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関東大震災100年 千葉県内での動き 当時の被害は 備えは

  • 2023年09月04日

2023年9月1日で、「防災の日」の由来となった関東大震災の発生から100年がたちました。

千葉県は、当時、震度7相当の激しい揺れに見舞われ、1300人以上が犠牲になるなど、大きな被害が出ました。

100年の節目となったことし、千葉県内の各地で行われた訓練の様子や当時の被害についてお伝えします。

9月1日の朝 館山市では

震源域に近かった館山市では、震度7相当の揺れに見舞われ、最大9メートルの津波が押し寄せて700人以上が犠牲となり、住宅の8割以上にあたる7300棟余りが被害を受けました。

1日は、市内一斉に地震から身を守るための行動をとる訓練が行われ、このうち豊房小学校では防災行政無線などで地震の発生が伝えられると、子どもたちが机の下に隠れました。

担当の教員から関東大震災での市内の被害状況が説明され、地震が起きたら体を低くして頭を守ることや、平時から各家庭で避難場所を確認しておくよう伝えられていました。

参加した児童

館山市でこれほど大きな被害が出たとは知らなかったので、驚きました。地震が起きたらまずは体を低くして身を守り、そのあと安全な場所に行くことが大切だと思いました。

9月1日の午後 成田空港では

特殊な拡声器を使って英語や中国語で避難誘導

成田空港では大地震を想定した訓練が行われ、空港のスタッフが海外からの利用客を避難誘導する手順などを確認しました。

訓練は成田空港の直下でマグニチュード7.3の大地震が発生して震度6強の激しい揺れに見舞われたという想定で行われ、空港会社の社員やテナントの従業員などおよそ400人が参加しました。

会場の第2ターミナルでは海外からの利用客を避難誘導する訓練が行われ、社員が特殊な拡声機を使い、英語や中国語でターミナルの外にある避難場所に誘導しました。

巡回する警備ロボット

また、けが人への対応訓練では空港内を巡回する警備ロボットから通報を受けたスタッフが駆けつけて、応急処置を施したあとけが人を担架で運び出しました。

空港会社によりますと地震が起きた場合、成田空港には最大2万8000人が滞留することが想定され、海外からの利用者が回復してきていることも踏まえ、今後はさまざまな言語に対応できるよう定期的に訓練を実施することにしています。

成田空港保安警備部の石井晶子調査役は「地震が発生した際にしっかり対応できるよう、空港スタッフ一人ひとりに日頃から防災意識を持たせていきたい」と話していました。

関東大震災 明治以降の日本で最大の災害

内閣府の報告書によると、関東大震災を引き起こした大地震の規模はマグニチュード7.9。
 

首都圏などが、現在の震度7や6強に相当する激しい揺れに襲われ、住宅の倒壊、火災、土砂災害が相次ぎ、沿岸部には津波も押し寄せました。11万棟近くの住宅が全壊、火災による焼失建物は21万2000棟を上回りました。死者・行方不明者は10万5000人を超え、明治以降の日本では最大の災害となりました。

 

千葉県管内震災被害図 内務省社会局編(内閣府資料より)

千葉県でも最大で震度7相当の激しい揺れに見舞われた後、津波も押し寄せ、館山市の相浜地区では津波の高さが9mほどあったとされています。県のまとめた防災誌「関東大震災」によりますと、千葉県内の死者・行方不明者は1,346人。このうち1,255人(93%)は家屋の倒壊が原因だということです。

房総半島南部の館山市や南房総市、市原市、木更津市、富津市のほか、北西部の江戸川沿いの低い土地でも建物が倒壊するなどの被害が出ています。住宅被害は1万9976棟にのぼりました。

この防災誌には、当時、館山市の北條小学校では教室不足を解消するために増築された待望の新校舎の落成式が行われたその1時間半後に、激しい揺れに襲われ、新校舎が倒壊してしまったことなども記されています。

また、地震そのものの被害だけでなく、「災害時のデマ」も問題となりました。内閣府の報告書では朝鮮人が武装したり放火したりするなどといった根拠の無いうわさを背景に、各地で殺人事件が多発したとされています。

熊谷知事「正しい情報を持つ側として積極的に情報発信」

千葉県の熊谷知事は、8月31日の会見で、次のように述べています。

大規模災害時には、様々なデマや不確かな情報が拡散されやすく、良かれと思って話した結果、不確かな情報の拡散に関わってしまうことが多々ありますので、災害時や緊急時においては、行政などの確かな機関からの情報発信をフォローしていくのを大原則にしていただきたいと思います。

正しい情報を持っている側が、積極的に、そしてスピーディーに情報を発信をしていく、時には間違った情報が流布されていると察知すればその情報を否定するということが、求められていると思います。

次の地震への備えを

関東大震災の教訓は日本の防災対策の礎になっています。
内閣府や国土交通省によると、被害を受けた建物の調査が各地で行われ、その結果から市街地建築物法(今の建築基準法)が改正されて、日本で初めて耐震基準が定められました。また、「地震研究所」が創設され、今も東京大学地震研究所として地震や防災の研究が続けられています。
関東大震災から100年。町並みは様変わりし、日々の暮らしの中で、当時の甚大な被害の様子を感じることは少なくなっています。

千葉県が被害想定を発表している地震(県資料より)

しかし、首都圏の下では3枚のプレートが押し合うことで、ひずみが蓄積されていて、国は、千葉県の直下で起きるものも含めて、マグニチュード7クラスの地震「首都直下地震」が30年以内に70%程度の確率で起きるおそれがあるとしています。また房総半島沖では津波を伴う巨大地震が発生する危険性が指摘されています。
100年前の教訓を改めて学び、みずから出来る備えを1つずつ積み重ねていく必要があります。

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