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改修、建替、それとも移転!? どうする “マリスタ” 千葉

  • 2023年01月11日

改修か、建て替えか、それとも移転かーーー。
プロ野球・ロッテの本拠地として親しまれる千葉市の「ZOZOマリンスタジアム」がいま揺れ始めています。
原因は施設の老朽化。
完成から30年、名物の浜風で運ばれる塩分が影響を深刻化させているのです。
どうする、“マリスタ”。

(千葉放送局記者 大岡靖幸)

“マリスタ”で進む老朽化

ZOZOマリンスタジアムは1990年、千葉市美浜区にある幕張新都心地区に「千葉マリンスタジアム」の名称で建設されました。建設したのは千葉市。土地は千葉県の所有です。現在のZOZOマリンスタジアムの名称になったのは2016年からです。球場が海のすぐ近くにあることから、浜風が強く吹くことでも知られています。
利用者数はコロナ禍で一時的に減っていますが、コロナ直前の令和元年度はおよそ220万人に上っています。
球場は建設から30年以上が経過し、老朽化が進んでいます。
また、経年変化に加えて大きな影響を与えているのが、塩分や水分を含んだ「浜風」の存在です。常時吹き付ける浜風によって、金属がさびたりコンクリートの劣化が進み、外壁の一部がひび割れるなどの影響も出ています。
千葉市などによりますと、球場では毎年修理を行い、2019年から2021年にかけては総額9億円あまりをかけて大がかりな修理も実施しましたが、それでも建物内部の排水管や電気設備が老朽化しているほか、女子トイレなどで雨漏りが続いているなど、修理しきれないところも出ているということです。 

浜風の影響はスタンドの屋根にも
見上げると、さび・・・
スタンドではひびも
雨漏りも・・・

マリスタの将来 3つの案とは

こうした現状を受けて、球場を今後どうしていくべきか、千葉市が検討を始めています。さまざまな案やアイデアが出されていますが、千葉市によると大きく分けて以下の3通りになるということです。いずれもメリットやデメリットもあるといいます。

①改修案
平成28年度に行った試算ではおよそ85億円が必要とされています。建設費が123億円でしたので、その7割の費用がかかることになります。
ただ、これは元の状態に戻す場合の費用であり、他の最新球場のような新たな設備やバリアフリー対応を進めるとさらに費用がかかる可能性もあるということです。プロ野球のDeNAの本拠地の横浜スタジアムなどの例があります。

②現地、建て替え案
代替施設を用意したうえで利用者に一時的に移転してもらい、その間に建て替えるなどの方法があります。代替施設が用意できるかなどが課題となります。 

移転、新築案
現在の場所とは別のところに移転・新築します。現在の幕張新都心地区内での移転が想定されていて、移転できる土地があるかが最大の課題となります。広島カープの本拠地だった前の広島市民球場から移転・新築したマツダスタジアムなどの例があります。 

議論は土台作りから

千葉市によりますと、この3つの案を含め、これまでに案の絞り込みや方向性を出すことは出来なかったといいます。
その原因は、複数の案を比較検討するための共通データがなかったためだということです。

そこで千葉市では、去年6月から、公募で選んだ民間調査会社に委託し、3つの案について議論の土台となる基礎調査を始めました。

主な調査項目
・改修や建設費用の見通しと必要な工期
・移転する場合の候補地の有無、
・移転候補地の周辺環境、
・前例となる他球場の事例調査

さらに、費用が高額になることから、民間の資金やノウハウを活用する手法を導入できるかどうかの調査なども盛り込まれています。
この一連の調査は2023年3月末までに終わる予定で、いよいよ議論の土台となるデータが揃うことになります。

本格議論へ どうする、マリスタ

千葉市は、一定の方向性を打ち出すため、2023年4月以降、本格的な議論を始めることにしています。
議論の具体的な方法はまだ固まっていませんが、球場の土地を所有する千葉県や主要な利用者であるロッテ球団、それに有識者や地元関係者、さらには市民から意見を聞くなどして議論を進めたいとしています。
そして概ね2年以内に、一定の方向性を出して球場の基本的な考え方をまとめる「基本構想」、施設の規模や概算の工事費などを出す「基本計画」をまとめたいとしています。  

取材後記

今回の取材で、ロッテ球団の方に球場を案内してもらいました。内野席の上段に登ると、球場のすぐ近くで海が輝き、船が行き交っているのが見えました。議論の結果、どんな球場に生まれ変わっていくのか分かりませんが、この心地よさはぜひとも残してもらいたいなと思いました。

  • 大岡靖幸

    千葉放送局

    大岡靖幸

    遊軍や千葉市政、経済などを担当。去年4月の佐々木朗希投手の完全試合は興奮しました。千葉ロッテの試合だけでなく、Xゲームズの2年連続開催や音楽フェスなど、常に大きな話題となるZOZOマリンスタジアムの今後に注目しています。

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