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新NISAどうなる?いつから変わる?貯蓄から投資へ進むのか!

  • 2023年10月6日

いま若い世代を中心に注目されている「NISA」。
個人投資家を対象にした優遇税制ですが、2024年1月からその制度が拡充されるんです。
政府は「貯蓄」から「投資」への流れを後押しする施策を進めたいとしていますが、個人が保有する巨額の現金や預金が今後どう動くかが焦点です。

「貯蓄」か「投資」か、悩ましいお金の話、どう考えたらいいんでしょうか。

投資を身近に感じてもらおうと…

個人投資家を対象にした優遇税制「NISA」が2024年1月から拡充されるのを前に、投資を身近に感じてもらおうと、証券業界の関係者などによるトークイベントが都内で開かれました。

これは、日本証券業協会が10月4日、数字のごろあわせで「証券投資の日」と定めているのに合わせて開いたもので、イベントでは、証券取引所や証券業界の関係者がタレントの丸山礼さんとともにトークイベントを行い、安定した資産形成に向けては「長期・積み立て・分散」の投資がポイントだと解説していました。

若い世代…NISA 利用と関心8割近く

「NISA」が2024年1月から拡充されるのを前に、若い世代に投資への意識を聞く調査が行われ、NISAについて利用している人と、関心がある人で、あわせて8割近くに上ることがわかりました。

この調査は、国内の資産運用会社など3社が全国の20代から30代、6700人あまりを対象に行いました。

それによりますと、
老後の暮らしについて感じることを聞いたところ▼「不安・心配」が最も多く36%、続いて▼「想像がつかない、考えたことがない」が22%、▼「なんとかなる」が10%で、不安を抱いている人が多くなっています。

また、NISAの投資経験や関心について聞いたところ▼「現在やっている」が35%、▼「経験はあるが、現在はやっていない」が8%、▼「経験はないが関心はある」が43%、▼「経験も関心もない」が12%で、利用している人と関心がある人であわせて8割近くに上りました。

NISAとは?

「NISA」は、個人の資産運用を後押しするための税制の優遇制度です。
購入した株式や投資信託などの売却益や配当金が一定の範囲内で非課税となります。

現在の制度は、株式や投資信託などを年間120万円まで購入できる「一般NISA」と、長期の運用を想定して投資対象を一定の投資信託に限定し、年間40万円まで購入できる「つみたてNISA」があります。

この制度は、どちらか1つしか選ぶことができず、いずれも期限付きの措置で非課税で保有できる期間も決まっています。

2024年1月からどう変わる?

2024年1月からは、この「NISA」が拡充されます。
長期の積み立てを目的に投資信託だけを購入対象とする「つみたて投資枠」と、上場企業の株式などを購入できる「成長投資枠」がありどちらの制度も利用できるようになります。その上で、制度は恒久的なものとして、非課税で保有できる期間も無期限となります。

年間の投資の上限額は、「つみたて投資枠」が120万円、「成長投資枠」は240万円、合計で360万円です。

非課税で保有できる資産の限度額は、2つの枠の合計で最大1800万円です。

1月に拡充後の「新NISA」を利用するためには、銀行や証券会社で口座を開設することが必要です。

NISA口座は「1人1口座」と決まっています。

すでにNISA口座をもっている人は2024年1月に新NISA口座が自動で開設されます。

NISA枠の一部をすでに使用している場合、手続きをすれば、金融機関を変更して新NISA口座を開くことも可能です。

一方、現在、NISA口座をもっていない人は、2024年の新NISAのスタートに向けて新たに口座を開設するか現行のNISAの口座を開き、2024年1月に自動で新NISA口座を開設する方法があります。

NISA拡充の狙いとは?

政府は、来年1月に個人投資家を対象にした税制の優遇制度「NISA」を拡充するなど貯蓄を投資に振り向けて個人の資産形成や経済成長を後押しする施策を進めたいとしていますが、個人が保有する巨額の現金や預金が今後どう動くかが焦点となります。

日銀が3か月ごとに公表する「資金循環統計」によりますと、個人が保有する預金や株式、保険などの金融資産は、ことし6月末の時点で2115兆円と、過去最高を更新しました。

個人金融資産全体に占める割合 
「現金・預金」52.8%
「保険・年金など」25.4%
「株式など」は12.7%
「投資信託」は4.7% など

アメリカ(ことし3月末時点)
「現金・預金」12.6%
「保険・年金など」28.6%
「株式など」39.4%
「投信信託」11.9%

ユーロ圏(ことし3月末時点)
「現金・預金」35.5%
「保険・年金など」29.1%
「株式など」21%
「投資信託」10.1% など

日本の個人金融資産は一貫して現金と預金の割合が高い状態が続いています。

背景として、バブル崩壊後に株価が大きく値下がりし、証券業界で不祥事が相次いだことなどを背景に投資に慎重な人が多いことに加えて、デフレが長期化し現金の実質的な価値が上がっていたことなどから、相対的にリスクの高い株式などへの投資が敬遠されてきたのではないかと指摘されています。

また、資産運用会社の運用力や顧客への情報開示のあり方にも課題があると指摘されているほか▽金融や資産運用のリスクについて学ぶ機会が少なく投資教育が浸透していないことも欧米に比べて投資に資金が向かない背景にあると言われています。

貯蓄から投資へのシフトを進めるには

貯蓄から投資へのシフトを進めるには、幅広い世代に投資や資産形成に関する知識をどう身につけてもらうかも課題となります。

個人のニーズやライフプランに見合った金融商品やサービスを選び、計画的な資産形成につなげるためにはそのリスクをしっかり理解しておくことも欠かせません。
しかし、日本では欧米に比べて学校や職場などで金融に関する教育が十分に行われていないとも指摘されています。

こうした中、昨年度から高校で金融教育の授業が必修となったほか、証券会社をはじめとする金融機関などの間でも、各地の学校などで金融教育を行う取り組みを強化しています。

政府は金融教育を進める中核的な組織として「金融経済教育推進機構」を来年中に設置する方針で、関連する法律の改正案を次の臨時国会で成立させることを目指しています。

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