岩間瞳キャスターが取材! いにしえの木の恵み「雨乞の柚子」
いま旬を迎えているゆず。
宮城県にも産地があり、柴田町の雨乞(あまご)地区で作られるゆずは
「雨乞の柚子」というブランドで人気があります。
町で開かれる販売会で買うことができますが、ことしは11月26日。
ゆずへの愛情にあふれる柴田町雨乞地区を訪ねました。
雨乞地区は、町の中心部から10キロほど、小高い山の中腹にあります。
迎えてくれたのは、雨乞の柚子生産組合の組合長、加藤壽彦さんです。
加藤壽彦さん 「ことしは豊作、見事にたくさん実をつけましたね」 |
さっそく1つとってもらいました。いい香り!
香りが豊かなのは、「雨乞の柚子」の大きな特徴です。
北国で育つゆずは、寒さから実を守ろうと皮を厚くするからだそうです。
加藤壽彦さん 「ほかのゆずを使っても、“やっぱりここのゆずは香りが全然違うね”って 戻ってきてくれる人が多いですね」 |
その皮を傷つけないようにと、収穫にも気をつかっています。
ゆずの木は背が高いため、はしごは欠かせません。加藤さん、慎重に手を伸ばしていました。
さらに、たわわに実るゆずを近くで見ると、枝にはたくさんのトゲが…。
実に傷がつかないように気をつけます。
加藤さんが使っている手袋は、ぼろぼろになってしまっていました。
そもそも、なぜ雨乞地区がゆずの産地になったのでしょうか。
加藤さんに案内してもらったのは、大きなゆずの木。
加藤さん 「このあたりの木は種から大きくなったもので、樹齢何百年という木です」 |
高さは5m以上もありました。
「雨乞の柚子」のルーツには、こんな言い伝えがあります。
いまからおよそ600年前。
全国行脚の修行中に、雨乞の人々から受けたおもてなしに感激して
住み着いた行者がいました。
風邪をこじらせた時も手厚く看病してもらったことに感謝した行者は、
南の地でもらったというゆずの種を差し出します。
人々がそれをまくと、見事に目を出したそうです。
50年ほど前からは住民が接ぎ木などで増やしてきた「雨乞の柚子」。
今は直接訪れる人や電話での注文に応える形で販売しています。
柴田町も、このゆずを特産品にして、盛り上げようとしています。
県内の大学と協力して、ジェラートを開発。ふるさと納税の返礼品にしました。
年に1度の販売会は、実だけでなく加工品も取りそろえた、一大イベントです。
11月26日の販売会に向けて、加工が追い込みに入っているところを見せてもらいました。
農産加工組合のメンバーは、地域の女性たちです。
ことしは「砂糖漬け」「ゆずみそ」「ゆずこしょう」を出品します。
この日は、ゆずの皮を存分に味わえる「砂糖漬け」を作っていました。
種を取り除いた実を、すべて刻んでいきます。
ゆずのいい香りが加工場の中に広がってきました…!
ゆずと同じ量の砂糖を加えて良くかき混ぜ、2、3日寝かせたら完成です。
お湯を注いで、ゆずドリンクとしていただきました。
香りがふわっと広がって、とても優しい、ほっとする味でした!
加工組合の皆さん 「風邪をひいた時などに飲みます。飲むと、のどにもいいんです」 「冬は、温まるように夜寝るときに飲みます」 |
加工品づくりは、皆さんの交流の場にもなっているそうです。
加工組合の皆さん 「仕事が終わったあとのお茶飲みが楽しくてね、それでみんな来ていると思うんです」 「やっぱり至福の時間、これが楽しみなの。最高の時間!」 |
加藤壽彦さん 「お母さんたちが作業できれば、つながっていって、みんなで盛り上げることが できるのかな。もっといろんな人に食べてほしいし、 これからも続けて頑張っていかなくちゃと思っています」 |
時を越えて豊かに実をつける「雨乞の柚子」。
今も人々の笑顔の中心にあり、地域の宝として輝き続けていました。
ことしの販売会の模様はこちらの記事で
厚い皮と強い香り 「雨乞の柚子」販売会 柴田町|NHK 宮城のニュース