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東日本大震災12年 千葉県では

  • 2023年03月10日

3月11日、東日本大震災と、原発事故の発生から12年となりました。大きな被害を受けた旭市の11日の表情をまとめました。また、千葉県の被害を振り返るとともに、津波の記憶や教訓を伝えていこうとする動きや、福島に思いを寄せる千葉の人たちを取材した記事をご紹介します。

11日の朝 旭市では

 

朝の飯岡地区

津波などで16人が犠牲になった旭市では、早朝から海岸に足を運び、思いをはせる人たちの姿が見られました。旭市では最大7.6メートルの津波が押し寄せ、震災関連死を含めて14人が亡くなり、2人が行方不明となっています。

市内でも特に被害が大きかった飯岡地区では、11日、日の出の時間から海岸に足を運び、海を見つめて思いをはせる人の姿が見られました。

出会った市民に話を聞きました。

近くに住む菱木姓子さん
「近所の人と一緒に小学校に避難して、津波が襲ってくる様子を屋上から見ていました。底冷えする日で、一晩避難所で過ごし、悪い夢でも見ているのかと思いました。その後、引っ越した家も多く、まちが寂れてしまったように感じています」

渡辺升二さん

毎日海岸を散歩しているという渡辺升二さん
「当時は津波に流された人を助け、服などを着せてあげました。地震が起きると、また津波が来るのではないかと思ってしまい、怖くなります」

70代の女性
「自宅には津波の被害はありませんでしたが、震災の後は、避難場所や待ち合わせの場所について家族で話すようになったり、備蓄を心がけるようになったりしました。12年がたつと意識も薄れてきますが、3月11日を迎えると、改めて気をつけようと思います」

慰霊碑を前に黙とう

午後には、飯岡地区にある慰霊碑に住民らが集まり、献花台に花を手向けました。

自宅が大規模半壊の被害を受けた寺村樹希哉さん(27)
「慰霊碑の前に立ったときに、震災当時のことを改めて思い出しました。これからも、風化させないように伝え続けていきたい」

そして、地震が発生した午後2時46分にサイレンが鳴り響くと、黙とうして犠牲者を悼んでいました。

旭市 米本弥一郎 市長
「12年が過ぎて、震災や津波の怖さを知っている人が少なくなりつつある。学校教育などで防災の意識を高めて、震災の記憶を継承していきたい」

震災伝える若者のグループも

旭市で、子ども向けの防災教室などを開き、震災の記憶を語り継ぐ活動を続けている若者のグループ「iii project」(トリプルアイ・プロジェクト)のメンバー6人も、飯岡地区の海岸に集まりました。

そして午後2時46分のサイレンにあわせ、海に向かって静かに手を合わせていました。

メンバーの大木沙織さん
「改めて海岸に立つと気持ちが違います。12年前の出来事を忘れず、二度と同じ被害が出ないように祈りました。これからも次の世代につないでいけるようにしたい」

小学校で教諭をしている さき村千紘さん※
「6年生を担当していますが、旭市の被害の実態を知らない子どもが多いと感じます。過去のことではなく、自分たちにも今後このようなことが起きるんだということを、子どもたちに知ってもらいたいです」
※「さき」の字は「たつさき」

トリプルアイ・プロジェクトの活動については、これまでの記事でもお伝えしています。
東日本大震災から12年 経験を伝え続ける若者たち 千葉・旭市
津波被害など震災の経験を小学生に語り継ぐ防災教室 旭市

東日本大震災 千葉県の被害

千葉県の東日本大震災の被害を振り返ります。午後2時46分に起きた本震で、千葉県内では最大で震度6弱の揺れを観測しました。県内で震度5強以上の揺れを観測したのは次の市と町です。

震度6弱
成田市 印西市
震度5強
千葉市中央区 千葉市花見川区 千葉市若葉区 千葉市美浜区 銚子市 野田市 佐倉市 東金市 旭市 習志野市 柏市 八千代市 浦安市 白井市 香取市 山武市 栄町 神崎町 多古町 白子町 鋸南町

千葉県によりますと、県内では、▼22人が死亡し、▼2人が行方不明、▼270人がケガをしました。このうち、津波が原因で死亡したのは▼旭市で13人、▼山武市で1人となっています。また、千葉県の在住者で避難生活による体調の悪化などで亡くなったいわゆる「震災関連死」は4人となっています。

旭市の被害

建物の被害は、▼全壊が807棟、▼半壊が1万313棟、▼一部損壊が5万7523棟に上りました。

津波は旭市の飯岡地区で最大7点6メートルに達し、銚子市からいすみ市にかけての
九十九里浜沿岸を中心に大きな被害が出ました。

浦安市の被害

一方、東京湾沿岸や利根川沿いを中心に浦安市や我孫子市、習志野市、千葉市など25の市と町で
液状化による被害が出ました。

また、市原市にあるコスモ石油千葉製油所では点検中の液化石油ガスのタンクが倒壊して爆発し、10日間に渡って燃え続け、6人が重軽傷を負いました。

震災に関連するこれまでの記事

2022年には、原発事故が起きた福島で活動を続ける消防士にメッセージを届けようと、柏市から自転車で230キロの道のりを福島県楢葉町まで走り切った1人の少年の取材しました。

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