1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. もっとニュース
  4. 春闘2024 賃上げ額の状況 連合33年ぶり 全労連25年ぶりの水準 日銀の判断は

春闘2024 賃上げ額の状況 連合33年ぶり 全労連25年ぶりの水準 日銀の判断は

  • 2024年3月15日

大手企業を中心に高い水準の賃上げの妥結が相次いだことしの春闘について、労働組合の中央組織の「連合」や労働団体の「全労連」が回答状況を発表しました。賃上げ額は連合では33年ぶりに5%を超えたほか、全労連では25年ぶりの高い水準だということです。この状況を日銀はどう判断するのでしょうか。状況をまとめました。

春闘2024 連合は5%以上の賃上げ要求

今回の春闘では去年12月に労働組合の中央組織の連合がおよそ30年ぶりの高い水準となった去年を上回る定期昇給分を含めて5%以上の賃上げを要求する方針を正式に決定しました。
これに伴って産業ごとに労働組合が集まる産業別労働組合が、それぞれ要求方針や目標を掲げ、例年以上の高い水準の賃上げを求める動きが相次ぎました。

連合 賃上げ額 33年ぶりに5%超

労働組合の中央組織の連合は、ことしの春闘について、15日午前10時までに経営側から回答が示された771社の労働組合の状況について公表しました。

それによりますと定期昇給分とベースアップ相当分をあわせた賃上げ額は月額1万6469円、率にして5.28%となり、1991年以来、33年ぶりに5%を超えました。去年の同じ時期と比較しても賃上げ額は4625円、率にして1.48ポイント上回っています。
また、非正規で働く人たちの時給の引き上げ額は平均で71.10円と、連合が集計を始めた2013年以降で最も高くなっています。

連合は今後、労使交渉を行う企業を含めた最終の集計結果をことし7月に公表する予定です。

芳野会長
現時点では要求に対して満額、あるいは要求を超える回答を引き出した組合の数は去年以上という印象だ。33年ぶりの5%代の賃上げ率は日本のステージ転換にふさわしいスタートが切れたと判断している。今回の流れを中小企業や労働組合のない職場にどれだけ波及できるかということが私たちに課せられた使命でこれからが本当の正念場だ。社会全体にこの流れをつなげていくことが先行した組合や連合の役割ではないかと思っているので引き続き精一杯、サポートをしていきたい

全労連 25年ぶり高水準も要求とは大きな開き

およそ70万人の組合員がいる労働団体の「全労連」はことしの春闘で賃金の10%以上、月額にして3万円以上の要求方針を掲げ、ストライキの実施を含めて経営側と交渉を行ってきました。

全労連は、これまでに回答があった383の労働組合の状況を発表し、賃金の引き上げ額は定期昇給分とベースアップ相当分をあわせて平均で月額7447円、率にして2.52%となりました。去年の同じ時期を1802円、率にして0.45ポイント上回り、およそ25年ぶりの引き上げ水準となりました。

しかし、要求水準とは大きな開きがあり妥結した組合はおよそ1割にあたる40組合にとどまっていて、今後も多くの組合で交渉を続けていくとしています。
産業別では卸売業や小売業では比較的高い水準の回答もあった一方で、医療分野では去年を下回る回答が多いということです。

黒澤幸一事務局長
高水準で妥結する大手企業が目立つがほんの一握りで、中小企業の賃上げは厳しい。生活を支えるうえで最低限必要としていた要求に遠く及ばず、実質賃金のさらなる低下から逃れられない水準だ。納得いく回答が得られるまでたたかい抜く。

重要視した春闘 日銀の判断は

日銀は3月18日から2日間の日程で金融政策決定会合を開きます。日銀が重要視していることしの春闘は、公表された連合の集計で平均の賃上げ率は33年ぶりに5%を超える水準となっています。また消費者物価指数の上昇率はことし1月まで1年10か月にわたり、目標とする2%以上の水準が続いています。

決定会合で、日銀は、春闘のデータも踏まえ、賃金と物価の情勢を丁寧に確認することにしています。その上で、マイナス金利政策を解除すべきかどうかや短期金利に加えて長期金利も抑え込む「イールドカーブ・コントロール」という枠組みを変更するのかなど大規模な金融緩和策の転換について議論を行います。

マイナス金利を解除して金利を引き上げれば17年ぶりとなり、経済や金融市場への影響も予想されることから、日銀の判断への関心が高まっています。

ページトップに戻る