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真の王者は、譲らない。キングスCS決勝へ 

琉球ゴールデンキングスvs.広島ドラゴンフライズ みどころは
  • 2024年05月25日

プロバスケットボールBリーグ、今シーズンの頂点を決めるチャンピオンシップはついに決勝(ファイナル)!NHKでは決勝全試合を総合テレビとBSで生中継します。注目の対戦カードは、2年連続の優勝を目指す琉球ゴールデンキングスvs.初優勝を狙う広島ドラゴンフライズ。決勝の舞台は横浜アリーナ。史上初の西地区同士での決勝戦に向けて、キングスメンバーの最新の声をお届けします!また、そこから見えてくる勝負のポイントもお伝えします。

(取材・執筆:NHK沖縄アナウンサー寺内皓大)

宿敵・千葉ジェッツを撃破し決勝へ

沖縄アリーナの熱が、ことし最高潮となった瞬間。周囲360度からの大熱狂。沖縄のファンや全国のバスケ関係者が長年夢見た光景がそこにはありました。過去最多の観客数を2度も更新する満員の沖縄アリーナ。キングスファンの大声援に後押しされ、琉球ゴールデンキングスは準決勝で宿敵・千葉ジェッツを対戦成績2勝1敗で破り、決勝への進出を決めました。

5月18日(土)の第1戦は千葉が持ち味である攻守のスピードと精度の高い3Pシュートを武器に、キングスを圧倒。キングスは62-95で初戦を落とします。「天皇杯決勝の再来か」と心配される声も聞こえてきた中で見事な修正力を発揮。19日(日)に行われた第2戦では、右足のケガで1戦目はベンチスタートだった今村佳太(いまむら・けいた)選手が先発に復帰。さらに、キングスの武器であるインサイドとリバウンドの強さを存分に生かした戦法に変え、攻守において素晴らしい集中力を見せました。特に個人的にこのカードでカギになると以前の記事で予想したキングスの小野寺祥太(おのでら・しょうた)選手が大活躍。ディフェンスでは千葉の司令塔、富樫勇樹(とがし・ゆうき)選手を徹底マーク。さらに試合中盤には3連続3Pシュートを沈め、沖縄アリーナを沸かせました。81-63とキングスが勝ち、対戦成績は1勝1敗になりました。そして迎えた、21日(火)に行われた第3戦。この試合も第2戦同様持ち味を発揮。ここまで苦しんでいた牧隼利(まき・はやと)選手松脇圭志(まつわき・よしゆき)選手が活躍。全員出場で全員活躍。キングスの全員バスケが実を結んだ形となり83-67でキングスが快勝し、決勝進出を決めました。

この3試合を振り返ると、キングスの修正力の高さが光ったシリーズとなりました。桶谷大ヘッドコーチも試合後の会見で以下のように話していました。

(桶谷大ヘッドコーチ)
1日目が何かチームとしてボケていたというか、ふわーっとして試合に入ったところがあったので、そこの部分をしっかり出だしからエネルギーを出してやろうぜっていう話をして。選手同士でもそういう話をしてくれていたので、2戦目以降はゲームの入りが良かったから集中力の高いバスケットができたのではないかなというふうに思っています。特に2戦目の勝ち方は「このプランで行こう」となって、選手たちがそれをしっかり遂行してくれて、この勝ち方やったら3戦目もいけるんじゃないかと思えたところが一番大きかったのではないかと思います。やっぱり2戦目で自信を持てたというのはありますよね。自信を持てたというところでメンタル的に自分たちがいい状態になったと思います。

キングスは3年連続の決勝

準決勝に勝ったキングスは、3年連続の決勝進出となりました。実は桶谷ヘッドコーチが新たに就任して以降、毎年Bリーグ決勝に出場しています。そして、沖縄アリーナが完成し、コロナ禍以降本格的に観客が入ってからも、毎年Bリーグ決勝に出ています。天皇杯も含めると5回連続の決勝進出です。

決勝の相手は広島ドラゴンフライズ

キングスが決勝で戦うのは、同じ西地区に所属し初優勝を目指す広島ドラゴンフライズ。これまで、宇都宮ブレックス、アルバルク東京、千葉ジェッツなど、東地区に所属する関東圏のチームが決勝に進出することが多かった中で、今回は史上初となる西地区のチーム同士の決勝となりました。広島はレギュラーシーズン西地区3位で、ワイルドカード上位としてCSに出場しています。キングスは広島に対して、レギュラーシーズンの対戦成績は3勝1敗と勝ち越し。レギュラーシーズンの最終節でも戦いました。キングスは地区優勝、広島はCS出場争いがかかった、お互いより強度の高い状態で試合をした結果、1勝1敗。実力はほぼ互角とみていいと思います。

その広島は、ディフェンスが持ち味の1つのチームで、平均失点数の少なさはリーグ3位と堅守を誇ります。守りからリズムを作り、攻撃へとつなげます。レギュラーシーズン序盤は敗戦が続き、後半もエースガードの寺嶋良(てらしま・りょう)選手をケガで欠くなど苦しみましたが、最終盤で盛り返してCS出場。CSに入ってからは、準々決勝で中地区優勝の三遠ネオフェニックスに2連勝、さらに準決勝では西地区優勝の名古屋ダイヤモンドドルフィンズに対して2勝1敗と地区優勝チームを連続して撃破し勝ち上がってきています。苦しんだ経験を勢いに変えて戦っているチームで、どこか今シーズンのキングスと特徴が重なるところがあるチームです。広島の中心はおととしまでキングスのエースとして活躍したドウェイン・エバンス選手。身体の強さとスピードを武器に、CSではレギュラーシーズンの1試合平均得点15.0点を上回る19.8点をマークするなど、好調をキープ。古巣のキングスに立ち向かってきます。さらに、シューターの山崎稜(やまざき・りょう)選手がこのCSで覚醒。3Pシュート成功確率が脅威の55.9%と絶好調。キングスとしては、この2人をいかに止められるかが重要になりそうです。

おととしまでキングス所属のエバンスが広島の中心

決戦の地・横浜アリーナへ

CS決勝の舞台は神奈川県の横浜アリーナ。キングスのメンバーは那覇空港から飛び立つ前に会見を開いたキングスのメンバーに意気込みや勝利のポイントについて聞きました。

(桶谷ヘッドコーチ)
まず、ファイナルに戻って来られることができて嬉しく思います。心境としては、よくCSの厳しい山を勝ち進んでファイナルまでいけたなと思っていますし、そこを勝ち抜いたからこその自信というのもあります。決勝で戦う広島さんは初めてのファイナルで、経験としては自分たちに分があると思うので、そういったものを含めておごらずに、経験をしっかり自分たちが生かせるような戦いをしたいと思っています。統一感を持ってプレーできているところは今このチームの強さだと思いますし、CSで厳しい戦いが続く中で、どれだけ自分たちが我慢してやれることをやるか。チームメイトをどれだけ信じられるかが重要になってくる局面で、みんながそれをできるようになっているところが今のチームの強さにつながっていると思います。広島はビッグマンがフィジカルも強くて得点力もありますし、俊敏性もあるので、簡単には勝てない相手だと思っています。特にディフェンスのところでは失点を70点台に抑えたいです。オフェンスもエバンス中心にかなり勢いのあるチームだなと思っています。共通認識をもっていいところを伸ばしながら攻めて、ここが攻められそうというところをカバーしていければと思います。

桶谷大ヘッドコーチ

(岸本選手)
チームの雰囲気はいますごくいいと思いますし、僕自身もCSの戦いを経て、より自信がついたと思います。雰囲気とかの部分ではおそらく広島よりは経験値があると思いますが、試合は始まってみないとわからないことばかりだと思うので、過去の経験を生かして、何が起こってもチームとして団結して戦っていくことがひとつ大事だと思います。広島はみんながオールラウンドにプレーできる選手が揃っていて、ポジションの偏りがない印象です。どの選手もどのポジションをこなせる、どこからでも点数を重ねられるチームだと思うので、引き続き自分たちのディフェンスがポイントになってくると思っています。個人的には、昔ともに戦ったチームメイトもいるので、もちろん試合の中では彼らの好きなようにはやらせないディフェンスをしなければいけないんですけど、お互いが充実感をもって、決勝戦という舞台を楽しめるようにプレーできるのが理想だと思います。相手にとって嫌なことはやっていくところも楽しみだと思うので、決勝戦という舞台を楽しめたらと思います。今シーズン、チームとして浮き沈みがある中、最後まで僕たちのことを信じてたくさんの方が応援してくれていると思うので、まずはその気持ちを形に変えられるように。必ず2連覇を達成して、自分たちにとって昨シーズンの優勝とは違う景色を見られるように全力で戦っていきたいと思います。

在籍12季となる岸本隆一選手

勝利のポイントは

桶谷ヘッドコーチ、岸本選手から共通して聞こえてきたのは、「経験」という言葉。キングスの大きな武器はこの「経験」にあると思いますし、これが勝利への一番のポイントなのではと考えます。キングスもかつては、経験豊富な東地区の強豪チームの「経験」の壁に阻まれ続けてきました。これまでキングスを取材してきましたが、重要な局面で敗戦したときに、キングスメンバーからは「経験不足が敗因だ」と発言したことが多くありました。長年かけて、去年やっとその壁を乗り越えてBリーグ初優勝を成し遂げたキングスの大きな「経験」は、決勝という大舞台を初めて経験する広島に対してかなり有効なものになってくると思います。経験からくる自信は持つが、おごらない。技術面だけでは言い表せない「経験値」がキングスを連覇に導く一番のカギ、強みになるはずです。

経験以外にキングスの勝利のポイントとなるキーワードを挙げるとすると、「立ち上がり」「全員バスケ」の2つになると考えます。「立ち上がり」に関して、キングスは今シーズンのCS全試合で、第1Qに主導権を握ったゲームは勝利しています。まず序盤の集中力が1つのポイントです。これがうまくいくと「全員バスケ」ができるようになり、さらに相手を追い詰めることができます。CSはお互いの全力を出し尽くす中で、誰がどんなプレーが得意かなど、お互いに研究していて特徴を知り尽くしています。その中で、選手層の厚いキングスの選手たちがそれぞれ点を取ることで、相手にとってはどこをマークすればいいのか分からなくなってくると、キングスペースになると考えます。去年の決勝もベンチから出てくるメンバー、セカンドユニットの活躍が優勝に大きくつながりました。だからこそ今回は、技術以外のところを勝利のポイントに挙げさせてもらいました。それが決勝という舞台で最も重要になると考えるからです。「真の王者は、譲らない。」勝者のメンタリティーを持つキングスが、沖縄にまた新しい景色を見させてくれるに違いありません。

放送予定

NHKはこの決勝戦を全試合中継します!5月25日(土)の第1戦は午前11時55分からNHK-BSで。26日(日)の第2戦は午後1時05分から総合テレビで。1勝1敗の場合の第3戦はBSで午後7時すぎから放送する予定となっています。また、沖縄県内各地ではパブリックビューイングも行われる予定です。決勝戦はぜひNHKの中継でお楽しみください!キングスの連覇を願いましょう!

  • 寺内 皓大

    NHK沖縄放送局 アナウンサー

    寺内 皓大

    2020年入局 沖縄が初任地でスポーツを中心に取材 野球やバスケットボール、サッカーなどの実況も担当 好きな沖縄料理はふーちゃんぷるー

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