「東京湾アクアライン」で、渋滞の緩和を目的に時間帯によって通行料金を変動させる「ロードプライシング」が試験的に導入されてから、半年がたちました。
試験導入の中間報告で、交通状況や観光客の行動の変化が明らかに。その結果、来年度も試験導入を継続する方向で調整が進められることになりました。
「ロードプライシング」の効果はどうだったのか?詳しくお伝えします。
(千葉放送局記者・渡辺佑捺)
試験導入中の「ロードプライシング」の詳しい料金設定などはこちら👇
1月15日、県や国土交通省など「東京湾アクアライン」の関係機関による会議が開かれ、試験導入の中間報告が行われました。
中間報告では、「ロードプライシング」の試験導入後の交通状況が、前年同時期の土日と比べて以下のように変化したとされています。
◎時間帯別交通量
▼土曜日は13~20時の交通量が3%減少
▼日曜日は交通量が全体的に増えているが、前後の時間帯に分散している傾向
◎通過所要時間
▼渋滞によって余分にかかっている時間が土曜日は約31%、日曜日は約21%減少
■土曜日)試験導入前:最大35分 → 試験導入後:最大24分(11分の減少)
■日曜日)試験導入前:最大47分 → 試験導入後:最大37分(10分の減少)
◎最大渋滞長
■試験導入前:平均12.6km → 試験導入後:平均10.9km
■10km超の渋滞の発生日数は、試験導入前は28日間のうち27日だったのに対し、試験導入後は26日間のうち17日まで減少
一方で、社会実験が始まったころと比べ、交通量の分散効果は減少傾向となっています。
「東京湾アクアライン」の通過にかかる時間は、試験導入が始まった7月22日から後になるほど長くなっています。
◎通過所要時間の変化
▼試験導入開始時~8月20日:最大38分
▼試験導入開始時~9月18日:最大41分
▼試験導入開始時~12月3日:最大47分
県は、効果減少の原因として、次の2点が考えられるとしています。
▼「ロードプライシング」試験導入の認知度の低下
▼冬にかけて日没の早まりとともに帰宅時間が早まっていること など
きょうの会議では、現時点ではまだ半年間のデータしかなく、今後さらにデータの収集・分析を継続する必要があるとして、来年度も時間帯別料金の試験導入を継続する方向で調整を行うことで一致しました。
継続する具体的な期間は、当初予定されていた実験期間である、ことし3月末までに決定したいと思います。
引き続き、効果的な料金施策の検討を行っていきたいです。
中間報告では、「東京湾アクアライン」を利用する観光客の行動についても効果が分析されました。
携帯電話の位置情報などから、千葉県を訪れたアクアライン利用者の1日あたりの県内滞在時間を調べたところ、試験導入前と比べて20%増加したということです。
◎平均県内滞在時間
▼試験導入前:5.33時間 → 試験導入後:6.42時間
鴨川市内にあるレジャー施設に立ち寄った人がほかの観光施設に立ち寄る割合が増加したほか、帰宅時にアクアラインを通過するピーク時間が分散化するといった効果が見られたということです。
「ロードプライシング」試験導入の認知度は35%程度に留まっています。
認知度を高める広報活動の充実や、実験を契機にした地域の取り組みを支援していきたいです。