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アルツハイマー病 新薬「レカネマブ」国内は? 8月21日承認判断へ

  • 2023年8月2日

アルツハイマー病は認知症の原因となる病気の1つで日本では認知症と診断された高齢者の6割以上を占めています。日本とアメリカの製薬会社が共同で開発したアルツハイマー病の新薬について厚生労働省は8月21日の専門家部会で承認するかどうかを判断することが関係者への取材で分かりました。承認されれば、アルツハイマー病の原因物質に直接働きかけ、取り除くための初めての薬が国内で製造・販売できるようになります。
※9月25日 正式承認 詳細を追記しました※

アルツハイマー病とアミロイドβ

「アルツハイマー病」は典型的な症状として初期にもの忘れが目立ち、経過とともに、理解や判断の力が衰えたり、身体的な機能も低下して動きが不自由になったりするなど様々な症状が徐々に出てくるようになります。

発症した人の脳では、「アミロイドβ」と呼ばれる異常なたんぱく質がたまっていて、これにより神経細胞が壊れ、脳が萎縮し、その結果、脳の働きが低下すると考えられています。

レカネマブ 症状の進行抑制が期待

アルツハイマー病の新しい治療薬、「レカネマブ」は、日本の製薬大手「エーザイ」がアメリカの「バイオジェン」と共同で開発を進めてきた薬で、アルツハイマー病の患者の脳にたまる「アミロイドβ」という異常なたんぱく質を取り除くことで症状の進行を抑えることが期待されています。

専門部会 8月21日に承認判断

エーザイはことし1月にレカネマブについて、厚生労働省に承認を求める申請を行っていましたが、厚生労働省は8月21日に専門家部会を開き、承認するかどうかを判断することが関係者への取材で分かりました。

「エーザイ」などの研究グループによりますと、最終段階の治験の結果では、この薬を投与された患者は、偽の薬を投与された患者と比べて1年後の認知機能の低下がおよそ27%抑えられ、病状の進行を緩やかにする効果が確認されたということです。

アメリカ 7月上旬に治療薬として承認

アメリカでは7月上旬に治療薬として承認されていて、日本でも承認されれば、アルツハイマー病の原因物質を取り除くための初めての薬が国内でも製造・販売できるようになります。

厚生労働省によりますと、日本では認知症の人は3年前の2020年の時点で600万人と推計されていて、さらに団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となる2025年にはおよそ700万人にのぼると予測されています。

「レカネマブ」を正式承認

【追記】
「レカネマブ」について厚生労働省は、8月開かれた専門家部会で使用が了承されたことを受けて、9月25日、正式に承認しました。アルツハイマー病の原因物質に直接働きかけ取り除くための薬が国内で承認されるのは初めてです。

薬が使われる対象は、認知症を発症する前の「軽度認知障害」の人や、アルツハイマー病の発症後、早い段階の人となっています。また薬の価格は、すでに承認されているアメリカでは1人あたり平均で年間2万6500ドルに設定されていますが、日本ではまだ決まっていません。

今後、中医協=中央社会保険医療協議会で、公的医療保険の適用と価格について結論が出され、早ければ年内にも患者に使われるものとみられます。

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