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信号が早すぎる 横断歩道を渡れない車いす利用者の訴え 浜松市

あなたの疑問、調べます!「たっぷりリサーチ」
  • 2023年05月29日

<2023年5月26日「NHKニュース たっぷり静岡」放送>

「たっぷりリサーチ」投稿フォームはこちら

(記者)
浜松市の方から投稿を頂きました。

浜松市の方から頂いた投稿


「車いす生活の身体障害者です。外出したくても、信号機があっても渡りきれません。バリアフリーってなんですか?」
(キャスター)
信号が青のうちに横断歩道を渡るのが難しいということですね。
お困りなんでしょうね。
(記者)
お会いしてきました。


投稿を寄せた鈴木妙子さん。浜松市内にある高齢者住宅に1人で住んでいます。脳卒中で体の左側にマヒがあり、右の手足で車いすを動かしています。

浜松市 鈴木妙子さん(71)

私がカメラで撮影しながら外出に同行しました。
こちらが、鈴木さんが困っている交差点。


(キャスター)
交通量が多そうですね。

鈴木さんが渡りきれなくて困っている交差点


(記者)
片側2車線、右折レーンを含めると5車線あります。

鈴木妙子さん:行きます。

歩行者用の信号が青になるのと同時に一緒に渡りました。
すると、横断歩道の中ほどで。

(キャスター)
あ~!

鈴木さん:あー、点滅だあ。
記者:押しますね。
鈴木さん:お願いします。

横断歩道の中ほどで青信号が点滅に!

<撮影中断>

鈴木さん:危ない危ない。あー、助かりました。

撮影を中断し、記者が車椅子を押して渡りました

(記者)
私が鈴木さんの車いすを押し、なんとか渡りきりました。
(キャスター)
これは怖いですね。

道路には、水はけをよくするために、真ん中にかけてわずかな勾配があります。これも、渡りづらい原因になっているといいます。

中央分離帯にかけての勾配

記者:半分も行けないんですね。
鈴木さん:半分で待っていたいけれども、中央分離帯がないので。怖い。元気な人はいいけど、分からないんですよね。こういう体になって分かることなんだけれども」

車いすを利用するようになって問題に気づいた

ともあれ、この日は横断歩道を渡れたため、行きたかったコンビニや神社などを訪れることができました。
本当はもっと頻繁に出かけたいものの、外出は基本的に付き添う人がいるときだけにしているといいます。

鈴木さん:事故に巻き込まれるのもいけないし、巻き込んでもいけないので。高齢者施設の近くはそういったことは配慮していただきたいですね。そんな特別なことではないと思うんですけれども。

信号サイクルに配慮を求める鈴木妙子さん

(キャスター)
どこにでもあるような交差点が、鈴木さんにとっては外出を諦めるほどの壁になっているんですね。
青信号の時間を長くできないんでしょうか。
(記者)
まず現状ですが、信号機を管轄している県警察本部交通規制課に聞くと、青信号の時間を決める際の1つの目安として、
▼一般の成人が歩く速度は秒速1.2メートル、
▼子どもや高齢者は秒速1メートル、
▼三輪車の子どもが秒速0.7メートルとして計算するそうなんですね。

警察が青信号のサイクルを決めるときの目安


この交差点は道路幅が18mで、信号は青が20秒、青の点滅が7秒です。
警察は、18メートル÷27秒で、秒速0.67メートルで渡れる計算なので「子どもの三輪車でも渡れる時間は確保されているはず」と説明していました。

(キャスター)
青信号が点滅する時間も込みで計算するんですか?
(記者)
はい。点滅したら急いで渡るか、引き返すかしてほしいということです。ただそれにしてもこの計算は、歩道と車道のぎりぎりの位置で待って青になった瞬間から一定の速度で動くことが前提になるので、現実にはもっと時間がかかるのではないかとも思いました。
(キャスター)
そうですよね。実際には安全のためにもっと歩道の内側で待つでしょうし、青になったとしても左右をよく確認してから渡ったほうがいいですよね。
車いすだとより慎重に移動するでしょうし、ましてやお年寄りだと青になった瞬間に反応して動き出すのは難しいこともあるでしょうしね。
(記者)
ただ警察も基準だけで信号のサイクルを決めているわけではなく、住民の意見も聞く仕組みはあるといいます。

警察は「信号機BOX」や警察署で相談を受け付け


県警察本部では▼インターネットの「信号機ボックス」という投稿窓口や▼警察署で、信号に関する地域の要望を受け付けています。
ただ、個人よりも自治会や、高齢者施設なら施設としてなど、まとまった単位で意見を寄せてほしいということです。
(キャスター)
ある信号の青を伸ばすと、そこに交わる道路の信号の赤も伸びるわけですから、多くの人の意見を聞く必要もあるでしょうね。
(記者)
また今回の交差点はその東側と西側にも交通量が多い交差点があります。こうした場所では車の流れをスムーズにするために、1か所を青で通過したら次の交差点も青で通過しやすいよう連動して信号を切り替えるような設定になっているといいます。
ですから、1か所の変更では済まないので、警察としてはより広い範囲で考えたいということです。

信号は連動して切り替わるので、1カ所だけの変更は難しいとのこと


(キャスター)
難しい問題ですけど、バリアフリーは必要なことですから、地域全体で考えるような動きになるといいですね。
(記者)
周りの方にも相談して声を上げていただきたいと思います。


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〒422-8787 NHK静岡「たっぷりリサーチ」係

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