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  • 2024年2月29日

春闘2024 非正規雇用の賃上げは?満額回答の一方でパート アルバイト処遇どうなる

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ことしの春闘では、大手企業の中からはすでに組合の要求に応じる形の満額で回答する動きが出ています。こうした中で重要なのが、労働者全体の40%近くを占める非正規雇用で働く人たちの賃上げですが、これまで労使交渉は正社員が中心で、非正規雇用の人たちの声が反映されにくい状況が続いてきました。非正規雇用の人たちの賃上げをめぐり新たな取り組みも出てきました。その動きをまとめました。

大手企業労組 非正規雇用の組合員の賃上げ交渉

大手企業の労働組合では正社員に加えてパートやアルバイトなど非正規雇用の組合員の賃上げを春闘の要求に盛り込み、経営側との交渉を本格化させています。

全国で2200店舗を運営するドラッグストア大手、ウエルシア薬局の労働組合にはおよそ4万2000人の組合員が加入し、組合員のうちの3万人はパートやアルバイトなど非正規雇用の従業員です。非正規雇用の従業員が現場を支えています。

労働組合がことし特に力を入れているのは、非正規雇用で働く人の待遇改善です。例年以上の高い水準の賃上げを求めることにしました。

 

中村大樹 中央執行委員長  
本年も昨年と同水準以上の賃金引き上げを実現させ、交渉を行っていきたいと考えている。

 

高橋康司 取締役  
店舗の中心のパートやアルバイトの人たちのモチベーションは非常に業績に影響がある。しっかり受けとめて対応していきたい。

ことしの春闘では非正規雇用で働く人も高い賃上げで妥結する動きも見られます。流通やサービス業などの労働組合で作るUAゼンセンによりますと、先週から流通業で満額での妥結の報告が相次いでいて、大手スーパー「イオンリテール」や「ダイエー」ではパートなどで7%を超える賃上げで妥結し、いずれも正社員の賃上げ率を上回っています。

“非正規春闘” 労組がないパート・派遣社員などの取り組み

一方、企業に労働組合がない場合などでも非正規雇用で働く人たちが集まって賃上げを求める「非正規春闘」と呼ばれる取り組みが始まっています。1月にはおよそ50人が東京・千代田区の経団連の前に集まり、「現場は非正規労働者が支えている。大企業は労働者の声を聞いて待遇改善を行え」と声をあげました。

「非正規春闘」はパートや派遣社員の人たちなどがそれぞれの勤務先に賃上げを求めようと去年から始まった取り組みです。ことしは個人で加入できる21の労働組合が勤務先120社に対し一律10%以上の賃上げを要求しています。

非正規雇用の旅行添乗員 20年以上働いてきても

取り組みに参加した大島由紀さんは、非正規雇用の旅行添乗員として働いています。大島さんは、20年以上、同じ派遣会社に登録して主に海外旅行の添乗をしてきましたが、これまで、賃上げはほとんどなかったといいます。  
さらにコロナ禍以降、海外旅行のツアーが減り、収入は不安定になっていて、将来に不安を感じています。

2月、大島さんは「非正規春闘」を進める組合の担当者と一緒に、交渉に臨みましたが、会社側は「応じられない」と回答したといいます。大島さんは、今後も交渉を重ねていく予定です。交渉後、大島さんは「この仕事に就きたいという人がいる限り続けられるように処遇改善と待遇向上を目指していきたい」と話していました。

東京東部労働組合 菅野存執行委員長(一緒に交渉)  
「非正規春闘という枠組みで同じように戦う仲間と一緒にアピールしていけるのは非常に心強いです。会社を支えているのは非正規も含めた労働者だと思うので、立ち上がって声をあげた働く仲間たちと共に処遇改善を勝ち取っていきたい」

非正規雇用の人 低い労組加入率

厚生労働省によりますと非正規雇用で働く人は去年は国内で2100万人あまりと労働者全体の37%にのぼり、賃金の水準は正社員の6割から7割ほどで正社員との格差が顕著です。

非正規雇用の人たちの賃上げが実現しにくい背景の一つとして指摘されているのが労働組合への加入率の低さです。厚生労働省によりますと労働組合に加入しているパートタイム労働者は141万人、組織率は推定で8.4%となっています。  
加入していても労働組合との間に距離感があり賃上げを求める声などを交渉に反映しづらいことも課題です。

労組側 取り組み強化で非正規雇用の待遇改善を

こうした状況を受け労働組合側からは非正規雇用の人の待遇改善を重視して取り組みを強化する動きが高まっています。

労働組合の中央組織「連合」はことしの春闘で格差の是正を掲げ、労使が協定を結ぶ企業内最低賃金で時給1200円以上を求めるほか、働きの価値に見合った水準に引き上げるとしてパートやアルバイトで働く人に対してもフルタイムで働く人の昇給ルールと同等の制度を導入することなどを求めています。

また、繊維、流通、サービス業などおよそ2200の組合でつくる産業別労働組合で組合員のおよそ6割が非正規雇用で占めるUAゼンセンはことしの春闘で非正規については時給で70円の引き上げを目安にさらなる上積みを求める方針を掲げ、交渉を本格化させています。

“経済の好循環実現へ 非正規の人たちの賃上げ重要”

日本総研 山田久客員研究員  
「非正規の人の賃金を引き上げていくことはその人たちの生活を守っていく意味で非常に重要だ。大手の非正規の人の賃金を上げると競合企業も賃金を上げないと人が確保できないことになり全体に賃金を上げていくという波及効果が大きい。マクロの面から見ても全体の消費について非正規の人の賃金が増えないと経済全体が回っていくことは難しい。物価と賃金の好循環、デフレ脱却、経済の好循環を実現するには40%近くを占める非正規の人たちの賃金を上げていくことが非常に重要になっている」

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