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全銀ネット システム障害の復旧は? 他銀行宛て振り込みどうなる

  • 2023年10月13日

金融機関どうしの資金のやり取りを担うシステムの不具合について金融庁は、運営する全銀ネット=「全国銀行資金決済ネットワーク」に対し、資金決済法に基づいて原因や再発防止策などの報告を求める「報告徴求命令」を出しました。全銀ネットは障害の影響で個人や企業が追加で負担した費用を、加盟する金融機関が補償するとしています。原因や影響、これまでの動きをまとめました。【更新10月20日】

処理が遅れた取り引き500万件超(10~11日)

全国銀行協会によりますと、10日午前8時半ごろ、一般社団法人の全銀ネット=「全国銀行資金決済ネットワーク」が運営する通称・全銀システムに不具合が発生しているのが確認され、今回のシステムの不具合では10の金融機関で他行宛ての振り込みが遅れるなどの影響が出ました。

〇振り込み遅延など
三菱UFJ銀行 りそな銀行 埼玉りそな銀行
関西みらい銀行 山口銀行 北九州銀行
三菱UFJ信託銀行 日本カストディ銀行
もみじ銀行 商工中金=商工組合中央金庫

全銀ネットによりますと、10日朝にシステムの不具合が発生してから11日までに処理が遅れた取り引きは500万件を超えたということで、給与の振り込みや中小企業の送金が遅れるなど影響が広がりました。

※注記※
運営団体は11の金融機関で影響が出ているとしていましたが、その後、10の金融機関と修正しました。

“12日午前9時時点 システム問題なく稼働”

この問題について全銀ネットは12日、復旧に向けた対応が完了したと発表しました。さらに全銀ネットは午前9時時点でシステムが問題なく稼働していることを確認し、復旧したと発表しました。
また、振り込みを受け付けているものの決済できていない件数が、11日夕方の時点で87万件にのぼっていましたが、全銀ネットは遅れが出ていた振り込みの処理もすべて完了したと発表しました。

不具合があった部分は

全銀ネットによりますと、今回の不具合は「全銀システム」と各金融機関をつなぐ中継コンピューターの部分で発生したということです。中継コンピューターに整備されている取り引きにかかる費用をチェックする機能に問題があった可能性があるとしていて、サイバー攻撃の影響ではないとしています。

不具合は10月9日までの連休中にシステムと各金融機関をつなぐ中継コンピューターを更新する作業の中で発生したとしていて、全銀ネットは引き続き詳しい原因を調べることにしています。

全銀システムは全国の金融機関をネットワークで結ぶ基幹システムで、1973年に稼働を始めてから日本の金融取引の基盤として重要な役割を果たしてきました。
金融機関の顧客の取り引きに影響を及ぼす形で不具合が発生したのは1973年に稼働を始めてから50年間で初めてだということです。

金融庁 全銀ネットに「報告徴求命令」

これを受けて金融庁は、多くの利用者に影響が及んだ事態を重く見て、13日全銀ネットに対し、資金決済法に基づいて原因や再発防止策などの報告を求める「報告徴求命令」を出しました。

金融庁は、10月9日までの連休中に全銀ネットが実施した更新作業に問題があったと見られることから更新作業の方法やバックアップの態勢、それに不具合が発生したあとの対応についても問題がなかったか詳しく調べる方針です。

また、不具合が発生した10月10日が、資金決済が集中するいわゆる「五・十日」だったことが混乱を招いたという指摘もあることから、システムを更新するスケジュールに無理がなかったかという点などについても調べることにしています。

全銀ネットは「法律に基づき対応を進め、11月末までに報告する予定です」とコメントしています。

“利用者への補償を行う” 具体的な内容は

全銀ネットは18日、振り込みができなかったり着金が遅れたりしたことで個人や企業が追加で負担した費用については加盟する金融機関がそれぞれ利用者への補償を行うと発表しました。

具体的には、誤って二重で行ってしまった振り込みを取り消すために支払った手数料予定された日に振り込みができなかったことで発生した延滞金や遅延損害金、それに一時的に残高不足となったことで生じた金利などの追加費用が補償の対象となるとしています。

全銀ネットは、「システム障害の影響で多大なるご迷惑、ご心配をおかけしましたことを深くおわび申し上げます」としています。

金融機関の対応は

〇三菱UFJ銀行
システム不具合の影響で顧客が本来より多く振込手数料を支払った場合は差額を銀行が負担するとしています。

例えば、他行への振り込みができなくなったことでやむをえず別の銀行で振り込みを行ったときに、支払った手数料が三菱UFJ銀行から振り込むときにかかる手数料より高かった場合、その差額を負担する方針です。 また、システムの不具合の影響で企業が残高不足に陥り手形や小切手の決済ができなくなった場合でも不渡りとはしないということです。

〇りそな銀行
顧客が本来より多くの振込手数料を支払った場合、銀行側で負担するとしています。

〇二重振り込みに注意を
各銀行は、取り引きの決済に時間がかかる中、同じ口座に度送金する「二重振り込み」が発生しないよう利用者に注意を呼びかけています。

三菱UFJ銀行 通常通りの取り引き可能

【12日】
三菱UFJ銀行は12日、通常通りの取り引きができるようになったと発表しました。11日までに受け付けた他の金融機関宛ての振り込みや他の金融機関からの振り込みの入金に一部遅れが発生しているということですが、順次、取り引きが完了する見込みだとしています。

商工中金 通常通り利用可能

【12日】
「商工中金」は、全銀ネットのシステム不具合の影響で他行宛ての振り込みについて全国の店舗の窓口やATM=現金自動預払機、それにインターネットによる取り引きを停止するなどの影響が出ていましたが、これらの取り引きについて通常通り利用できるようになったと発表しました。

りそなグループ 通常通り利用可能

【12日】
りそなグループのりそな銀行と埼玉りそな銀行それに関西みらい銀行は、他行宛ての振り込みが遅れるなどの影響が出ていましたが、これらの取り引きについて午前8時半から通常通り利用できるようになったと発表しました。処理が遅れている振り込みの手続きについては、12日のうちにすべて完了する見込みだとしています。

山口フィナンシャルグループ

【12日】
山口フィナンシャルグループは、傘下に置く山口銀行ともみじ銀行、北九州銀行の3行で12日8時半からシステムが復旧し、正常に稼働していると発表しました。システムが復旧したことで、振り込みなどが通常どおりできるようになったということです。
また、入金が遅れるなどしていた10日と12日の振り込みについても、これまでにすべての手続きが済んだとしています。

影響は児童手当の振り込みにも

〇児童手当 東久留米市
一部の自治体では、児童手当の振り込みが遅れる影響も出ました。このうち東京・東久留米市では、10日に振り込まれる予定だった児童手当が一部の人に振り込まれていないことをホームページで発表しました。

〇愛知県一宮市
また、愛知県一宮市では、指定金融機関である三菱UFJ銀行の口座から必要な振り込みを行っています。市によりますと、10日は児童手当や市が発注した工事の代金など振り込みが多い日で、他行宛ての2万件程度で振り込みができなかったということです。

公金の出納を管理する会計課には12日昼ごろに銀行から「滞っていた振り込みがほぼ完了した」と連絡があったということです。

一宮市会計課 前田健司課長
「システムが始まって以来の障害ということで非常に不安でしたが、復旧してとりあえずほっとしました。今後、こうした事態が発生した場合の対応も検討したい」

ゆうちょ銀行 「ゆうちょ通帳アプリ」も復旧

一方、ゆうちょ銀行は、10日朝、インターネットバンキングやスマートフォン決済などのサービスが利用できなくなるシステム障害が発生しました。このうちスマートフォン上で残高確認や送金を行う「ゆうちょ通帳アプリ」が利用できない状態が続いていましたが、会社によりますと、復旧作業を進めた結果、11日午後6時ごろにはこのアプリのサービスの不具合も解消し、全面的に復旧したということです。

ゆうちょ銀行は、今回の障害は社内のシステムで発生したものであり、全銀ネット=全国銀行資金決済ネットワークが運営するシステムの不具合とは関連はないとしています。

会社は、復旧するまでの間に窓口やATMを通じて送金した利用者については、申し出に応じて手数料にあたる料金の差額を返金する対応を行うことにしています。

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