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おせち2024 通販で人気な高額商品!“100円おせち”は… 物価高騰の影響がここまで!

  • 2023年12月11日

ことし(2023年)も残すところ1か月を切りましたが、新年(2024年)を迎える準備は進んでいますか。

物価高騰が続く中、新年のおせち料理にも値上げなどの影響が出ています。

コンビニ大手「ローソン」のグループ会社では、2012年からおせち料理の具材を「100円おせち」という商品名で税抜き100円で販売してきましたが、一部を150円に値上げしました。
また、食材に加えて配送コストなどの高騰で値上げに踏み切った食品メーカーがあります。
一方、大手のネット通販では高価格帯の商品の売れ行きが好調となっています。

お財布のひもはしまりがちですが、あなたはいくら払いますか?

「100円おせち」が…

コンビニ大手「ローソン」のグループ会社で、税込み100円台前半の食品を多くそろえる「ローソンストア100」では、2012年からおせち料理の具材を「100円おせち」という商品名で税抜き100円で販売してきました。

しかし、ことしは、原材料費や輸送コストが高騰したため、7品目を150円に値上げしました。

このうち、厚焼きたまごやだて巻きは、鳥インフルエンザの影響で国産の卵が不足したためだということです。

また、くりきんとんとくりの甘露煮は、主に中国産のくりが値上がりしたことが、味付けあわびは、中国からあわびを輸入する際の輸送費が上がったことなどが、それぞれ影響しているということです。

一方、量を減らして値段を100円に据え置いた商品もあり、かまぼこは、例年の120グラムから85グラムになりました。

このほか、中国が日本産水産物の輸入を停止したことで打撃を受けた水産業を支援しようと、北海道産のホタテの加工品も新たにラインナップに加わりました。

商品開発を担当している三瓶邦秋さん
「100円という価格設定で消費者の支持を得ていた面はあるが、一部を150円にしても価値ある商品が揃っているので、好きな具材を自由に選んでもらい素敵なお正月を過ごしてほしい」

これらの商品は、12月25日に店頭に並ぶ予定で、事前予約の受け付けは、12月10日以降に始まります。

配送コストや盛り付け容器などの高騰で…

食材に加えて配送コストや料理を盛り付ける容器などの高騰でおせち料理の値上げに踏み切った食品メーカーもあります。

千葉県船橋市に本社を置く食品メーカーでは、おせち料理を全国の3つの工場で製造していて、できあがったものから倉庫で冷凍保存し、年末に顧客に発送します。

このメーカーは、材料をすべて国産でまかなっているため円安の影響を受けにくかったうえ、いくらやかずのこを安く仕入れることができた一方、たまごなどが高騰したため、食材の調達にかかった費用は例年と比べてやや上がったということです。

さらに、燃料代や人件費の高騰で配送のコストが10%ほど高くなったほか、おせち料理を盛り付けるプラスチックの重箱やこん包する段ボール箱も原油価格の高騰などで10%ほど値上がりしたため、一部の商品について値上げに踏み切りました。

このうち、2番目に高い3、4人前の2万8000円の商品は1800円値上げしましたが人気だということです。

石井食品 牧野崇さん
「さまざまな物価の高騰に対応した結果、値上げとなったが、おせち料理を楽しんでもらえるよう仕上げることができた」

ネット通販では高額おせちが人気

おせち料理が物価高騰の影響を受ける中、大手のネット通販では高価格帯の商品の売れ行きが好調となっています。

ネット通販の「楽天市場」を運営する楽天によりますと、取り扱っているおせち料理の中で、今シーズンは、豪華な食材を使ったものや量が多い商品など、3万円から5万円台の高価格帯の売れ行きが特に好調だということです。

コロナ禍では、巣ごもり需要を背景に個人向けの小ぶりな商品に人気が集まりましたが、楽天がインターネットで行った調査では、「5人以上のおせちを買う」と答えた人がおよそ2割、「3人から4人用を買う」が5割以上にのぼったということです。

楽天は、「新型コロナウイルスが感染症法上5類に移行されて初めての正月で、家族や親戚と気兼ねなく集まれるようになったため、大人数で楽しんで食べられる商品が人気なのではないか」と分析しています。

おせち料理… “日本経済の物価上昇が現れている”

経済の動向に詳しい第一生命経済研究所の星野卓也主任エコノミストは、この数年、円安や原油価格の高騰の影響で食材や運送費など幅広い分野で物価高が続いているとした上で、「企業としては、コストの上昇を販売価格に転嫁しなければ利益が出ないため、商品の価格に影響が出ている。おせち料理にはいろいろな食材が入っていて、まさに日本経済の物価上昇が現れている」と指摘しています。

また、消費の傾向については「賃金が上がってきているため消費しやすい環境になっているはずだが、それ以上に物価が上がり全体としては伸び悩んでいる」としています。

そのうえで、高価格帯のおせち料理が人気を集めていることについて、「ここぞというときは、しっかりお金を使うというようにメリハリをつけるのが昨今の消費の傾向で、物価高で節約せざるを得ないことの裏返しとして、正月くらいは高いものを食べようという側面があるのではないか」と述べ、正月の一時的な消費の拡大にとどまるという見方を示しました。

そして、経済が上向くためのポイントとして「賃金が上がって消費が増え、売り上げが伸びて再び賃金が上がる形で好循環を作っていく必要があり価格転嫁が進みやすい環境を整えることが重要になってくる」と話しています。

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