新型コロナウイルスに感染し、回復した後に出る後遺症の1つとして、頭に「もや」がかかったように感じ、思考力や集中力が低下する「ブレインフォグ」と呼ばれる症状があるとされています。この症状について、横浜市立大学の研究グループが、発症の仕組みを解明するための臨床研究を始めることになりました。後遺症の症状や研究についてまとめました。
新型コロナの後遺症についてWHO=世界保健機関は倦怠感などが少なくとも2か月以上続き、ほかの病気による症状として説明がつかないものなどと定義しています。
症状は、けん怠感や集中力低下、脱毛、嗅覚・味覚障害など多様で、詳しい原因や患者数もわかっていません。
専門家がまとめた後遺症に関する厚生労働省の診療の手引きによりますと「ブレインフォグ」では「頭がボーっとする」などの症状が特徴的で、症状が出た人は記憶障害や集中力の低下などで戸惑いや焦りを感じるほか、日常生活や就学・就労、職場復帰などの妨げにもなりうるとしています。
これについて、横浜市立大学医学部の高橋琢哉教授の研究グループが、発症の仕組みを調べる臨床研究を始めることになりました。
研究グループでは、記憶や学習をする際に脳内で活発に働く「AMPA受容体」と呼ばれるたんぱく質を可視化する独自の技術を持っています。
臨床研究では、ブレインフォグの症状を訴える30人について、AMPA受容体の分布などを計測し、発症との関連を調べるとしています。
必要な費用の一部をクラウドファンディングで募っているということです。
横浜市立大学医学部 高橋琢哉教授
「新型コロナウイルスが脳に与える影響はまだブラックボックス状態だ。発症の仕組みを解明して治療法の開発に役立てたい」