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  • 2024年2月28日

賃上げ 引っ越しも塾も…消費者物価指数「サービス」上昇 マイナス金利政策への影響は

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先月・1月の消費者物価指数の上昇率を詳しくみると賃上げの動きなどを背景に「サービス」が食料などを含む「財」を2年10か月ぶりに上回りました。日銀は2%の物価安定目標の達成に向け、賃金と物価がともに上昇する好循環を重視していて、この好循環をつくるためにはサービス価格の上昇が重要だとされています。「サービス」の現場の動きや、今後の見通しについての専門家の見方をまとめました。

消費者物価指数 「財」と「サービス」

消費者物価指数は食料などの「財」と「サービス」の価格の平均的な変動を調査したものです。 
「財」には食料や機械、家具などの目に見える「モノ」が主な対象となりますが、電気代や都市ガス代といったエネルギーも含まれます。 
一方、「サービス」は、外食や運輸、通信、教育、理美容、医療など、役務の提供や労働の対価とされます。働く人の賃金が上がるとそれに連動して「サービス」の価格も上昇するケースが多いとされています。

1月「サービス」が「財」を上回る上昇率

総務省によりますと、1月の消費者物価指数は、天候による変動が大きい生鮮食品を除いた指数が去年の同じ月より2.0%上昇し5か月連続で2%台となりました。

また上昇率を「財」と「サービス」で比較すると、「サービス」は2.2%の上昇となり、「生鮮食品を除く財」の1.9%を上回りました。「サービス」が「財」を上回ったのは2021年3月以来、2年10か月ぶりです。

値上げの学習塾 人材確保に向けて賃上げ

賃上げを進める企業がサービス価格を引き上げる動きが広がっています。愛知県岡崎市にある小学生から高校生まで150人あまりが通う学習塾では去年3月に毎月の受講料を、少人数の講座は平均で5%程度、個別授業の講座は平均で23%程度、値上げしました。

値上げをした背景には講師を確保するための賃上げがあります。ほかの業界でもアルバイトの時給が上がり人材の奪い合いが起きていると感じ、このままでは採用が難しくなると考えたということです。

学習塾では、値上げで確保できた資金の一部を原資にして子どもや保護者の希望などを踏まえてサービスを拡充しました。

引っ越し値上げ 賃上げや2024年問題も

春の引っ越しシーズンを迎えますが、賃上げが必要だとして料金を値上げする会社が相次いでいます。

東京・中央区に本社を置く従業員およそ250人の運送会社では、去年11月に引っ越しの料金をおよそ10%値上げしました。さらにこの春から引っ越し先までの距離がおよそ200キロ以上の場合について、およそ10%の値上げを行う方針です。

値上げの背景には人材を確保するための賃上げや、ことし4月からトラックドライバーの時間外労働の規制強化で、人手不足の深刻化が懸念される「2024年問題」があるということです。

「サービス」価格変動が小さい品目が多い

「サービス」はこれまでは価格の変動が小さい品目が多いとされ、このことが賃金が上がりにくい要因の1つだと指摘されてきました。

食料などの「財」と比べると、人件費の増加が反映されやすいことや、「財」よりも遅れて上昇することが特徴とされています。

今後は、ことしの春闘での賃上げを受けた価格転嫁や、この春の水道などの公共料金の値上げがサービスの価格にどこまで反映されるのかが注目されます。

物価安定目標の達成 サービス価格の上昇が重要

日銀は2%の物価安定目標の達成に向け、賃金と物価がともに上昇する好循環を重視していて、この好循環をつくるためにはサービス価格の上昇が重要だとされています。 
そして、サービス価格の動向はマイナス金利政策を転換するかどうかを判断する大きなポイントになるとみられます。

植田総裁は、去年12月のNHKのインタビューの中で、2%の物価安定目標の達成に向け賃金と物価の好循環ができているかを見極める上でのポイントについて「春の賃金改定、それからここまでの賃金の動きがサービス価格にどう反映されていくか、この2点になる」と述べ、春闘での賃上げの動向に加えてこれまで上昇した賃金が物価に波及するかを丁寧に見たいという考えを示しました。

“収入より支出の物価が低い状況 実現する必要”

ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは、サービス価格の動向や日銀の政策判断について次のように話しています。

〇サービス価格の動向 
サービス価格は賃金に連動するという形で少しずつ上がってきている。サービス価格が上がるかどうかは経営者の賃上げのムードがどれくらい強まっているのかをみるうえでも重要だ。

〇日銀の政策判断は 
賃上げの動きがさらに進んでサービス価格の上昇というのがこれからどれぐらい勢いづくかを見ながら、冷静に判断していくと思う。好循環ということが非常に重要なポイントになっていて収入よりも支出の物価が低い状況を実現する必要があり、そのためにはやはり賃上げの動きがどれくらい加速するのかこれによって日銀の金融政策の強さも変わってくると考えている。

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