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JR京葉線 快速・通勤快速どうなる? 新年もダイヤ改正「再考」求める発言相次ぐ 県は「見直し」申し入れ

  • 2024年01月04日

JR京葉線で、朝と夕方以降に快速・通勤快速の運行を取りやめることについて、地元から不満の声が出ている問題。

「影響はすでに出てきている」

「多くの地域の産業振興に大きな影響を与える問題」

2024年の年明けも、行政や経済界から発言が相次ぎました。また、千葉県の熊谷知事はJR東日本に「見直し」を申し入れました。詳しくお伝えします。

(※2024年1月11日に記事を更新しました)

京葉線の快速・通勤快速を巡る詳しい経緯と、千葉のダイヤ改正全体についてはこちら👇

新年の“賀詞交換会”でも…

1月4日、千葉市内で開かれた「令和6年 年賀名刺交換会」

千葉市の神谷俊一市長が、あいさつの中で京葉線について言及しました。

千葉市 神谷俊一 市長

年末に持続的成長の前提をくつがえしてしまうような厳しいニュースが飛び込んできました。京葉線のダイヤ変更で、朝夕の通勤時間帯の通勤快速と快速が全廃され、各駅停車化されてしまうことです。

これまでの市内各駅や蘇我駅以南・以東の通勤ネットワークが全く異なったものになり、生活が成り立たなくなる市民・県民が多く存在するほか、幕張新都心の競争力低下を招くなど、都市基盤が足元から崩れてしまいかねません。

千葉市 神谷市長

年末の幕張メッセなどでのイベントでは、ダイヤ変更が行われればイベント開催地として再検討をせざるを得ないという厳しいコメントを多数いただきました。影響はすでに出てきています。京葉線沿線は都内に通う近距離の通勤客だけではなく、快速などを前提とした遠距離の通勤客がおり、ダイヤ変更で転居を検討せざるを得ないほど利便性は低下します。

JR側からは、混雑の平準化と緩和により沿線全体の利便性を向上させることが、ダイヤ変更の理由との説明を受けましたが、別の方法でも可能ではないかと思います。また、平日9時台や土日の朝夕も各駅停車化するとされていますが、この時間帯は懸念するような混雑はないと思います。

改めて、私たちが築いてきた都市機能や地域特性への理解を深めていただき、ダイヤの再考をぜひともお願いしたいと思います。

また、京葉線に関する発言は経済界からも…。

千葉商工会議所 佐久間会頭

千葉商工会議所 佐久間英利 会頭

JR東日本のダイヤ改正は、唐突な発表で、非常に困惑をしております。まだ直接お話を伺ってはいませんが、事実とすれば、京葉線の利用顧客の利便性を著しく損なうもので、撤回を強くお願いしていきたいと思います。

この問題は千葉市のみならず、千葉市以南の内房、外房地区をはじめ、多くの地域の産業振興にも大きな影響を与える問題です。千葉市、千葉県の経済界にとりましても見過ごすことのできない重大な問題と考えております。

その後、神谷市長と佐久間会頭は報道陣の取材に応じました。

Q)年末にJRから説明を受けて以降、進展はあったか?

神谷市長

特に大きな進展はありませんが、沿線の他の自治体の首長も、街の存立を揺るがすという問題意識を持っています。

今後調整し、共同歩調を取りながら、改めてJR東日本に要請などを行っていけないか検討していきたいと思います。時間がないので、できるだけ早く調整していきます。

Q)今回のダイヤ改正は、千葉県内の経済界にどんな影響があると考えられるか?
 

佐久間会頭

いろんな経済界の人との話をしましたが、企業立地だとか、誘致、企業業績への影響への懸念があります。

建設業関係からは、マンションの売れ行きが悪くなる、不動産価値が下がってしまうという、直接的な大きな懸念があがっています。

観光業では、東京から遠くなることの影響が懸念されます。先ほどもあいさつの前に、「京葉線について、しっかりよく話をしてくれ」と激励されました。

出生数が減っている中、新たに引っ越して来る人で人口を維持している部分も大きいです。沿線地域の企業の方々も非常に心配されております。千葉市と一緒にJRにお願いにあがることを検討しています。

Q)年末年始、幕張メッセのイベント主催者からはどんな声があったのか?
 

神谷市長

今回の年末年始、幕張メッセでのイベント主催者と話すと、京葉線のダイヤ改正がこのまま行われると集客に大いに影響をするという非常に深い懸念が寄せられました。

快速がなくなって朝早く来て夜遅く帰る参加者が、各駅停車で往復しなければならなくなると、時間もかかりますし、心理的な距離感が非常に出てくると思います。

幕張メッセに行こうか別のところに行こうか迷っている時に、行くという選択肢が落ちてしまうんじゃないかという懸念など、様々なビジネス見本市やイベントに極めて大きな影響があると主催者は言っていました。

確かにそのとおりだと思いますので、そうした声をまとめながら、JRに再考のお願いを改めてしていきたいと思います。

Q)これだけ大きな議論となっていますが、JR側に足りないことや求めたいことは?

佐久間会頭

私はまだJR側から直接、説明を受けていないですが、鉄道での輸送というのは、SDGsを考える上でも非常に重要なことです。

一般の市民の足となっていて、公共性も非常に高いですから、そこを十分に考慮して丁寧に説明していただきたいと思います。

神谷市長

JRがなぜダイヤ変更をするのか、いまいち腑に落ちない点があります。

今回のダイヤの変更によって、長距離を利用している方々が鉄道ではない手段に切り替える可能性もあるわけで、収益面でも本当にJRにとってプラスなのかは疑問です。

京葉線は長距離路線で、今のダイヤを前提に通勤している方もいて、生活の基盤なんです。都市基盤なんです。それを十分な説明もなく、今回の形で変更していくというのは、私は容認できない。承服できないと申し上げてきているわけです。

熊谷知事がJRに「見直し」申し入れ

千葉県の熊谷知事は、1月4日、JR東日本千葉支社の土澤壇支社長と県庁で面会し、京葉線のダイヤ改正について「見直し」を申し入れました。

申し入れの主な内容は、次の通りです。

京葉線の通勤快速や朝夕の快速廃止に対しては、県民、自治体、経済界から様々な声が出ています。こうした反響の大きさは、JRのダイヤ改正が、県民生活や経済活動、まちづくりなど、様々な形で広範な分野に影響を及ぼすことのあらわれで、その点を強く認識してもらいたいです。

特に京葉線の通勤快速をすべて廃止したことは、京葉線のみならず、県南部の利便性が大きく低下するもので、沿線地域に与えるインパクトが非常に大きいため、その復活を強く求めます。

熊谷知事

幕張新都心についても、快速廃止という悪いイメージが広がり、今後のMICE誘致などへの影響が懸念されます。県としても、県南部の地域づくりや、幕張新都心のまちづくりに力を入れている中、こうした変更が行われることは誠に遺憾です。

今後のダイヤ改正にあたって、地域に及ぼす影響等について十分に配慮し、地域の理解を得るような努力をしてほしいし、今回のダイヤ改正に関する反響を真摯に受け止めて、改正内容の見直しを行うよう申し入れます。

神谷市長は、年末に土澤支社長と面会し、京葉線のダイヤ改正について「承服できない」と述べました。

2023年12月28日の神谷市長と土澤支社長の面会についてはこちら👇

これまでのJRの説明は

JR東日本は、京葉線のダイヤ改正には主に3つの目的があるとしています。

① 混雑している快速や各駅停車と、乗客が少ない通勤快速の乗車率の平準化を図ること

② 快速が停車しない駅の利便性を高めること

③ 各駅停車が快速の追い越しを待つ必要がなくなり、所要時間の短縮につながること

JR東日本千葉支社
土澤支社長

ダイヤ改正で到達時間が長くなってしまうことは誠に申し訳なく思いますが、全体としての価値向上を考えてのダイヤ改正と考えています。

予定通りのダイヤ改正に理解をいただきたいと思っていますが、私どもの考えが至らなかった点は真摯に受け止めたいと思います。市長の指摘を踏まえ、何かできることがあるのか、検討していきます。

(年末の神谷市長との面会後の発言)

内房線・外房線の沿線自治体も…

京葉線との直通列車がある内房線・外房線の沿線からも撤回などを求める声が出ています。

内房線・外房線の利用者が住む5市(市原市、袖ケ浦市、木更津市、君津市、富津市)は、1月9日、撤回と再検討を求める要望書をJR東日本千葉支社に提出しました。

要望書では、ダイヤ改正によって通勤や通学の時間が増え、住民の生活や企業の経済活動に影響を及ぼすとともに、人口が流出して地域が衰退するおそれがあると指摘し、ダイヤ改正の撤回や再検討を求めています。

小出譲治 市原市長のコメント

東京方面への住民の利便性が低下する内容で影響が大きく容認できない。関係する沿線の自治体と連携を強化し、撤回と再検討を強く求めていく。

また、外房線沿線の自治体のうち3市町(一宮町、茂原市、大網白里市)も、1月10日、JR東日本千葉支社に要望書を提出しました。

ダイヤ改正は住民の利便性を大きく損ない、生活形態を崩壊させるとともに、地域の発展の機会を消失させる「暴挙」と指摘しています。

外房3市町の要望書より
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