街を彩るイルミネーション。
国内のクリスマス前のイベントでも国連が掲げる持続可能な開発目標=「SDGs」を意識したさまざまな取り組みが行われています。
表参道の商業施設のクリスマスツリーをかたどる雪の結晶の形をしたパーツは、ポリエステル素材でできていて、展示が終わったあとはペットボトルや衣服の材料の一部としてリサイクルされるほか、神奈川県の観光地「江の島」では、消費電力を減らしつつ、魅力アップを図るライトアップのイベントも行われています。
また、クリスマスを過ぎて売れ残った食べ物を定価よりも安く提供して食品ロス削減につなげていこうという取り組みもあります。
東京・表参道。
12月1日午後6時前、およそ1キロのケヤキ並木のイルミネーションに一斉に明かりがつくと、多くの人たちが足を止め、冬の装いとなった街の様子を写真に収めていました。
クリスマスムードを盛り上げるこの時期ならではの街の装飾も最近は、環境に配慮したものが目立つようになっています。
表参道の商業施設の屋内にある高さ10メートルほどのクリスマスツリーは、国連が掲げる持続可能な開発目標、「SDGs」を意識して作られているといいます。
ツリーをかたどる雪の結晶の形をしたパーツは、ポリエステル素材でできていて、展示が終わったあとは細かく分解されてペットボトルや衣服の材料の一部として、リサイクルされるということです。
ツリーを設置した会社の担当者
「環境負荷が小さく、人や社会とのつながりに重点を置いている点に共感し、展示しています。氷のジュエリーのような光り輝くブルーにも注目してほしい」と話していました。10か月の子どもと訪れていた母親は「子どもたちの未来を考えて環境を維持するというコンセプトが今の時代にもあっていると思います」
環境への配慮で、消費電力を減らしつつ、魅力アップを図っているライトアップのイベントもあります。
神奈川県の観光地「江の島」で、20年以上続くライトアップの会場では、去年まで10センチ間隔になっていたLEDの電飾の一部を、ことしから1メートル間隔の特注のものに変えました。
電飾が多い場所と少ない場所とに光の緩急が生まれ、高さや奥行きもつけることで、宇宙空間をイメージした演出にしています。
こうした演出によって、会場の入り口周辺の消費電力を95%以上削減したということです。
また、イルミネーションで彩られた木々の間を散策できるエリアでも、消費電力が従来の3分の1のLEDをことしから使用していますが、明るさにはほぼ遜色がないということです。
訪れた20代男性
「電力を減らしてもこれだけのクオリティができるのはすごいです」
イベントを主催する団体の事務局の女性
「密度をぎゅっと高めて光を見せているところと、間隔を空けて配置しているところと、メリハリをつけることで楽しんでいただいています。電力を抑えて世の中に寄り添いながら、変わらず楽しんでもらえるイルミネーションを提供していきたい」
クリスマスを過ぎて売れ残った食べ物を定価よりも安く提供して食品ロス削減につなげていこうという取り組みもあります。
埼玉県の企業が運営するアプリ、「TABETE」では、店で売れ残るなどした食べ物が定価よりも安い価格で販売されていて、クリスマスを過ぎた時期に、多くの店からの出品が予想されるといいます。
去年は、12月25日以降の4日間、洋菓子店などから、ケーキなどおよそ1300食分が定価よりも1割から5割ほど安く販売され、売れ行きは好調だったということです。
東京・文京区に本社がある洋菓子店「ダロワイヨジャポン」では、4つの店舗で売れ残ったケーキやオードブルなど34食を出品し、そのほとんどが売れたということです。
店は、廃棄を減らせるだけでなく、新たな顧客の獲得にもつながると考えていて、永井崇広営業本部長は、「単なる値引き販売ではなくて、お客さんも『食品ロスの削減に一役買っている』という気持ちになれるよいシステムだと思います」と話していました。
アプリを運営する「コークッキング」の篠田沙織 取締役
「クリスマスの食品は、予約はせずに当日に買う消費者の需要もあるので、店側も多めに用意して備えています。食品ロスの削減が店の利益にもつながると考え、優先的に取り組んでほしい」