冬に食べたくなるおやつといえば「焼きいも」。最近はコンビニやスーパーマーケットで手軽に焼きいもが買えるようになり「焼き芋ブーム」と言われています。この焼き芋ブームを引っ張るのが「甘くてねっとり」を特徴とする新しい品種。全国屈指のさつまいもの産地・香取市であま~いさつまいもの秘密を探ってきました。
(千葉放送局キャスター 伊藤優)
11月19日、香取市で4年ぶりのさつまいものお祭り「栗源(くりもと)のふるさといも祭り」が開かれました。地元産「べにあずま」のふかしいも2000人分と「シルクスイート」の焼きいも3200人分がふるまわれました。
香取市がある千葉県北総地域はさつまいもに適した火山灰地で江戸時代から盛んに栽培されてきました。千葉県では2010年まで「べにあずま」の作付面積がさつまいも畑の8割を占めていました。しかし品種改良がすすみ、2022年の作付面積は「べにはるか」が4割、「シルクスイート」が3割、「べにあずま」が3割弱で、「べにはるか」が1番多く栽培されています。この「べにはるか」の人気はどこにあるのでしょうか?
「べにはるか」おすすめの食べ方は、ずばり「焼きいも」です
富岡さんは収穫した「べにはるか」をすべて貯蔵庫へ運んでいました。
収穫したらすぐに出荷されるものだと思ってました。貯蔵することで、「べにはるか」はどうなるんですか?
でんぷんが糖質に変化してもっと甘くなるんです。この倉庫の中は気温13度、湿度87パーセント以上になるよう管理しています。寒さと乾燥から守りゆっくり寝かせてあげると「べにはるか」のポテンシャルは発揮され、どんどん甘くなります。
貯蔵すると「べにはるか」はどれくらい味が変わるのか。実際に焼き芋にして食べ比べてみることにしました。まずは富岡さんの畑で「べにはるか」のイモ掘り!
ーーー2時間後ーーー
とりたての「べにはるか」は、ほくほくなんですね。
つづいて、富岡さんの倉庫で2か月寝かせたべにはるかの焼き芋を食べてみます。
堀りたてのおいもとぜんぜん違う味わいです。驚きました。
堀り立てには堀り立てのおいしさっていうのがあって、熟成させたものは熟成させたもので、「べにはるか」は2度旬が来る感じです。
べにはるかの特徴にこだわって加工品を作っている人がいると聞き、訪ねてみました。
貯蔵したべにはるかを使って作っているのは干しいもです。べにはるかは冷めてもやわらかく干しいもにもっとも向いています。貯蔵がすすむことで干しいもの味も熟成されていくそうです。
この加工会社は8年前にさつまいも農家の女性3人が作りました。
代表 根本嘉恵さん
本当の何も知らない農家の母ちゃんが始めたわけですけど、華美なものではなくていつ食べてもほっこりするようなおやつを作れればいいかなと思っています。
取締役 椎名賢子さん
干しいもづくりは毎年1年生でとても奥が深いです。どうしたらもっとおいしくなるかなって考えながら、おいも作りから加工まですべてやってます。
取締役 香取千惠子さん
干しいもの個包装が実現したように、やりたいなって思ってたことがだんだん形になっていくのがうれしくて、今後もみなさんに喜んでもらえるものを作っていきたいです。
100パーセント「べにはるか」の自然食品です。 いもみつ1ビン(50グラム)作るのに、皮が4キロ必要です。ヨーグルトやトーストにかけてもいいですよ。バニラアイスが1番おすすめです。
いもみつはサツマイモの味が、がつんと来ますね。味わいはまろやかでちょうどいい甘さでした。
おやつの試行錯誤を繰り返し失敗談は山のようにあるという根本さん。熟成「べにはるか」を使った最新の自信作があると聞き、いただいてみました。
ころもはサクサクで、中はとろんとろんですね。さつまいもの天ぷらはほくほくしてると思うんですけど、とろっとろです。意外な食感が新鮮です!
いっぷく堂代表 根本嘉恵さん
12月~1月と、どんどんおいもがおいしくなっていきます。焼き芋も干しいもも最初はフレッシュな甘さから始まって、だんだん濃厚なねっとりした甘さに変わっていく、その変化を楽しみながら食べてもらえるとうれしいです。土地にとても合っていると思うので、香取のさつまいもをぜひ召し上がっていただきたいと思います。