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佐賀 うまみたっぷり!竹崎カニ 太良町で竹野アナがリポート!

  • 2023年09月15日

     柔らかい白身とコクのあるカニみそは、一度食べたら忘れられない―。

     太良町特産のワタリガニ「竹崎カニ」。大きく身の詰まったオスのカニが旬を迎えています。冬に向けて秋の間に栄養をたっぷり蓄えるため、特にうまみが凝縮されるのです。さらに、この時期しか食べられない「珍味」もあるといいます。竹崎カニが水揚げされる漁港から、そのおいしさに迫ります。

    今が旬!特産ワタリガニ「竹崎カニ」

    太良町特産のワタリガニ「竹崎カニ」

     太良町の海の幸と言えば、多くの佐賀県民が思い浮かべる「竹崎カニ」。オリーブ色の甲羅に、鮮やかな青の爪が特徴的です。今の時期は、体の大きな「オス」のカニが冬に向け栄養を蓄えるため身がたっぷり詰まっているんです。大きいものでは甲羅の幅が大人の手のひらを超える大きさに成長します。

    竹崎カニが水揚げされる竹崎漁港

     竹崎カニがとれるのは、太良町沖の有明海。満潮と干潮の差が6メートルと全国一の有明海は、その満ち引きの間に海水が大量に循環するため、カニにとってエサとなる小動物などが常に豊富な環境になるということです。栄養をたくさんとったカニは、全国各地でとれるワタリガニの中でも、うまみが特に強いんだとか。

    うまみが口いっぱいに広がるシンプルな「塩ゆで」

    竹崎カニの塩ゆで シンプル・イズ・ベスト!

     うまみを最も感じられる食べ方は・・・シンプルな「塩ゆで」と地元の方たちが口をそろえます。鮮度のいいカニをゆで上げた綺麗な赤色は、食欲をそそります。

    開くと中にはカニみそが!
    おいしそうな香りも漂います

     さらにもうひと手間。アツアツのカニの身を丁寧に取り出し、ミソの詰まった甲羅に入れてかき混ぜました。どうですか、このビジュアル!

    竹崎カニを丸ごと盛り付け
    竹野アナ

    ・・・いただきます!

    食リポがしばらくできないほどの美味しさ!

     最初は、じゅわーっと広がるカニのうまみ。そのあと、徐々に感じるカニみそのまったりとしたコク。ゆでたてで温かいために、舌にしみこむ感覚がありました。

    これから最盛期へ 竹崎カニ漁に密着!

    竹崎カニ漁に出る漁船

     一年中とれる竹崎カニですが、旬に合わせて、漁も9月下旬から最盛期を迎えます。 竹崎漁港から漁に出る船を追いかけました。

    太良沖の有明海に並ぶ漁船

     朝7時。漁港から10分ほど船を走らせると、太良町沖にはカニ漁船がいくつも並んでいました。漁法は、あらかじめ仕掛けておいた網を引き上げる「刺し網漁」です。間近で見学させてもらうと、漁業者の方たちは何百メートルもの長さの網を黙々と引っ張り上げていました。

    竹崎カニ漁を間近で見学

     すると、現れました!竹崎カニです。

    網にかかった竹崎カニ

     生きのいい状態で船に揚げられ、丁寧に網から外されていきます。中には、手のひらを超えるサイズの大物もいます。漁師のみなさんは、何十年やっていてもこの瞬間は嬉しくなるそうです。

    船内のカゴにはカニがたくさん!

     網を引き揚げ始めて1時間ほどで、すでにカゴにはこんなにたくさんのカニが。最盛期より少し早い9月上旬だったため、これでも少ないそうで、多い時には一つの船で1日300匹以上揚がる時もあるそうです(!)。

    「ことしのカニ漁に大いに期待」ベテラン漁業者の思い

    右:竹崎カニ漁業者 横山進さん

     漁が特に忙しくなってくるこの時期。そんななかで、港でお話をしてくれたのは、この道50年、82歳の大ベテラン漁業者、横山進(よこやま・すすむ)さんです。ことしのとれ高はどうでしょうか。

    (横山さん)「まだ最盛期に入ってないから今のところわかりませんけど、これから10月、11月と、たくさんとれることを漁師の人たちはみんな期待しております。」

     ことし、竹崎カニ漁への地元の期待は例年よりも高まっているといいます。秋の初めにかけての有明海では、例年、ビゼンクラゲという大型のクラゲ漁も盛んです。

    高級食材として中国などで重宝されるビゼンクラゲ

     高級食材として主に中国に輸出されていて、この時期の漁業者たちの大切な収入源でした。しかし、ことしはその中国が、日本の水産物を輸入停止に。ビゼンクラゲの漁はいつもよりもひと月ほど早めに終わらざるを得ませんでした。横山さんもその影響について、吐露してくれました。

    (横山さん)「大体、例年7月から9月ぐらいまでが(クラゲ漁の)最盛期なんですけど、ことしの場合は、中国の輸入停止ということで止まってしまったもので、漁師の人は今から最盛期を迎える竹崎カニ漁に期待を込めております。」

    めったに出会えない“幻の竹崎カニ”!?

     漁業者たちの期待がかかったことしの竹崎カニ。実は、漁が最盛期に向かうこの時期だけお目にかかれるという、珍しい竹崎カニがいるといいます。それがこちら。

    珍しい竹崎カニとは?

    違いがわかるでしょうか。触ってみて初めてわかります。
    ・・・・ぷにっ。

    指で押すとへこむ

     そう、甲羅がゴム手袋のように柔らかいんです。脱皮したてのカニ、いわゆる「ソフトシェルクラブ」です。竹崎カニは10月頃まで盛んに脱皮をします。栄養をたくさんとってぐんぐん成長して、固い殻を脱ぐたびにひとまわり、いや、ふたまわりほど大きくなるそうです。脱皮しやすい時期とあって、水揚げして生けすにいる間に脱皮してしまうカニが稀にいるのです。

    ソフトシェル竹崎カニの唐揚げ

     殻が柔らかいため、むかずに丸ごと料理できる、ソフトシェル竹崎カニ。1匹丸ごと「唐揚げ」にしてもらいました。身も、カニみそも、殻も、全部一緒に味わうことができます。これも、いただきますっ。

     サクッとした食感のあとに、ふっくらとした身。ジューシーさの中に、しっかりとしたうまみが伝わってきました。旬の味を、文字通り、丸ごと味わえる逸品です。

     ただ、竹崎カニは水揚げされてから脱皮してしまうと、すぐ死んでしまったり、生けすの中で共食いしたりして、売りものにならなくなるそうです。鮮度を維持するのも難しく、市場でもなかなかお目にかかれません。10月にかけて、地元の一部の飲食店や旅館で味わうことができますが、出会えるかどうかは、運次第です。(放送では無事ご紹介できましたが、実は本番当日にようやく手に入ったという状況でした。)

    横山さん「一度食べたら忘れられない」

     この時期はさまざまな食べ方のできる竹崎カニ。横山さんに、地元の漁業者を代表して、あらためてその魅力を伝えてもらいました。

    竹崎カニの魅力を語る 漁業者の横山進さん

    横山さん「この竹崎カニは、有明海の栄養分を十分とって、甘みがあって、とにかく一度食べたら忘れられないようなおいしい味がするもんで。どうか皆さん、機会があったら太良町に食べに来てください。」

    取材・放送を終えて

     佐賀の皆さんにはもちろん、「おはよう日本」で全国の皆さんに向けても竹崎カニの魅力をお伝えしました。生中継した現場の竹崎漁港では、周りに住んでいる方や漁業者の方が、激励をしに駆けつけてくれました。また、準備段階から関わってくれた太良、竹崎の皆さんの協力なしにはできなかった放送です。ありがとうございました。この記事を読んでくださった方、旬の味覚と人の優しさに触れられる太良に、ぜひお越しください。

    左から横山進さん、カニ料理をご準備いただいた旅館主・梅﨑義行さん、
    太良観光協会・酒村弘時さん
      • 竹野大輝

        NHK佐賀アナウンサー

        竹野大輝

        ニュースただいま佐賀キャスター
        2016年入局。富山を経て、2019年から佐賀。

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