンバスとなったのは真っ白なアルミ製のシャッターで、縦3メートル、横3.5メートル。美術部の2年生7人が3時間ほどかけて油性ペンで下絵を描きました。
生徒たちは週2回、放課後に車庫を訪れました。足場の上に乗ったり、地面にはいつくばったりして、つなぎの服をペンキだらけにしながら、初めての「シャッターアート」に取り組みました。
消防団員や地域の住民もその様子を見守りました。
ふだんの作品作りと違い、いろいろな人に見られたり応援されたりするとうれしいです。
消防団員でふだんは建築塗装業を営んでいる中村淳さんは、道具を準備したり、ペンキの塗り方をアドバイスしたりしました。
消防団員の中村淳さん(本職は建築塗装業)
「建築塗装では使わない青や緑の色を使うので、自分にとっても刺激になります。塗り方もダイナミックで、美術の感性と建築塗装は全然違うなと思いました」
およそ2か月かけて、シャッターアートが完成しました。
あっという間に終わってしまって寂しいです。
完成してみて、頑張ったな私、という感じです。
新型コロナの影響で行事がなくなったりする中で、貴重な経験ができてうれしく思います。
6月18日、シャッターアートのお披露目式が開かれ、消防団から生徒たちにお礼の花束が贈られました。
デザインを担当 栗原未来さん
「ポップな絵柄で消防団員の熱い心をうまく表現できたと思います。誰かのために何かをする喜びを知ることができました」
美術部の2年生で協力してできた。この機会があったのがとてもうれかったです。
家族や町の人に見てほしい。また機会があったらやりたいと思います。
美術部を指導 笹岡寿美子教諭
「ふだん絵を描くのと違って、声を掛け合いながら力を合わせて作品を完成させることは大きな成果につながったと思います」
嵐山消防団 千野晃男団長
「子どもたちが描いた絵を多くの人に見てもらって、消防団を身近に感じてほしいと思います。今回の生徒さんたちには感謝の気持ちでいっぱいです」