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  • 2023年6月14日

防犯カメラ 鉄道車両で義務化に 首都圏など対象路線 設置率の状況は

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鉄道の保安対策をめぐり、利用者が一定以上の3大都市圏の路線を走る車両やすべての新幹線を対象に、新たに導入する車両に防犯カメラの設置を義務づける方針が、国の検討会で了承されました。防犯カメラの設置義務化に関しての詳しい内容のほか、現在の設置率や課題についてまとめました。

襲撃事件受け列車内の防犯カメラ設置を議論

小田急線や京王線の車内で2021年、無差別な襲撃事件が相次ぎました。列車内の防犯カメラの設置状況について、国土交通省が2022年2月に鉄道各社に行った調査では、全国のおよそ5万2500両のうち設置済みは2万両余りで4割近くとなっていて、国土交通省は有識者や事業者でつくる検討会で防犯カメラの設置義務づけなどを議論してきました。

設置義務化の方針 対象は

6月14日に開かれた検討会は非公開で議論されましたが、出席者によりますと、国土交通省の担当者から、利用者が多く輸送密度が一定以上となる主に3大都市圏の路線を走る車両と、すべての新幹線を対象に、新たに導入する車両への防犯カメラの設置を、ことし9月にも鉄道事業者に義務づける方針が示されたということです。

検討会が了承 9月にも義務化

検討会で出席者からは「カメラの設置にかかる費用負担についても検討してほしい」とか「プライバシー保護の点からも『録画再生中』などと利用者に示したほうがいい」といった意見が出されたということですが、義務化の方針は了承されたということです。

今後、国土交通省は、1か月間パブリックコメントを行ったあと、必要な省令を改正し、9月にも義務化する方針です。

“コスト面での負担否めず 国は支援を”

義務化の対象となる鉄道事業者からは、安全対策の強化を理解する一方でコスト面での負担を懸念する声が聞かれました。

首都圏 大手私鉄の幹部 
「安全には代えられないので、防犯カメラの設置を積極的に進めてきたが、設置だけでなく維持するためのコストもばく大なのが実態だ。鉄道収入も新型コロナの影響で落ち込んでいる今、経営への負担は小さくない」

別の大手私鉄の幹部 
「広範囲で列車を運行しているため保有する車両数も多い。カメラを設置した後も揺れなどで故障することもあり防犯カメラの設置義務化は経営コストの面で負担であることは否めず、国に財政面で支援してもらいたい」

防犯カメラ 鉄道各社の設置状況

列車内の防犯カメラについて最新の設置率を鉄道各社に聞いたところ、新幹線ではJR西日本の山陽新幹線が96%で、2023年度末までに完了予定だということですが、そのほかの新幹線はすでに100%設置されているということです。

在来線や地下鉄では、JR東日本の山手線など首都圏の在来線や、東急電鉄が100%となっていますが、JR西日本の京阪神地区の通勤電車などでは2023年4月末時点でおよそ30%。東武鉄道は2023年3月末時点で17%、東京メトロでは2023年4月末時点でおよそ60%となっています。

このほか、事件のあった京王電鉄では、リアルタイム型のカメラの設置率が5月末時点で87%まで進み、2023年度中に全車両への設置を目指しています。

小田急電鉄も事件を受けて防犯カメラの設置を加速していて、2025年度中に、ほぼすべての車両への設置を予定しています。

“義務化は鉄道の安全への第一歩に”

鉄道の安全対策に詳しい関西大学の安部誠治名誉教授に、防犯カメラの設置の効果や課題について聞きました。安部名誉教授は、課題のひとつとして、コスト負担の問題を挙げ鉄道各社が共同で開発するなど軽減できる手段を探っていくべきだと指摘しました。

〇設置の効果 
鉄道のような不特定多数の人が利用するところで凶悪犯罪が起きれば多数の人に被害が及ぶため、防犯カメラの設置はやむをえない対策だ。カメラがあることで抑止効果が期待でき、義務化は鉄道の安全への第一歩になるだろう。

〇プライバシーの問題 
人の映像を撮って記録に残すことでプライバシーの点はどうなのか課題はある。“この車両には防犯カメラが設置され、モニターされている”と乗客に周知することも意味のある対策になる。安全や治安とプライバシーの侵害をどうバランスをとっていくか、社会全体で議論していくべき重要な論点で、社会が許容するかどうかではないか。

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