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コロナ5類「定点把握」流行監視とは?「全数把握」と変わること

  • 2023年4月13日

新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが「5類」に移行したあとの感染者数の把握や公表などについて、厚生労働省は、指定医療機関が週1回報告する「定点把握」に変更する方針を含む監視体制を示しました。これまでの「全数把握」と「定点把握」では何が変わるのか。今後の感染動向の把握や公表の方法などについてまとめました。

新型コロナ流行状況は「定点把握」に

「流行状況の把握」については5月8日から週1回、全国約5千の医療機関に年齢層や性別ごとの新規感染者数を報告してもらう「定点把握」に変更されます。

現在は、患者の情報を一元管理する「HER-SYS」と呼ばれるシステムを通じて、医療機関や自治体から報告を受ける「全数把握」が行われていて、自治体が新規感染者の総数や年齢層、性別を1日ごとに公表しています。

「定点把握」に切り替われば、自治体による日々の集計や発表は打ち切られ、1週間ごとの集計結果を国立感染症研究所が毎週、ホームページ上で公表するかたちとなります。

厚生労働省は、「定点把握」を補完する目的で、献血の血液を分析して抗体の保有率を調べる調査や、下水に含まれるウイルスを検出して流行の動向をつかむ研究を継続することにしています。

入院・重症者は一定継続

医療ひっ迫の目安となる「入院患者」や「重症者」の人数の把握も「定点把握」に変更する方針が示されています。

具体的にはおよそ500か所の医療機関からの週1回の報告を国立感染症研究所が集計する方針で、開始時期などについては定点となる医療機関と調整したうえで、厚生労働省が今後検討するとしています。

当面の間は、全国の医療機関が「入院患者」や「重症者」を報告しているいまの方法を一定期間継続し、医療ひっ迫の状況や重症度の変化を把握することにしています。

病原体の動向把握 目標値減らし継続

新たな変異株の発生などを把握するためのゲノム解析=ウイルスの遺伝子の解析は、目標数を4分の1程度に減らして継続することにしています。

これまでゲノム解析は、都道府県で実施率5~10%程度、数として週300~400件を目安に実施しているほか、国立感染症研究所でも週に800件の解析をしてきました。

5類に移行したあとは、都道府県で週100件、国立感染症研究所で週200件程度とする方針で、結果は、国立感染症研究所のホームページで週報や定期報として公表されます。

死者数は2か月後に把握

新型コロナに感染して亡くなった人については、医療機関が自治体に報告し、国が集計して毎日、公表しているほか、国の統計「人口動態統計」により、例年の水準と比べて死者数が増えていないかどうか推移を把握してきました。

今後は都道府県などによる毎日の報告と公表は終了し、「人口動態統計」をもとに死者の総数を2か月後に詳細な死因別は5か月後をめどに推移を把握する方針です。

ただ、集計に時間がかかることからこれとは別に、協力を得られた一部の自治体の死亡した人の総数を、1か月以内をめどに集計し、増減の傾向などを把握するとしています。

病床使用率・クラスター・検査数

「病床使用率」は医療ひっ迫の指標として把握されてきました。厚生労働省はこれまで各都道府県が新型コロナの患者のために確保した病床の使用率などを週に1度まとめて公表しています。
5類に移行したあと、自治体や医療機関で確保病床の数の見直しが進められますが、「病床使用率」の把握は継続することにしています。

医療機関や高齢者施設、学校などでの複数人の感染事例、「クラスター」については、病院や福祉施設には保健所への報告を求めますが、国による一律の公表は行われなくなります。

「検査数」については現在行われている医療機関からの報告を継続することになりました。

「急性呼吸器感染症」感染動向の把握方法は

厚生労働省は5月8日の「5類」移行について、今後、専門家の部会で最終的に決めることにしています。

さらに将来的なパンデミックに備え、「急性呼吸器感染症」の感染動向などを一体的に把握する方法について検討を進める予定です。
「急性呼吸器感染症」にはインフルエンザや新型コロナウイルス、RSウイルス感染症などが含まれ、厚生労働省は今後、定点医療機関の負担を考慮しながら専門家による部会で本格的な検討を進めていくことにしています。

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