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沖縄県議会議員選挙 6月16日実施 何に注目?有権者の考えは?

  • 2024年05月24日

任期満了に伴う沖縄県議会議員選挙が6月16日に行われます。今回の県議選はどのようなものなのか。有権者は県議会や県政に何を求めているのか。街頭でのインタビューや記者解説をまじえて考えます。

48議席に対し72人が立候補表明

6月16日に行われる県議選。13の選挙区であわせて48の議席が争われ、NHKのまとめでは5月23日の時点で72人が立候補を表明しています。13の選挙区のうち11で、立候補を表明した人の数が定員を上回っていて選挙戦になる見通しです。

有権者の考えは 街頭で聞いた

有権者は今回の県議選についてどう考えているのか。那覇市と沖縄市、それに名護市の街頭で、およそ30人にインタビューを行いました。

那覇市でインタビューを行った原大策アナウンサー

有権者が争点として挙げたのは…。

73歳男性

いくつかあるんだけど、やっぱ一番はね、経済の問題。

86歳女性

経済でしょうかね。高齢者ですから、住みやすいようにしてほしいですね。

30歳男性

食費などの生活にかかるお金がかかってきているので、それ以外の部分で負担が減れば、生活もしやすくなるのかなと。

32歳女性

子育て支援が一番。保育園とかが入りやすくなると一番いいかなって思います。

33歳男性

コロナが明けて、やっぱり沖縄として観光客を呼んでいきたいというところがありますので、そこに力を入れていただける方。

続いて、聞いたのは2番目に定員が多い沖縄市です。

沖縄市で取材した仲本奈鶴季キャスター
49歳女性

沖縄は賃金は安いのに物価は高いじゃないですか。そのギャップがすごくて。やっぱり沖縄も最低賃金をもっと上げてほしいなと思います。

46歳男性

物価高で経済的にいろいろ困ってる方が多いと思います。物価高を一時的にでもカバーしてもらえると非常に助かります。

70代女性

沖縄の場合、特に貧困世帯とかの問題も抱えていますので、それもひとつの選挙の指標にしてもらいたいな。

そして、名護市でも経済政策に期待する声が多く聞かれました。

物価は高くなっているなって思います。一番は食べ物。

64歳女性

本土とかと比べたら仕事があまりないじゃないですか。給料も安いですし。そういうところで、どういうふうな形で盛り上げていくかということはありますね。

基地問題は?辺野古は?

また、基地問題を争点として挙げる声もありました。

50代男性

やっぱり平和行政とか基地問題が争点の中心になると思います。

30歳男性

基地問題ですかね。やっぱり平和が一番だと思うので。基地自体もなくしてほしいし、自衛隊とかの施設もなくしてほしいです。

基地ですね。辺野古に加えて、今は負担軽減と言いながら、結局どんどん負担が強くなってきていますので。

普天間基地の名護市辺野古への移設の現状について言及する人もいました。

心の中では反対ですよ。ただ、どこかで諦めていますよね。本当はいけないと思うんですけど、どんなに反対してもやるじゃないですか。いまの政府には期待もしてないし、何を言っても信じられない。

どうしても、反対運動をしていても、かなわない現実がありそうなので。安全を担保した上で、かつ、地域の人たちも住みよい環境になるような方法があったらいいなと思うんですけど。口でいうのは簡単だが、方法が難しいなっていうのがとっても悩みです。

県議選や県議会議員はどうあるべき?

そして、争点だけでなく県議選や県議会議員のありかたについての提案もありました。

64歳男性

県議会議員の選挙イコール国政と直結してるっていうの私は考えたくなくて、本当の意味で沖縄の振興、将来を考えている議員を選んで、政党に関係なく投票すべきなのではないか。

30代男性

県議の方たちは、もっと沖縄の若者の子たちに柔らかく声をかけてくれたらいいなと思います。「これは言ってはいけない」とか「これは言っていい」とか、そういう県議の人たちばっかりで、結局本心で沖縄の人たちが感じてることを言える県議がいないので。「そこなんだよね」っていうことを言ってくれる人が現れるのを若者が待っている感じがします。

選挙担当記者はどう見る

県議選は、それぞれの地域の声を県政に届ける役割を果たす議員を選ぶ選挙ですので、争点や論点は多岐にわたります。その中で、街の人たちからも多く聞かれた物価高騰への対策は、県民生活に直結する大きな課題です。全国的に、働く人1人あたりの実質賃金はマイナスが続いていて、物価の上昇に賃金の伸びが追いついていない状況です。沖縄では子どもの貧困の問題も指摘されています。こうした現状に県がどのような対策を打ち出すのか、有権者の関心は高いと思います。

地元が反対するなか続けられている訓練

また、基地負担の軽減をどう図っていくのかも長年の課題です。県内には全国のおよそ7割のアメリカ軍専用施設が集中し、危険と隣り合わせの暮らしを強いられる状況が続いています。原則として伊江島で行うことになっているパラシュート降下訓練が5か月連続で嘉手納基地で行われるなど負担は解消されていないほか、騒音の苦情も相次いでいます。

このほか、南西諸島の防衛態勢強化の一環として、県内各地で自衛隊の新たな部隊が発足していて、日本の安全保障のあり方をめぐっても論戦が交わされそうです。

玉城知事の「中間評価」

選挙担当の上地依理子記者

今回の選挙は、2期目の玉城知事の「中間評価」とも位置づけられています。玉城知事は、おととし9月に再選して2期目に入り、まもなく任期4年の折り返しを迎えるからです。現在の県議会の構成は、玉城知事を「支持する」いわゆる「知事与党」が、定数48人のちょうど半分にあたる24人を占めています。

一方、玉城知事を「支持しない」「知事野党」と「中立」をあわせると24人ですが、議長を務めているのが「中立」の立場の議員ですので、現在は、県が提出した予算案や条例案といった議案が「知事与党」の賛成多数で可決される状況が多く見られます。今度の選挙で今の「知事野党」と「中立」があわせて議会の過半数を占めることになれば、県の予算案などが否決されることも予想され、玉城知事の県政運営に影響が出ることになりそうです。

そして、そのカギを握るのは、やはり定員11と全体の4分の1近くを占める那覇市・南部離島選挙区です。現在は、与党系が6議席の一方、野党系と中立があわせて5議席となっています。今回は、それぞれの勢力が議席増を目指していて、18人が立候補を表明していることから激しい選挙戦が予想されます。定員が最も多いこの選挙区の結果が、全体の結果を左右する可能性が高いと言えそうです。

NHK「ボートマッチ」も活用を

沖縄県議会議員選挙は、6月7日に告示され、繰り上げ投票が行われる一部の自治体を除いて6月16日に投票が行われ、即日開票されます。

NHKは今後、県議会議員選挙の候補者全員にアンケートを行い、回答をテレビやWEBでお伝えすることにしています。また、WEBの特設サイトでは、それぞれの候補者の回答と、有権者自身の考えがどれくらい一致しているかがわかる「ボートマッチ」も行う予定です。みずからの1票を託す今回の県議会議員選挙で、こうしたコンテンツをぜひ活用してもらえればと思います。

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