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マリンスタジアム 改修?建て替え?屋外型?ドーム?

  • 2023年7月31日

プロ野球・ロッテの本拠地で、老朽化が進んでいる千葉市の「ZOZOマリンスタジアム」。今後の大規模改修や建て替えの方法を決める議論がいよいよ始まります。議論の基礎的なデータにしようと千葉市が行っていた調査結果がまとまったからです。改修か建て替えか、屋外型かドームか?費用も大きな差があります。調査結果を詳しくお伝えします。

(千葉放送局記者 大岡靖幸)

劣化進むスタジアム 今後に向け調査

「ZOZOマリンスタジアム」は1990年、千葉市美浜区の幕張新都心に建設されました。当初の名称は「千葉マリンスタジアム」。千葉県が所有する、海に面した幕張海浜公園内に千葉市が建設し、2016年から現在の名称になりました。

球場は建設から今年で33年たち、経年劣化が進んでいます。さらに球場の“名物”ともいえる強い浜風が、試合だけでなく球場施設にも大きな影響を与えています。浜風に含まれる水分や塩分で金属部分がさびたり、コンクリートの劣化が進んだりして、外壁の一部もひび割れるなどしているのです。

こうした状況を受けて千葉市は本格的な議論を進めるため、調査会社に委託し、「大規模改修」「建て替え」など、案ごとの課題や費用などを試算する「あり方検討基礎調査」を実施し、このほど結果がまとまりました。

改修か建て替えか 屋外型かドームか

その報告書ではまず、今の施設に足りない点や球場周辺を含めた課題を列記しています。

▼施設の劣化が大きな課題。具体的には雨漏りの発生や配水管などの詰まり、座席周辺の腐食など
▼観客席やコンコース、飲食・物販店舗、キッズルームなどの機能向上が必要
▼ユニバーサルデザインへの対応やセキュリティ動線の確保が必要
▼海を感じられる空間や演出など、海辺に立地する価値アピールの必要性
▼試合後に球場周辺で交通渋滞が発生

こうした現状を受けて、報告書ではあわせて6つの案を挙げ、それぞれにかかる費用や特徴、課題などを明記しています。

具体的には以下の6つの案で検討されています。

【現地改修のケース】
1)新たな機能を加えず設備改修だけを行う「現状維持」
2)観客席の増築やコンコースの新設、ICT設備を導入する「機能向上」
3)さらに開放型の屋根を付ける「機能向上と開放屋根」

【別の場所への移転・建て替えのケース】
4)現在と同じ「屋外オープン型」
5)東京ドームのような「固定式ドーム型」
6)開閉式の屋根を備えた「開閉式ドーム型」

この6つの案の中で、設計費や土地代などを含まない、球場の建設工事費用は、▼「現地改修ケースの現状維持案」が最も安く最大でおよそ132億円、▼「移転・建て替えケースの開閉式ドーム案」が最も高く、最大でおよそ653億円でした。

千葉市の資料より

また、建設工事費に加えて新球場完成後30年間の管理運営費や修繕費を加えた支出の総額で見ると、▼最も安いのが「現地改修ケースの現状維持案」で最大でおよそ1000億円、▼最も高い「移転・建て替えケースの開閉式ドーム案」では、最大でおよそ2505億円になるとしています。

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場所と課題は

次に新球場の立地、場所と課題についてです。【現地改修】は今の場所で現在の球場をベースに改修を行います。課題としては、▼球場で興行しながらの改修工事が可能かどうか詳細な検討が必要、▼不可能な場合は他の球場での興行開催が可能か調整が必要、と指摘しています。

また、【移転・建て替え】については、「幕張海浜公園内」か、「幕張メッセの駐車場」を検討する、としています。このうち、「幕張海浜公園」は広い公園ですが、新球場を建設できる面積がある場所となると限られてきます。今回の調査を行った千葉市都市政策課によりますと、公園のうち移転・建て替えができる可能性があるのは現在のスタジアムのすぐ東側の「Fブロック」と、川を挟んだ西側の「Gブロック」、それに商業施設の三井アウトレットパークと打瀬地区のマンション街に挟まれた「Bブロック」の3カ所だということです。

千葉市の資料より(一部を加工)

幕張メッセ駐車場とあわせて、具体的な移転先は実質的に4カ所に絞られているといえそうです。
移転建て替えの課題としては、▼候補地はいずれも県の所有地であるため、まず県との合意形成が必要、▼移転先によっては高さ制限があり、ドーム球場を整備する場合は制限緩和が必要、▼幕張メッセ駐車場の場合は代わりとなる駐車場が必要、などとなっています。

検討はどう進む

今後のスケジュールについても記載されています。千葉市では今回の調査結果を基に、県や球団、それに有識者などから意見を聞くなど協議を進め、来年度(令和6年度)中に「基本構想」と「基本計画」をまとめます。このなかで改修か移転・建て替えか、移転する場合は候補地、さらに新球場の機能や整備方法など具体的な内容を決めることにしています。そのうえで設計などを経て工事に入り、新球場が完成して使用が開始されるのは工法などによって違いますが、おおよそ8年後から10年後と見込んでいます。

今回の調査は基礎的な試算や課題の抽出にとどまり、案ごとの優劣や方向性は出しておらず、あくまで今後の議論の土台となるデータとしています。

千葉市の神谷俊一・市長は7月27日の記者会見のなかで、「単にスタジアムの改修にとどまらず、幕張新都心全体への影響という街づくりの観点で検討したい。高額な施設になる場合は千葉市だけでなく、民間企業からの出資も含めて考えていく必要がある」と話しています。

【取材後記】

長々と書いてきましたが、新球場は結局、どこに建設される可能性が高いのでしょうか?この問いに正解はなく、立場や重視する要素によって答えは変わってくるでしょうが、記者個人の見解としては「幕張メッセ駐車場」はメリットが大きそうに見えます。千葉市の神谷市長は常々、幕張新都心全体の発展に向けて、「街の回遊性を高める必要がある」という趣旨のことを話しています。「幕張メッセ駐車場」であれば、新都心第2の駅として今年3月に完成した「幕張豊砂駅」からも近く、例えば海浜幕張駅で降りて新球場へ行き、帰りは幕張豊砂駅から(もしくはその逆パターンも)という人の流れ=回遊性の向上がより期待できるからです。

日本ハムの新球場「エスコンフィールド北海道」をはじめ、このところ特徴ある球場が全国でも増えています。テレビなどでのメジャーリーグの試合を通して、アメリカの有名な球場を見る機会も増えました。議論はこれからですが、千葉県のスポーツ・文化の中心となり、素晴らしい体験が出来る球場となることを期待せずにいられません。

  • 大岡靖幸

    千葉放送局記者

    大岡靖幸

    遊軍を中心に、千葉市政や経済を担当。この記事の執筆中、阪神・淡路大震災が起きた1995年に、まだ若きイチローがいたオリックスの試合を神戸市の「グリーンスタジアム神戸」で何度か見たことを思い出しました。あの頃から、個人的には野球を見るなら風を感じるオープン球場が好きです。 

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