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健康づくりのための睡眠ガイド2023まとまる おすすめの睡眠時間は何時間?

  • 2023年12月22日

みなさん睡眠時間はどのくらい確保していますか?

厚生労働省は、睡眠による休養を十分とれていない人が増えているなどとして、今回、専門家による検討会で、推奨する睡眠時間や生活習慣を世代ごとに示した「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を新たにまとめました。

どのくらい寝るのがいいのか、よい睡眠をとるためにどうしたらいいのか、まとめています。

睡眠ガイドまとまる

厚生労働省の検討会は、健康のために推奨する睡眠時間や生活習慣を世代ごとに示した「睡眠ガイド」を新たにまとめました。

厚生労働省は、およそ10年前に健康的な睡眠のための指針をまとめましたが、その後も睡眠による休養を十分とれていない人が増えているなどとして、今回、専門家による検討会で推奨する睡眠時間や生活習慣を世代ごとに示した「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を新たにまとめました。

成人 子ども 高齢者…推奨する睡眠時間は?
この中で世代を成人と子ども、それに高齢者の3つに分け、このうち成人については推奨する睡眠時間を6時間以上を目安とするとしました。

また、子どもについては、小学生は9時間から12時間、中学生・高校生は8時間から10時間確保することを推奨しています。

一方、高齢者については、寝床にいる時間が8時間以上にならないことを目安に必要な睡眠時間を確保してほしいとしました。

近年の研究で科学的に明らかになった内容…死亡リスクが
また、今回は睡眠について近年の研究で科学的に明らかになった内容も盛り込まれました。

この中で、成人と高齢者は、目覚めた時に体が休まったと感じる「睡眠休養感」が重要で、アメリカで行われた調査では、40歳から64歳の働き盛りの世代について、睡眠時間が5時間半未満で「睡眠休養感」が低いほど死亡リスクが高まったという結果が紹介されています。

そして、「睡眠休養感」を高める対策としては、就寝間際に夕食をとったり、朝食を抜いたりといった習慣の改善をあげています。

子どもについての研究結果で…
一方、子どもについては研究の結果、睡眠時間が不足すると肥満のリスクが高くなったり、学業成績が低下したりしたという報告があり、対策として生活習慣に注意し、小学生から高校生までは1日に1時間以上体を動かし、ゲームやスマートフォンの利用時間を2時間以下にすることを推奨しています。

「睡眠ガイド」…早ければ2024年1月公開
今回まとまった「睡眠ガイド」は、早ければ来月(2024年)1月にも厚生労働省のホームページで公開され、どう活用していくかについて有識者会議を立ち上げ議論していくとしています。

より良い睡眠のための対策は?

今回まとめられた「睡眠ガイド」には、よい睡眠をとるために個人でできる対策も盛り込まれました。

睡眠をとりやすい環境づくり…どうしたらいいの?
まず、睡眠をとりやすい環境づくりについて、体内時計を整えるため、日中にできるだけ日光を浴び、寝室にはスマートフォンやタブレット端末を持ち込まずできるだけ暗くして寝ること、そして、就寝の1時間から2時間前に入浴することなどが推奨されています。

運動と食事などの生活習慣については
次に、運動と食事などの生活習慣について、適度な運動習慣を身につけること、朝食をとり、夜食を控えること、寝る前にリラックスする時間をつくり、無理に寝ようとしないことなどが有効だとしています。

しこう品の摂取の量とタイミングについて
さらに、しこう品の摂取の量とタイミングについて、1日のカフェインの摂取量をコーヒーの場合はコーヒーカップで4杯程度とし、夕方以降は控えることや、晩酌で深酒はせず、眠るためのお酒は控えること、ニコチンが入った、たばこをやめることなどが盛り込まれています。

不規則な交代勤務の仕事をしている人は
一方、規則正しい生活を送ることが難しい交代勤務の仕事をしている人については、眠気や疲労改善のため、夜勤中に20分から50分の仮眠をとることを推奨しているほか、不眠や睡眠休養感が低下していると感じ、生活に支障があるときには速やかに病院を受診することを勧めています。

日本人の睡眠 世界で少ない

日本人の睡眠時間は、世界のほかの国と比べても少ないという調査結果が出ています。

OECD=経済協力開発機構のおととしの(2021年)調査によりますと、日本人の平均睡眠時間は、7時間22分で各国平均の8時間28分より1時間以上短く、33か国の中で最も短いという結果になりました。

さらに、日本では年代や男女による違いも見られます。総務省がおととし(2021年)1日の時間配分について行った調査で、睡眠時間について尋ねたところ、20歳から24歳までは男女ともに、平均8時間20分あまりで、ほとんど差がありませんでしたが、25歳から34歳まででは、男性は8時間で、女性よりも7分から15分ほど短くなりました。

しかし、35歳以降になると男女の睡眠時間が逆転し、女性の方が短くなります。すべての年代で最も睡眠時間が短かったのは、女性の55歳から59歳までの7時間7分、次に少ないのは、女性の50歳から54歳までの7時間8分で50代の女性の睡眠時間が短い傾向がみてとれます。

専門家 “健康に睡眠不可欠”

睡眠の問題に詳しく厚生労働省の検討会の座長も務める久留米大学の内村直尚学長は、日本人の睡眠時間の短さについて、次のように指摘しています。

久留米大学 内村直尚 学長
「日本人は睡眠に対して無頓着なところがあり、眠ることを犠牲にして働くことが頑張っている証拠だとして、戦後、睡眠を削って働いたり勉強したりすることによって経済成長と教育のレベルを高めてきたと思う。それが日本人の健康寿命を短くしたり幸福度を低くしたりといった一つの要因になっている」

また、50代の女性の睡眠が短いことについては、「女性が家事をしなければならないと思う人がまだまだ多く、子どもが受験勉強で遅くまで起きていると一緒に起きていたり、朝も早く起きて弁当を作ったりすると睡眠時間が短くなる。また更年期の問題も出てくる世代なので、ホルモンのバランスで眠りの質が悪くなるし睡眠が十分に取れずに体調を崩すこともある」と話しました。

そのうえで、「朝起きた時の『休養感』が低いというのは、高血圧、糖尿病、脳血管障害、心筋梗塞などの病気と相関があると言われている。健康で生活していくためには、睡眠が不可欠だということを意識してほしい」と話していました。

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