イタリア南部最大の都市ナポリ。中でも世界遺産の「歴史地区」は活気にあふれたまさに下町。今回は「スペイン地区」を中心に歩きます。ナポリの伝統を大切にし、助け合いながら暮らす人々と出会う街歩きです。
歩き方
街の基礎情報 ナポリ
場所:
イタリア カンパニア州 中部
人口:
約96万(2019年現在)
景色:
雄大なベスビオ山を背景に、なだらかな丘と美しい海岸線が広がる
人々:
人情にあつく、世渡り上手。古くからの伝統と助け合いの気持ちを大切にしている
産業:
観光業
交通手段:
バス、鉄道、地下鉄、ケーブルカー
行き方:
日本からの直行便はありません。ヨーロッパの主要な空港を経由し、ナポリを目指すのが一般的です。(ミラノ・ローマ~ナポリは飛行機で1時間ほど)
通貨:
ユーロ
1ユーロ=約119円(2020年3月16日現在)
歩き方
ナポリ旧市街の西の端から歩き出します。広場にあるカフェには大きなブリキのポットが。オーナーが「2杯分のコーヒーを買い、2杯目は誰かのためにごちそうするカフェ・ソスペーゾの目印です」と教えてくれました。ソスペーゾとは「保留」という意味なんですって。さらに北へ進み、アパートがひしめくスペイン地区へ。家にいながらバケツで買い物をする女性。ナポリコーヒーを屋台で売り歩く青年。地域のみんなで料理を楽しむ八百屋さんなど、ナポリの伝統を大切にし、助け合いながら暮らす人々と出会う街歩きです。
街を歩いてみて(ディレクター談)
美容室から出てきた小ぎれいな女性に話を聞くとなんとお代はタダ!カフェ・ソスペーゾならぬヘア・ソスペーゾなんだそう。「街が盛り上がればと思って、高齢者のヘアカットを無料でしている」と美容師さん。助け合いの精神がこんなところにもありました。
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街のなりたち
今から2500年前、古代ギリシャ人によって開拓が始まったナポリ。地下から削り出した石を使って、街が築かれました。街の名前がギリシャ語で「新しい街」を示す「ネアポリス」、これが変化し「ナポリ」と呼ばれるようになります。やがて石の採掘でできた地下空間はローマ帝国が支配した時代には「貯水池」、その後は「倉庫」として使用されます。第2次大戦のときには「防空ごう」となり、多くの市民の命を救いました。ナポリの歴史は、地下空間から垣間見ることができるんです。
出会い
街の「カフェ」
カフェの店先にあるブリキのポットの置物。これは余裕のある人が誰かのためにコーヒー代を払っておく「カフェ・ソスペーゾ」の目印。第2次大戦中に生まれたと言われ、助け合いを大事にするナポリらしさを感じる習慣です。
街の「バケツ」
住宅街を歩いているとなにやら大きな声。アパートの上の方に住む女性がなんとベランダからバケツを使ってお買い物をしていました!スペイン地区では日常の光景らしく「ネットショッピングよりも断然早いわよ!」と自慢げに話していました。
街の「八百屋さん」
スペイン地区の八百屋さんでは料理教室が開催中。聞けばお店の方が友だちや通行人を巻き込んで14年前から始めたとのこと。それまでいがみ合っていた地元住民と新しく移住してきた人たちを料理の力で1つにしようとしていたんです。
グルメ
【第1位】ジェノベーゼ
ナポリでジェノベーゼといえば、あめ色になるまで煮込んだ玉ねぎソースのパスタ。玉ねぎの他に牛の肩肉、ニンジン、 セロリ、トマト、白ワインと一緒に6時間煮込みます。太めのパスタが濃厚で上品な甘味の玉ねぎソースによく絡みます。
<平均価格 10.0ユーロ (約1200円)>
【第2位】ミートボール ナポリ風
古くから、余ったお肉や食材を無駄にしないのがナポリの食習慣。そのためミートボールはバリエーションが豊富。牛のひき肉にトマトソース、名産の青菜「フリアリエッリ」を混ぜた少し苦味のあるもの。さらに、レモンの酸味が爽やかなものなどがオススメ。
<平均価格 14.0ユーロ (約1700円)>
【第3位】マグロのパニーニ
表面をカリッと焼いたバンズに、水牛のブラータチーズ、チェリートマト、そして特製のナスのソースをたっぷりと。その上に塩コショウとオリーブオイルで味付けしたマグロのぶつ切りを大胆に乗せた、シーフードの宝庫ナポリらしい一品。
<平均価格 9.0ユーロ (約1100円)>