「千葉科学大学」からの“公立大学化”の要望。可能かどうかを検討する銚子市の委員会の初会合が開かれました。
大学を運営する加計学園側は、「公立化が実現しなければ撤退もありうる」と述べたのに対し、委員からは「委員会へのプレッシャーでいかがなものか」と反発の声も。詳しくお伝えします。
4月14日、銚子市で「千葉科学大学公立大学法人化検討委員会」の初会合が開かれました。
初会合は当初、1月中にも開催される見通しでしたが、銚子市は、大学運営のあり方について「学園側との協議が整っていない」などとして、一時開催を見合わせていました。
しかし、「これ以上検討を先延ばしにできない」として、開催することになりました。
「公立化」は市が将来の責任を負うことになるため、楽観的な見通しではなく、客観的なデータや知見に基づき、厳しく精査する必要がある。
市民にとって最も良い形になるよう議論していただきたい。
委員の顔ぶれは次の通りです。
<有識者>
太田康広氏(慶應義塾大学大学院 教授)
小栗一徳氏(公認会計士・税理士 小栗事務所 所長)
高岡正幸氏(学校法人千葉敬愛学園 常務理事)
田村秀氏(長野県立大学 教授)
矢尾板俊平氏(淑徳大学 教授)
<地元の代表者>
伊藤晴美氏(銚子市教育委員会 教育委員)
齋藤隆広氏(銚子青年会議所 理事長)
野本春道氏(銚子市町内会連合協議会 会計)
林広幸氏(銚子市立銚子高校 校長)
松本恭一氏(銚子商工会議所 副会頭)
委員会開催の経緯について、詳しくはこちらの記事で👇
初会合では、千葉科学大学を設置・運営している学校法人「加計学園」の幹部が説明に立ち、大学単体での収支は、2016年度から赤字が続いていることを明らかにしました。
大学は今年で創立20周年を迎えるが、6年目からは定員割れが続き、新型コロナ感染拡大後は、学生の確保と経営の安定化が一層厳しい状況になっている。
局面を打開する道として考えられたのが「公立化」だ。
公立大学になることで大学のブランド力が高まり、国からの交付金で授業料の引き下げも見込めるため、学生数の増加が期待できる。
その上で、別の幹部が次のように述べました。
移行が実現しなければ、来年度から学生の募集を停止し、撤退もありうる。
この発言に対し、委員からは反発の声が出されました。
「撤退」の発言は委員会への強烈なプレッシャーで、いかがなものか。
学園側で大学の規模のスリム化を検討してから、市に公立化を要望するのが筋なのではないか。
一方で、学園側の要望を後押しする意見も。
地域にとっては、大学の存続が最も大事だ。
初会合のあと、越川市長と委員長を務める淑徳大学の矢尾板教授が記者会見を開きました。
矢尾板教授は、学園側が「撤退」に言及したことに不快感を示しました。
「撤退」という発言は、大変遺憾に思っている。
人口減少の社会では、いままでのように公立大学かすればすべてがよくなる時代ではない。
銚子市における大学のあり方を根本的に考える機会にして、市民にとって最も良い形になるよう議論を深めていきたい。
きょう示されたような公立化のメリットがある一方で、デメリットやリスクもあり、市としてどのように評価していくのかが今後の問題になる。
銚子市にとって、どういうあり方が最適なのかという論点で議論していただき、その結果を元に市の方針を考えていきたい。
委員会は今後、月に1度会合を開き、2024年8月ごろをめどに答申をまとめることにしています。
「首都圏ネットワーク」での放送内容は、「NHKプラス」で4月22日(月)午後7時までご覧いただけます。