ベガルタ仙台の『特モリ!』~新シーズン開幕!森山佳郎監督~【深澤健太アナ】

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いよいよ開幕戦を迎えるベガルタ仙台。
今回は、今シーズンから指揮を執る、森山佳郎監督です。
※2月7日の宮崎キャンプでの単独インタビュー内容を文字起こししています。言い回しも含めてお楽しみ下さい。

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<森山佳郎 監督>


<就任会見で「楽しみしかない」と話した。開幕直前の心境>
ほんとに楽しみながらやらせてもらってて。まぁーね。実際シーズンが始まったら、どんな気持ちになるかまだわかりませんけど、今のところ、もうほんと選手はきついキャンプの中も、笑顔絶やさず、元気で明るく、一生懸命やってくれてるんで、ほんと楽しさいっぱいの中でやってます。

<Jリーグのチームで初めて監督をすることについて>
ほんとまぁ、それはちょっと心配のひとつではあったんですけど、ただやってみたら何も自分の立ち位置とか、選手との関わりとか、立ち振る舞い、何ひとつ変えずにそのまんま、ありのままやってる感じで。それをすんなり受け入れてもらってる感じなので。杞憂(きゆう)だけで、何も心配することもなかったし、よい感じでやれてます。

<ベガルタ仙台の印象>
やはり震災後の、ほんとにチームが一丸となって『地域のため、みんなの力になれば』みたいな。ものすごい目に見えないエネルギーっていうか、パワーというか。そういうものがみなぎっていて。そういう実力以上の、見ている者の心動かすような。絆とか、あとは団結力とか。“プラスアルファの力”を感じさせてくれるチームだったんじゃないかなと思います。

<そのチームを指揮することについて>
その状態から今ね、J2に落ちて、昨年は16位。特に後半戦は、ほんと勝てない試合が続いてっていうことで、かなりあの…元気を失ってる状態じゃないかなと思って就任をしたんですけど。だからこそ自分にできることもたくさんあるんじゃないかという思いもありますし、きっと選手ももともと実力持った選手ですし、やはり「地域に愛されたい」「地域の力になりたい」「必要とされる存在になりたい」「愛されて応援されるチームになりたい」という、そういう気持ちを持つことで、地域の方々にも感動してもらえたり、勇気を与えることができたり、で、サポーターの人たちからまたエネルギーをもらって、また僕たちのパワーにするという。そういう相乗効果を、やっぱりその質を上げていって、何とかまたね、地域と一緒に結びついて絆を深めて、何とか成績もあげて、“いるべき場所”に戻りたいなと思ってます。

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<キャンプの手応え>
沖縄のときにはかなり走り込みをして、練習試合もJ1の上位のチームにかなりボコボコに殴られて(笑)。大変だったんですけども、そこから徐々にチームの連携の部分も深めて、だいぶやるべきことが明確になってきてるというか。やるサッカーも“共有感”の持てるものになってきて、やっと5戦目にして初勝利を上げることができたので、ここからよい状態に、またさらに持っていけたらなと思ってます。

<キャンプで大事にしていたこと>
『出力』を出すっていうところは、特にずっと強調してシーズン当初から強調してますし。今は特に「背後に走る」とか、「ゴールに向かう」とか、逆に「ピンチになったら戻る」とか、そういう“ピンチを感じて、チャンスを感じて走る”。で、その中で、サッカーの部分はちょっとより細かく深めていく。質を高めていくっていうとこも同時に進めてる感じですね。

<出力のために、必要なこと>
走力、筋力も含めた体力。それから、精神的な部分も、点数入れられて頭を落とすんじゃなく、ヘッドアップして逆に向かっていくみたいな。そういうメンタリティーも含めて、そういうものもあげていきたいなと思ってます。

<走り込みやフィジカルを大切にした背景>
数字が出ていて、昨年のJ2の上位チームと比べると、走力とか強度が段々シーズン終盤に落ちてって、かなり低い状態になってしまったっていうとこで。まずはそこを上げていかないと、長いシーズン戦えないんじゃないかっていうところからスタートしてますね。

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<昨シーズンのベガルタの戦い>
全試合ビデオでも見て、実際に対戦した監督さん、コーチさんにも10人ちょっとお話を聞いて、ほぼ一致した考えだったんですけども、「ボール扱いはちょっとうまくて、まぁテクニックはあるんだけど怖くない」と。その“怖くない”の正体は何かっていうと、やはりカウンターのスピードとか、背後に抜ける迫力とか、ゴールに向かうスピードとか、そういう部分だとか。まぁ失点の部分も、どうしても、なんかこぼれ球を簡単に決められたとか、クロスからフリーで決められてしまったとか、マークの厳しさとか、最後で体張る部分も含めて。あるいは、中盤から全力で戻るとか、そういう細かい部分も足りなかったんじゃないかというところでは、今強化したいところもそういうとこからスタートしてるっていうところですね。

<目指すサッカー>
基本的にはどんどんボールを奪いに“狩りにいく”。で、ボールを奪ったらゴールに向かう。で、ゴールを“狩りにいく”。で、勝利を“狩り取りたい”という、その気持ちと走力と。フィジカルまだまだ足りないんですけど。それと、技術的なものがもともとベースにある選手もいるので、そのへんのところを融合させて、速攻もできるし、ボールを持ちたいときには持てて。最後戦うことができて、体張って守備も厳しく。失点も昨年までかなり多かったんですけども、平均1くらいに抑えたいなと思ってます。

<J2でポゼッションサッカーをする難しさ>
J1と比べると。かなりJ1は、お互い「どうぞ攻めて下さい」。で、(相手に)持たせて、「今度は、俺たち行くよ」みたいな部分がありますけど。J2になると、かなりその攻撃の精度も落ちるは落ちるんですけど、守備の強度とか、その実際に戦術的に相手を組織的に潰しに来るっていうような、そういうものはかなりどのチームを研究していて、強度も高いっていうところでは、攻撃をゆっくりしてたらやられるっていう。そういうなかなか難しい部分はあると思いますね。

<新加入選手はスピードや強さが感じ取れる選手が多い>
まー、まだ!(笑)まだまだ弱いんで、その強さをより高めていかないといけないですけど、スピードのある選手も多いです。あと若い選手もね、あのチームの中には…平均年齢が3歳くらい若返っているので、その分、キャンプでもほぼフラットにやってきてるんで。若い選手は「これはチャンスなんじゃないか」と思いながらやってくれてる選手が多いので、そういう選手のやる気とか、実際に、なんかちょっと掴みかけた自信みたいなもので、チームの底上げみたいなところはちょっと進んだんじゃないかなと思ってるんです。そういう選手たちの活躍は大いに期待したいですね。

<育成に力を入れる>
クラブとしても、ちょっとそっちの方向をより色濃く出していくっていう方針ですし、自分も、自分が来たからにはね。育成年代の、ユース、ジュニアユースとかとも連携を深くはかって、そこから育っていく選手。あるいは、東北全体からベガルタに選手が集まってくるような、そういうところにも自分が力になればと思ってますし。実際ね、形になって現れるのは10年後…、5年後10年後になってくると思いますけど、その先駆けの、第一歩は自分が踏み出せるんじゃないかなと思ってます。

<開幕戦の相手、大分の印象>
片野坂さんは自分も現役時代に長く、5年間一緒にプレーして、右サイドバック、僕は左サイドバックでファーストステージ優勝とか、そういうところでお互いに切磋琢磨しながらやってきた仲間なんですけど、Jの監督としてはね。大分でJ3をJ2に上げ。J2をJ1に上げ。J1でも成績上げた監督さんなんで。また大分に復帰されて『カタノサッカー』を標ぼうされて、後ろから丁寧につないで(相手の)前にプレッシャーかけさして、“疑似カウンター”みたいな。そういうイメージがあるので、そこをほんとに食ってカウンターにつなげられるのか。逆に前からいくことでひっくり返されるのかっていう戦いにもなると思うんで。そのへんの強度ってやっぱり重要ですし、ひっくり返されてもそこに負けないように戻っていくことも必要ですし、攻めたときの精度というかね。どっちが先に点取るかということも非常に重要になってくると思いますし、かなり激しい戦いになると思います。

<開幕戦の意気込み>
もちろん、すべての試合で一戦必勝ではあるんで、もう勝つしかないと思いながらいくんですけど。ただ勝負なんで1戦目の結果に関わらず2戦目。1戦目勝っても2戦目負けたらダメですし。1戦目負けても2戦目勝てば同じで。2つ勝てればいいですけど。とにかく一喜一憂せず、自分たちのレベルを積み上げてレベルアップさせていきながら、後半戦に尻上がりに成績が上がっていくっていう。若いチームなんで若い選手もどんどん起用しながら、成長しながら尻上がりに成績上げていくっていうふうには今考えてます。

<今シーズンの目標>
もちろん昨年16位で難しい…、ヒジョー!に難しいことはわかってますけど、J1をもちろん目指してやりますし、不可能ではないと思います。とはいえ、やはり1試合ずつ、ほんとに勝点とか考えずに、もうこの次にくる一戦が全てっていう気持ちで、1試合1試合を大切に戦っていきたいなと思ってます。

<サポーターへ>
ほんとフレッシュなチームで、選手も年齢が若返りましたし、そういう選手たちが成長していかないと成績に結びつかないと思います。そういう選手を温かく見守ってあげながら、自分たちが育ててるくらいの気持ちで応援してもらいたいし。やはり、サポーターの皆さんの声援が必ず選手たちに「いやいや、最後まで諦めちゃダメでしょう」っていうようなメッセージになると思うんで、僕らも最後の最後のラスト1秒、最後の笛が鳴るまで、全力で戦う気持ちでいますんで、そこをしっかりサポートして頂ければなと思います。もうほんとに熱い気持ちを持って、最後の最後まで、最後の笛がなるまで戦うと、全力を出し切るというところを、ひたむきに。ほんとに勝利、ゴール、ボールを“狩り取る”気持ちで全力で戦いたいなと思います。